清明節の時期に最も見たいタイBLはこれ!「とな墓」
4月4日から二十四節気で言うところの「清明」に入りました。中国ではこの時期は先祖のお墓に行ってお参りや掃除などをし、そのお墓で飲食を行って先祖とともに過ごす、と言う行事があります。
日本でいうところの、お彼岸のようなことでしょうか。
お墓とBL?そんなの関係なくない?いやいや、こんな時期だからこそぜひ見たいタイBLがあるんです!!!
「He's Coming To Me〜清明節、彼は僕のお墓の隣にやって来た〜」
題名長っ!!と言うことで、通称「とな墓」(逆に短かい)と呼ばれている作品なのです。
メットは成仏できずに20年以上もの間お墓の周りをうろついている幽霊。自分のお墓は荒れ放題でお参りに来る人もおらず、同じく成仏できないでいる幽霊仲間と寂しい日々を過ごしていた。
そんなある日、どうやら自分のことが見えるらしい不思議な少年タンに出会う。寂しさから一転、毎年タンのことを待ち侘びるメット。数年後、タンはお墓参りに来なくなってしまったが、ある日1人で再びお墓にやってきた。タンは大学生になっていて、成仏できないメットの死に隠された謎を解こうと同居を提案する。
演技派の主役2人
今回幽霊という難役メットに挑戦するのが、BLドラマ金字塔と名高い「Sotus」でKristくんとのカップルが絶大な人気を誇るShingtoさん
彼ほど、いろんな組み合わせでBLカプを演じ、それが受け入れられている人はいないのではないか。スパダリから甘いCuteな役まで何でもこなす演技派。
いっぽう、幽霊が見える不思議な能力の持ち主タンを演じるのは「The Shipper」で一途にPanを想う青年を好演した、Ohmくん(写真右)。最新作ではこの↓2人でBLカプを演じることが決定しております。
それにしてもOhmくんは足が長いんだよな〜。スタイル抜群なのです。
若くして心臓発作で亡くなったメットが成仏できない理由を、あらゆることに感受性の強いタンは「死の本当の理由を知らないからだ」と考える。
自分は病死だと思っていたメットだが、タンの言葉に他に隠された真相があるのではないかと思い始め、タンの提案で彼の部屋で同居することを受け入れる。
現世のものを触れないというジレンマ
タイBLの設定には斬新なものが多くあり「それがあったか!」と何とも絶妙に「超えられない壁」を設定してくるのだけれど、今回は何と「人間と幽霊」というどこをどう考えても超えられない隔たりを用意して来た。このあたりのセンスは毎回脱帽の一言。
メットは幽霊なので、基本的には現世の物を動かしたり、人間に触れたりすることはできない。ただ気合を入れて頑張って少しずつ少しずつモノを動かせるようになり、見たこともなかったパソコンを操るようにまで成長(?)する。
ただし人間に触れるにはものすごいパワーが必要。
とても素直でナーバスな心を持つタンに惹かれていくメットだけれど、触りたくても触れられない、そのもどかしさがこのドラマのキーとなって2人のいじらしい心情にコントラストをつける。
不思議な青年タンの悩み
おそらく幼い頃から幽霊が見えていたタンは、それとうまく付き合う方法を模索しながら成長した。その能力は大人になっても消えることなく彼の中に潜んでいて、彼を苦しめているセクシャルな問題とあわさり、彼の繊細な一面が浮かび上がらせる。
他人に理解を得るのが難しい自分という存在。
彼は悩みの分だけ、成仏できないという境遇のメットに共感し必死になる。おそらく幽霊が見えることを無邪気に口にしていた時期を経て、自分がそう言うことは周囲の人たちを困惑させるだけだと悟るにつれ、うまく付き合うことを会得していったのだと思う。
だからこそ彼が自分の性的嗜好を自覚したとき、周囲の反応は用意に想像ができたのだろう。
