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35ミリレンズを使う

35ミリ相当の単焦点レンズを使ってみて、理解ってきた事がひとつある。
それはこの画角が
「何でも撮れるけど、何も撮らせない」
…ということだ。

特に考えるところもなく、シャッターを切ってみる。
すると、写った画像は散漫で、一体何を見せたいのかが分からない。
写せるけど、写らないレンズ。

勿論、目的意識をキチンと持った上での撮影なら、何が写っているのかは分かる。
しかし適当にレンズを向けて写すと、視点が散らばってしまう。

28ミリとかなら、広角のパースペクティブの効果で、画面の奥の方向へと視線は誘導される。
自動的に物語性が働くのだが、35ミリには「それ」が希薄だ。
逆に50ミリになってくると、画角は狭くなり、望遠効果も明るい絞りと相まって高くなってくる。
ふんわりとしたオーラを発しながらも、未だ現実的である雰囲気が、独自の世界観へと撮影者を誘う。

35ミリは広角で有りつつも、歪みの少ない特性を持つゆえに、人物写真ではよく使われると聞いた。
そしてそれは、被写体が十分に主張する力を持つ人間というものだからこそ活かせるのだ。
私のように、日常の風景をスナップすると、構図を十分に煮詰めないといけなくなる。

難しいレンズ。
なのに昔のフィルムコンパクトには、同じ画角がよく採用されていた。
数人での集合写真とかを撮る場合、ちょうど良い画角だったのだろう。

…うーん、どうしようか?。
もう少し使い続けるつもりだが、自分には少し難物な気もする。

高崎市 少林山達磨寺

(注:文中の焦点距離はフルサイズ相当です)



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