山口県:ファーストリテイリング
■自己紹介
こんにちは!
業界地図オフ会を主催している、おしばと申します!
専門学校や企業研修で簿記を教えています。
■業界地図オフ会とは?
「大好きな業界地図をみんなで読めば深堀できて楽しめるのでは!?」と、今年の1月から毎月開催している勉強会です!
東洋経済さんの業界地図2021から気になる業界や企業をピック!
各自調べたことを発表し合うので、いろんな視点と考えが飛び交って楽しいです^^
■10月のテーマ
2021年度版の巻頭特集の「ご当地企業ランキング」から県を選び、地域の特性やトップ企業について調べてシェアする回でした^^
■今回のプレゼンター
大和田さん:宮崎県
どの分野でも情報量がすごくていつも大変勉強になりますが、今回も宮崎県という地の人口推移や意外と農地が少ないこと、そして養鶏市場国内シェアトップ「児湯食鳥」の分析など知ることができました。食肉業界少し怖いです…()
sho-goさん:香川県
香川県をよく知るsho-goさんのプレゼンからは香川愛がひしひしと伝わってきました!笑 電力会社の決算書は見たことがないのですが、平均気温が業績に影響するというのはおもしろいですね^^
がぱけんさん:広島県
前回もタイヤ業界の興味深いプレゼンをしていただきましたが、今回はマツダの赤字低迷期~黒字化のマーケティング戦略についてのプレゼン!コアなファンを追求してブランド力強化する戦略とてもおもしろかったです^^
下記noteに内容をまとめてくださっています!とても勉強になるのでぜひご覧ください!
ふるやまさん:茨城県
都道府県魅力度ランキングで最下位脱出した茨城県という旬な県!地元に目を向け、地元の方々から愛される企業がトップに並んでいました。特にケーズデンキの「現金値引」戦略は県民性と絡んでいるのか?など掘り下げたら面白そうですね^^
ということで、西日本に集中した「ご当地企業特集」ですが、かく言う私も「山口県」からある企業の歴史について調べてみました。!
■おしばプレゼン「山口県」
てっきり東京が本社かと思ったら、地元山口県に籍を置くファーストリテイリング。
日本を代表するアパレル企業「ファーストリテイリング」の誕生から現在までをぎゅぎゅっとまとめてシェアしました!
まずこの疑問です。
1950年頃にさかのぼります。
日本の主要エネルギーであった石炭。当時、山口県宇部市は石炭産業で知られる有名な地でした。
石炭産業だけでなく、セメント事業や化学事業など事業を派生させ拡大し、宇部の町には学校や病院なども充実するなどにぎわっていました。
1960年代初頭まで黄金期と呼ばれていましたが…
1962年に石油の輸入自由化をきっかけに、それまで主要エネルギーであった石炭から石油に代替されていきます。
山口県宇部市のみならず石炭産業は一気に閉山やリストラに追い込まれ、闇をもたらしました。
そんな中、まだ活気が残る宇部の銀天街の一角には「小郡商事」という一軒の繁盛店がありました。
実はこの小郡商事こそが、世界に名を轟かせる「ファーストリテイリング」の前身の会社なのです。
ファーストリテイリングの会長兼社長で有名な柳井氏は、当時大学卒業後、就職するもすぐに退職し、実家の紳士服店を切り盛りしていました。
繁盛店ではありましたが、やはり石油の輸入自由化によってマイカーブームが到来。
町の人々は車で郊外の大型商店街に買い物に行くようになります。
7店舗を切り盛りする中、商店街からは人が消え危機に直面した小郡商事ですが、そこで柳井氏はGAPなど世界の有名アパレルメーカーのビジネスモデルに目を向けます。
「グローバル化」と「SPA」をキーワードにこの危機を脱しようと考えました。
企画~販売までを自社で担うことで、中間マージンを抑えられ、売りたい商品を生産できるという自由度が高いSPAモデル。
GAPはもちろん、インディテックス(ZARA)やH&Mなど今ではアパレル業界ではSPAというビジネスモデルが浸透してきましたが、当時は大量生産・販売を行える欧州の大手アパレルメーカーだから成り立つモデルでもありました。
グローバル化とSPAモデル確立に向け、まずは商品を紳士服からカジュアルウェアへと変更し、反応が得られそうな広島市に1号店を出店。
そこから在庫を大量に保有するSPAモデルには欠かせないデータ管理システムの構築から始めます。
そしていよいよ提携してくれる製造工場を探すステップに移るため香港に拠点を新設。
しかし、大手の欧州アパレルメーカー各社は中国で安く生産して販売するというモデルを確立しているため、中国の製造工場を見つけるのは難航したようです。
そこで、ある特定の品目を大量に発注することを条件に契約を取り付け、いよいよ本格的にSPAモデル確立に向けて回り始めます。
大量発注となるため肝になるデータ管理を駆使しながら、在庫をコントロールし、出店と退店を繰り返しながらも日本でいち早くSPAモデルを構築していきました。
社名もSPAであることを象徴する「ファーストリテイリング」に変更。
