アニメも実写も絶対いいけど、どうかミュージカルのことも忘れないでほしい

「美女と野獣」の実写版、行きたい。すごく観に行きたい。

と、思ってはいるのですが、映画館に行く体の余裕がなく、しばらくは行けないなぁと日々悶々としています。
腰の手術から3週間経過したんですが、まだ長時間座り続けるということができないでおりまして。

ですので、今回実写の話はしません、というかできません。

そんな中、コンビニをフラフラとしていましたら、実写版の永久保存版公式ブックと称したムック本を見つけました。

ちょうどペンケースが欲しいと思っていたところ、付録の特製マルチポーチが可愛らしく、また社会人が持っていてもあまり違和感のないデザインだったので購入。
ムック本というと付録中心で中身がイマイチなのが相場だと思っているのですが、こちらはキャスト・スタッフのインタビューも満載で、なかなかに充実した内容だと思います。

思います、というのは、やはり映画を見ていないので、あんまりじっくり読むと楽しみが少し減ってしまうかもと思って隅々までは見ていないのです。
劇場に行ったら、エマのインタビューとかちゃんと読もうと思います。これ、パンフレットいらないかもしれない。

実写版の紹介がもちろん大半なのですが、アニメ版にも少し触れられています。
実は私、アニメ版を120回以上は見ている(母曰く、幼い時私は3ヶ月以上毎日見ていたことがあったらしい。ものごごろついてからも30回は見ているので、これぐらいは本当に観ていると思います)ディズニー版「美女と野獣」の大ファン。女性著名人にアニメ版の好きなシーンをインタビューしているページがあるのですが、「うーん、わかってらっしゃらないなぁ」と一過言僭越ながら言いたくなってしまった。

図書館のシーン、誰もあげないんかい!

ブックのあらすじを見ると、実写版にはもしかしたらない場面なのかも、とも思ったのですが、だったら尚更、この場面をどなたか推してくださってもよかったのに。

図書館のシーンというのは、野獣がベルに何か感謝の気持ちを込めて贈り物をしようとした場面。
使用人であるルミエールから、ベルが読書家であることを聞いて閃いた野獣は、ベルに「サプライズがあるから」と目を瞑らせ、吹き抜け5階分はあろうかという超巨大図書館へ彼女の手を引っ張って誘導。
感動するベルに、「すべて君のものだよ」と言うのです。

このシーンの何がいいって、図書館が絵的にも本当に素晴らしいことに加えて、「好きなものを贈られる」「サプライズ」「『私だけ』という特別感を与えてくれる」という3点セットが揃っていること。

この時点で野獣はベルのこと一生懸命考えてるってわかるし、私がベルだったらこれだけで惚れる。
読書家にとって素敵な図書館って絶対憧れますし。これ、もっとシンプルに図書館あるよ、自由に使っていいよ、っていうこともできたと思うのですよ。それを、あえてサプライズ形式にして図書館をまずどーんって見せて。そして全部君のものだよ、だなんて。野獣、なんて見せ方上手!

何年もお城で孤独に暮らしてて、一体どこでそんなテクを身につけたのでしょうかって思っちゃいます。もしやルミエールの入れ知恵か。だとしても合格。
この場面から、アニメ版ではスムーズに「愛の芽生え」→「美女と野獣」というミュージカルナンバーへと繋がっていきます。

この図書館の場面をさらに発展させていたのが、ミュージカル版「美女と野獣」。

ご存知でいらっしゃいますでしょうか、ミュージカル版。調べてみたら、今月まで劇団四季が京都でやっているそうです。個人的には、日本語吹替のミュージカルってうーん、って思っているのでアレなのですが。ちなみに四季版のサウンドトラックはApple musicに配信されてたりします。
話が逸れましたがともかく、アニメ版がアカデミー作品賞にノミネートされるという大成功を収め、ディズニーアニメで初めてブロードウェイミュージカルになったのがこのミュージカル版なのです。「ライオンキング」の成功の前に「美女と野獣」があったわけですね。

ブロードウェイで上演するにあたって、アニメ版に加えて新たな要素が必要になったという時に、フューチャーされたのが、「ベルもまた村では孤独であった」ということ。
実写版ではどうやらまた別の演出でこの部分を表現しているようなのですが、ミュージカル版では2つの場面でそれを表しています。1つ目は、「朝の風景」の後のベルと父モーリスのやり取り。そして2つ目が、図書館でのベルと野獣のやり取り。

ミュージカル版「愛の芽生え」に挟まれるモノローグで、「本がこんなに素晴らしいものだったなんて。本を読んでいる間は自分が何か(=恐ろしい野獣、人と違うもの)であることを忘れさせてくれる」と感動する野獣に対し、ベルは「わかるわ。私も人と違うみたいなの」と村で変わり者と言われていることを打ち明けます。

二人とも孤独だったという点を提示し、打ち明け合う場面を見せることによって、二人が恋に落ちる説得力が増す場面です。ミュージカル版では、明らかに、この場面がドラマ部分の肝になっています。高校時代に劇団四季で一度観ましたが、是非英語で観てみたいものです。

実写版「シンデレラ」があって、今回の実写版「美女と野獣」があったこと、また同じ映画という媒体から、どうしてもアニメ→実写という印象になりますが、個人的にはミュージカル版のことも忘れないで!と切に願っております。

とはいえ、ブロードウェイ版の追加楽曲の作曲だってアラン・メンケンなのに、追加楽曲は実写版に一切入っていないのが残念。「Human again(邦題:人間に戻りたい)」なんてかなり名曲でそのまま使ってもいいと思うんだけどな。しかし、同じ筋書き、メインの曲は同じで3パターンも作品が作れるというのは、つくづくすごいと思います美女と野獣って。

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