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キレッキレのアクションでエグいことするニート2人、映画「ベイビーわるきゅーれ」
よかった!と各方面(一部の)で話題になっていた映画「ベイビーわるきゅーれ」を観た。
【ストーリー】
ちさと(高石あかり)、まひろ(伊澤彩織)は高校卒業と同時に、今いる寮から出て社会人として同居することを提案される。彼女たちの本業は「殺し屋」。社会不適合者の2人は、社会に出るどころかアルバイトを次々とクビになったり、そもそも面接に受からなかったり、と苦戦した日々を強いられることになる。
ちさととまひろ、おそらく家族と離れて暮らしている2人。殺し屋になる訓練を受け、淡々と鮮やかに日々依頼された業務をこなしていた。
高校生活と両立していた彼女たちが卒業と同時に言い渡されたのは、「ごく普通の社会人として普通に仕事をしてください」と言う通告。しかも、寮を出て家賃・光熱費・税金などを自分たちで払わなければならないと言う。
渋々ながらも、同居することを了承する2人だったが、アルバイト探しは苦戦。日々バイトをクビ、面接、またクビ、を繰り返していた。
多分事情があって家族と同居していない彼女たち。「働く必要ないのに」なぜか一般的な社会人として働けと言われて愕然とする。
やりたくないのに、学生でなくなったら急に社会人に認定され「働くのが常識」と言われるありきたりなシステムが、この2人を通すとどうしてだろうと思わされる。
実際社会では嫌味を言ってくるやつ、偉そうに偉人たちの間違った名台詞で説教するやつ、指示の仕方を正そうともしないでわぁわぁ言ってくるやつ、ロクでもないけど、彼女たちはギリギリまで普通に対処する。想像の中で殺したり、ただ時にはちょっとやりすぎちゃうけれど、ふっと現実から離れて空想の世界に飛んでいってしまうこと、誰でもあるしそれだけなら平和。
見ていると、これはバーチャルと現実を平面化した映画のように見えてきた。
冒頭でまひろが面接をしたコンビニの店長みたいに、大人たちが「くだらない」と一蹴する世界が、もしかして誰かの唯一息ができる場所になっているのかもしれない。
彼女たちは社会一般的な視点から見たら、完全に落ちこぼれで生きづらいように見えるのだけれど、ひとたびアルバイト先に行けば真面目に働いている子がパン一個で我慢しているところを、コンビニで好きなものを買って「別にお金に困ってないんで」と言い放ってしまう無邪気さが覗く。
働いてお金を得るって、何だろう?ちゃんとしたオトナって何?
本業の殺しは鮮やかな手口だけれど、そんな彼女たちもやりすぎるとごく普通に怒られ、殺し方について説教される。そして時にはトラブルに巻き込まれたりする。
殺しなんて、という倫理的な部分は置いといて、これを自分たちの仕事に当てはめてみるとあるあるが随所に仕掛けられていて思わず「こう言うやついるよなぁ、大変だね君たちも」と言ってしまいたくなる。
世界観を完全に理解しようとしても、とにかく爽快なアクションと日常のゆるさの高低差が半端なく、一気に引き込まれて入り込んで、最後は突き放される本作。
何だったんだろう、とぼうっとしているとお帰りはあちらです、と促された。
スタントウーマンとして評価の高い伊澤彩織の魅力と、ダンスがベースにある軽やかなアクションで魅せる高石あかりのキュートさががっちり合わさって、性差を感じさせないカップルの誕生を思わせた。
今日も2人、ソファに寝そべってだらだらしながらも、またどこかで軽やかに業務をこなしている、地球のどこかでと言うより、異次元のどこかで。
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