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バイクと人生(たび)と。
(ネタバレ注意です!)
「スーパーカブ 42話」を見ていたら、初めて自分のバイクを持ったときの事を思い出した。
ヒロインの小熊と、友人の礼子が、スーパーカブにかける思いは凄まじい。
富士山に登ったり(!!)、改造したりと、とにかく女子高生の「それ」をはるか超えている。
前話でも自分でオイル漏れを修理しようとして壊してしまい、とてつもなく落ち込んでしまう。
「いや、何か大袈裟なんじゃないの?」と、今話を読みつつ思ったワタシだったが…いや待てよ?…自分だって退院後に真っ先に愛車に向かってエンジンをかけていたでは無いか?と思い返した。
…そう。
バイクという存在と、ハイティーンという年代は、すこぶる相性が良いのでは無いか?。
一心同体とまでは言わないが、人馬一体であるバイクとライダーの関わりは、生身と機械の域を越えているように思う。
18才で原付免許を取って、迷うことなくクラッチ付きのバイクを入手した。
行きたい場所があったからだ。
「乗用車ではなく、バイク?」というのが、地元での大方な反応だが…ひとつには「遠出をするのには、クルマは怖い!」というのがあり、自信が無かったという事。
もうひとつは「どうしても早く行きたい!」という願望が強かったこと。
値段的にも安く、入手しやすいアシは、原付のバイクだけだったのだ。
(鉄道という方法もあったのに、何故か眼中に無かったのは不思議)
…念願の旅行を終えて、その数ヵ月後。
大きく体調を崩してしまい入院。
思いの外に重症だったので、入院は一ヶ月以上になってしまった。
入院中に考える事のその多くは「バイク」の事だった。
ほぼ毎日、病院の前を通る、カワサキのヨンヒャクを見て、その思いも膨らみ続けていた。
当時は、本当にバイクが好きだった。
比喩ではなくて、恋人も要らないくらいにバイクにのめり込んでいた。
…不思議なことに、原付から250ccのバイクに乗り換えて、やがてクルマを入手するようになったとき、バイク熱は消えていってしまった。
イマイチ調子の良くない機体だったのもあるが…その頃はもうティーンでは無かったし、恋愛も失恋も経験していたので、どこかバイクの発出する熱量というか、純粋さというものに嫌気がさしていたのかも知れない。
あの「熱量」が、今はもう懐かしい。
今でもライダーに還りたいという思いはあるが…それは昔に抱いていた、恋人同士のような関係じゃなくて…時に杖のように、またはリラックスチェアのように、短い距離と時間の中で互いに会話するような繋がりが良いと思う。