【鶴亀杯スピンオフ企画】たなばた🎋願いごとに参加します ―題「七夕の日の約束」詩

しろくまきりんさん　いつも素敵な企画ありがとうございます。つたない詞ですが、企画に参加させていただきます。

一年後の　七夕の日に
由比ガ浜で
「必ず　会おうね」と
銀河を仰ぎながら　約束した

僕らが　出会ったのは
長谷駅の　近くの
白い壁が　剥げかけた
古いアパートだった

長谷寺の　狭い参道を
登り切った　見晴台から
由比ガ浜の景色を　
座って　眺めるのが
大好きだった。

二人とも　東京の大学生
よく　市内の図書館で　肩をならべて
論文レポートの　準備をしたね。

就職が　決まると
お互い　リクルートスーツ姿を
見せあって　「なんか変！！」
と笑いあった。

僕らは　「学生時代」という
洋服を　脱ぎさり
「大人の仲間入り」という　
殻をかぶり　身を固めた

社会人に　仲間入りをし
僕は大阪勤め　君は横浜勤務
に分かれてしまった

去年の夏　僕が帰省した時
一年後の　七夕の日　鎌倉の街で
再会しようと　指切りして誓ったね

その時の　君の小指の　冷たさが
夏の熱の中で　心地よかった

あれからずっと
君の　アドレスを
記憶の住所録に　書き込んで
持ち続けてる

今日は　七夕の日

夜の　由比ガ浜は　人影も疎ら
昼間の喧騒は　沖へ去って行った
海水客は　もう　夢の中

浜に置かれた　漁船に
持たれて　君からの返事を
ずっと　まっている
スマホは　沈黙ばかりを
鳴らすだけ

青春の時の　約束は
青春の　終わりとともに
波が　さらって行ったのだろうか

でも　僕は　毎年
七夕の日が　訪れると
由比ガ浜にきて　君を
待ち続けるだろう

僕の中の　青春は　
魂の中で　まだ蒼く
息をしている

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