カジュアルウェアに業態変更をしてスタートしたユニクロ1号店開業から10年で上場を果たします。
1994年に発売開始したフリースが大ヒット。SPAモデルだからこそ供給できた大量生産体制と在庫コントロール力で飛躍します。
社史を知ったあとに現在の企業理念「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という言葉を見ると重みを感じます。
そんな日本を代表するファーストリテイリングですが、世界のアパレル製造小売業として国内では首位、世界3位の売り上げを誇ります。
時価総額ではインディテックス(ZARA)に次ぐ世界2位です。
ユニクロを中心に、ジーユー、グローバルブランド(Theory、PLST、コントワー・デ・コトニエ、プリンセス タム・タム)など、世界25ヵ国に計3,630店を出店しています。
売上の推移は次のとおり
海外に積極展開していこともあり、コロナによる営業停止の影響は大きかったようです。
この売上を構成する4つの事業。稼ぎ頭を見てみます。
FY2019から海外と国内のユニクロ事業が逆転し売上首位は海外ユニクロ事業です。店舗数も海外だけが大きく右肩上がりで推移していますね。
海外といっても国内店舗数を抜いた中国ユニクロを筆頭に、ECと実店舗の融合店が好調で売上拡大を牽引しているようです。
海外に積極展開中な様子ですが、国内ユニクロの様子が気になります。
国内店舗の推移を見てみると店舗数は年々減少していますが、主に標準店(250坪タイプ)を減らす一方で大型店(500坪タイプ)は増加しています。
売場面積ベースで見ると面積が増加していることもわかります。
FY2014から大型店の出店に切り替え、人や在庫を集約することで効率的に稼ぐことを狙っているようです。
FY2020はコロナの影響もあり減収となりましたが、店舗あたり、㎡あたりのの売上は今後拡大していくのかどうかが注目です。
そして上の2つの表で気になった在庫数の推移。
FY2018で急に増加していますが、これは在庫の計上のタイミング変更と、生産計画のズレが要因です。
在庫計上のタイミング
これまで販売国の倉庫から出荷したときの在庫を計上していたため、基本的に店舗にある在庫のみしか計上されなかったのですが、販売国に入るタイミングで在庫を計上。在庫状況をより明確にするための変更です。
生産計画のズレ
ユニクロ:コア商品を多めに発注&8月決算だが秋冬物を早めに発注
ジーユー:春夏物の販売不振で過剰在庫
(FY2018決算説明より)
在庫計上のタイミングが変更になったことで、棚卸回転率と回転期間ともにFY2018で一気に低下しています。
人員ベースで推移を見てみると…
大型店に集約させるなら結局店員は必要では?と思いましたが、
ユニクロ、ジーユーといえばセルフレジですね。
かごに入れた商品を置くだけで自動で計算をしてくれるので、支払方法を選んで支払うだけで買い物完了です。
私もユニクロとジーユーで毎月買い物をしていますが、レジはたくさんあるのに店員さんは1人しかいません。使いやすいので特に店員さんに声をかける人も見たことがありません。
このように横ばいのように見える国内ですが、セルフレジや大型店へのシフトをしながら効率的に稼げる仕組みづくりをしている途中のようです。
今後の展望を最後に少しご紹介。
1兆円超のキャッシュを多く抱えるファストリ。
FY2016とFY2018に行った資金調達の使い道が注目されています。
先日(2020/10/15)定款変更も発表され、物流事業の本格化や販売カテゴリーの拡大を行うようです。
企画・生産・販売までのサプライチェーンの迅速化を目指した物流改革を掲げる「有明プロジェクト」。タイムリーに稼働させることで価格や供給量の適正化を図り、倉庫の自動化をすることで無人倉庫を実現する計画です。
先日発表された来期FY2021の計画によると、コロナを機にEC分野でさらなる成長が見込まれ、大幅な増収増益の予想となっています。
原宿のユニクロのようにモニター前に立つとコディネート提案をしてくれるサービスや、EC予約した商品がスムーズに店舗で受け取れるような仕組みなど、実店舗とECをうまく活用した施策を着々と進めてきたファーストリテイリング。
在庫管理と物流までさらに連携強化すればますます強くなりそうな…
今後の決算発表が楽しみです!!
以上、山口県「ユニクロ」のシェアでした!
最後までお読みいただきありがとうございました^^
■11月の業界地図オフ会
日程とテーマが決まりましたらTwitterで告知させていただきます!
■参考文献
・会社四季報 業界地図2021版
・ファーストリテイリング IR資料
・「危機の乗り越え方」図鑑
・ときわ公園
・資源エネルギー庁
・イオン歴史
・Panasonic(マイカーブーム)
・ビジネスジャーナル(ユニクロセルフレジ)
・ダイアモンド記事(ユニクロ物流事業を本格化)
・DIME記事(ユニクロ原宿店)
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