そんな彼の目の前に自分の存在に問題を抱えるメットが現れたことはまさに運命としか言いようのない出来事だった。彼はメットの問題を解決しながらも、自分の存在を認めていくようになる。
彼らを取り囲む人たち
タンはバスケ部に所属しているスポーツ少年で、親友と呼べる仲間がいる。その中でも恋が少しずつ散りばめられていて、その一方通行っぷりに胸が痛む。
まずタンに密かに思いを寄せるのが仲良しグループ唯一の女の子プライ。祖父と豪邸で暮らしているお嬢様だけれど、とても元気で明るい性格。
そしてそのプライに惹かれているのがプリンス(Chimonくん)。自分が好きだからこそ、明るくサバサバと振る舞うプライが誰を好きなのか痛いほどわかってしまう。言い出したいけど、言い出せない。もどかしい気持ちと、悩みを抱えたままバスケに身が入らないタンに怒りを覚える。
Chimonくん、学園ミステリー「The Gifted」ですっかりファンになりました!すっきりとした顔立ちのイケメンで笑顔になると可愛らしい一面が覗く。
それにしてもプリンスって名前すごい・・・似合うけど。
もう一つのジレンマ。成仏するのか、このままがいいのか
タンは成仏できないでいるメットを想い、さまざまな形で真相にたどり着こうと努力するのだけれど、真相を知るということはメットが成仏できるということで、それはメットとの別れを意味する。
一緒に過ごすうちに、お互いに特別な感情を抱くようになる2人だが、協力し解決しようと奔走している問題は、片付いてしまったら別れが来ることを意味する。
本当のことを知りたいに決まっているけれど、別れたくはない。
お互いに苦しみ、それでも真相を探ることをやめられない。
このどうしようもない矛盾を孕んだ恋心が切なくていい。
お墓参りに行こう
清明節は中国の風習で、台湾ではお墓を持たないのが一般的なのでこのお話は中国の風習を受け継いでいる人たちの物語となるのですが、日本に置き換えるとお彼岸やお盆などがそれにあたる行事と思われる。
誰も来ないお墓の前、成仏できない幽霊たちが待ち侘びて何年もぼんやりと時を過ごす、などということを見てしまうと「あぁお墓参りはちゃんと行かなきゃな」という気持ちにさせられる。
もちろんファンタジーではあるし、実際にそんなことがあるか否か、感受性低めの私にはわかるはずもないのだけれど、これは亡くなった人をいつまでも心の中に留めている、そういう人が現世にいるか居ないかで、あの世の過ごし方が変わってくるんだよ、というメッセージが込められている気がする。
主人公であるメットには仲間がいて、その人たちも成仏できずに長い長い時間をお墓で過ごしている。ややコメディちっくに描かれている仲間たちだけれど、誰も来ないお墓で何十年も漂わなければならない気持ちとはどんなものか。コミカルなセリフにも悲哀が感じられる。
不意をつかれる驚きの展開
メットの死の真相が病死でないとしたら、何かしらの事件に巻き込まれたのか?もしかして殺人とか?と想像してしまうけれど、真実に近づけば近づくほど、メットとタンとの関係性も浮かび上がってくる。
なぜタンとメットは出会ったのか。その理由がちゃんとあるんですね。それは見てのお楽しみ。
今は衛星劇場でしか配信がなく、もしかして今後他の配信スタンドでも扱われるかも知れませんが、YouTubeは日本ではジオブロがかかって残念ながら見られません。私はYouTubeのメンテナンス(?)でこのジオブロが一時期的に解除になった隙に一気に見ました(英語字幕)。
全8話。そこまで長くはありませんが、ストーリー展開がスリリングな部分あり、感動あり、友情・恋愛、と色々飽きさせずてんこ盛り。
清明節の今だからこそ、ぜひ見て欲しいタイBLドラマ。
今後いろんなところで配信になるといいなと願っております。主役2人のキュートな恋愛模様は必見なのです。