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岐佐姫命(キサヒメノミコト)

1月28日、やっとの思いで完成した。

翌日撮影を終え、主催者様へ画像提出もでき、ホッとしたのか昨日は目覚めから頭痛。その痛みから軽く吐き気も。常にある耳鳴りも高音&大音量で酷い。歳をとると筋肉痛が遅れてやってくる感じ。こん詰め、編み続けたツケが2日後にドッときた。一日ダウン…。


息子

そんな体調の悪い母親を気遣ってか、今受験のことで頭一杯のはずの息子が珍しく私の話に乗っかって来てくれた。けど、いつも以上に激しい耳鳴りと、聞き慣れない単語がうまく聞き取れなくて何度も会話が途切れた。それでもその都度その単語の意味を教えてくれる。

モラトリアム…
エクメーネにアネクメーネ…。
そっか、私が知らないこんな難しい言葉を覚えるくらい成長したんだ。なんだかしみじみしてしまった。

いつもなら、私が聞き返した時点で面倒くさがって「もうエエ」って会話は終了になるのに、今朝は気長に付き合ってくれて(苦笑)。もう後2ヶ月程で手元から巣立つのに、その2ヶ月ってほんとバタバタで過ぎていくのよね。


新作「岐佐姫命」

岐佐姫命(キサヒメノミコト)

作品名 岐佐姫命(キサヒメノミコト)
身長 53センチ
素材 毛糸・グラスアイ

私の代名詞「絶滅危惧種を編む人」としての最新作。いつか編みたいと願っていた「ボルネオゾウ」をモチーフに編みました。国内で実際に見られるのは、広島県の福山市立動物園にいる「ふくちゃん」一頭のみ。使用した毛糸は、編めなくなった元の持ち主から貰ってもらえないかと託された糸や、長年の保管で虫食いにやられ編んでいるとブチブチと切れてしまう厄介な糸。私の元に来なければ、きっとサヨナラされる糸たちをカタチにして生まれ代わらせました。なお、作品名「岐佐姫命」の「岐佐(きさ)」は、象の古称です。


【母と糸巻き】
優しくふんわり巻いていたら切れにくかったので母に協力してもらいました。
でも編む時はキツく編むのでブチッとなっちゃうのです。
その都度結ぶのではなく、継ぎ足して編む(わらぞうりや注連縄のやり方)感じで制作しました。


もっと写真を見てみたい方は、こちらのアルバムをご覧ください。


今回はワイヤーを一切使わず、毛糸のみで制作しました。
なので耳は、展示の仕方でだらしなく顔に垂れてしまうこともあるし、ピンと横に張っていることもあります。

会場では作品に触れて頂くことはできませんが、かなりずっしりと重みをもたせ、抱き心地をしっかり感じて頂けます。


手は、どうしても人間の手にしたくて、木製パーツを採用しました。

本当は足もパーツにしようかと思いましたが、その考えは一瞬で消え、動物らしい足、だけど象のものではないカタチに編みました。
しかも、こんな足で立てるのか?もしかしたら立つことすらできないのでは?というくらい、体の大きさに対して太さも長さも小ぶりな御御足です。


この作品からアンバランスな気持ち悪さを感じたり、変異や違和感を受けられる方もいらっしゃるかと思います。

その違和感を大切に表現したかったので、「変だな」「醜いな」と思われても私に失礼だなんてお気を遣われることのなきように(笑)

感じ方も人それぞれ、想像空想妄想を楽しんで頂けてこそ私の喜びです。


なお、日々の制作ツイート(下へ下へツイートが連なっています)やInstagramをご覧になってから、完成写真を見て頂くと深く知れ、より伝わるかと思います。


博打編み

顔と耳のフチ、足先としっぽに使用したグラデーション糸。
大量に譲って頂いた中で、たったひと玉しかなかった糸。

何でこれを選んだ?と数日前の自分に言ってやりながら(あの時インスピレーションでこれや!となったから選んだんでしょ、と自分に返事をしながら)、もう手に入らない糸がどんどん減っていく恐怖。
でも編まなきゃならない…。
編んだら糸玉はますます小さくなる…。

足るか?足らぬか?
半か丁か?
結果は天に任せるのではなく、自分の腕と直感に賭ける。

なくなったら買い足せばいい!が不可能な毛糸を使っていると、度々こういう危機に見舞われる。

しかしこの勝負、お陰様で勝ち終えた。
最後に編んだしっぽ、長さも太さも思い描いていた通りに編み上げた。

貰い手を探し求めていたあの糸玉がカタチへと変身した。
毛糸の夢を果たしてあげられた気分。
押入の奥にいる糸、いつまでも売れ残っている糸、編み手がいなくなり処分寸前の糸、これからもそんな子達の声なき声を拾っていきたい。

岐佐姫命は、真剣勝負に勝利した縁起の良い作品だ。



㊗10周年「クラフトアート創作人形展」

この度も招待作家として、東京展・大阪展共に出品させて頂きます。

2015年 編み物作品でも認めてもらえた、受け入れてもらえた、私にとって大切な展示会。会場にてご高覧賜れましたら幸いです。

今回は10周年ということで規模を拡大して開催されますので、たくさんのお人形と出会えますよ。ぜひ手帳やカレンダーへご予定を!

残念ながら本年も光恵の在廊はありませんが、岐佐姫命たちに会いに来てください。
会場での作品撮影も、私は「可」としていますので、撮ってくださった方はSNSへ「 #キサヒメノミコト 」でぜひ投稿くださいね!
作品や会場の様子が知れてすごく嬉しいんです!!


通販ページ☟


<東京展>
2023年2月5日(日)~11日(土・祝)
11:00~19:00(初日15:00開場 最終日15:00閉場)
東京交通会館 地下1階ゴールドサロンギャラリー玻瑠

<大阪展>
2023年3月8日(水)~13日(月)
10:00~20:00(最終日18:00閉場)
阪急うめだ本店9階アートステージ

併催・HELLO! DOLLS selection
2023年3月8日(水)~14日(火)
10:00~20:00(最終日18:00閉場)
阪神百貨店梅田本店8階ハローカルチャー3


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光恵|NYに挑む あみぐるみ作家
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