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#117 眠れない夜に
きのうは眠れなかった。
久しぶりに何時間も「眠りたいのに眠くないおばけ」と格闘した。
目を閉じてため息をついたり伸びをしたり。その度にまぶたがちょっとは重いかどうか確かめるけど「しゃん」と開いてがっかりした。諦めて起き上がりキッチンでお茶を飲んだり、ソファに寝転がってみたりした。
むこうで乾燥機の終わった音がした。明明しいメロディ。
その日は夕方に息子のお友達とそのママがうちに来てくれて、その後さらに公園にも連れて行った。風が強くて肌寒いほどで、上着を持ってこなかったことを後悔した。
わたしにしてはずいぶんと頑張ったから、まだ気が張っていたのかもなと推察する。何をそんなに気合い入れないとだめなん?と自分に聞きたい。
でも家に人が来るとなると気合いは勝手に入っちゃうし、実を言うと数日前からちょっと気が重かったほど。
なんの準備をするわけでもないけど、スムーズに話せるかな、子どもたちが仲良く感じ良く遊べますように、と気を揉む。
上手く断っても良かったんだけど
子どもたちがあんまりにも楽しみにしていたから無下にできなかった。辛いところだな。うむ。
寝室に戻る。
リビングよりも少し空気が湿って、温かい。
仰向けになってみる。
ふとリラックスもしている自分に気がついた。
明日は息子を学校へ送り出せば仕事は休みだし、何もそんなに焦らなくとも気がかりな予定はこの先そう多くはないじゃないか、と。すると急に寝室が静かになった気がした。(息子のいびきがうるさいくらいだった)
ひとり暗闇でにやにやして、カーテンの隙間を少し開けて外の光が天井を照らすのを眺めた。なんだわたし、ちゃんとしあわせじゃない、と小さく口に出してみた。
まだ瞼は重くなかったけれど、いびきが静かになって寝息に変わったなと思った後、ようやくすとんと眠りに落ちた。
るる