【3分で読める#26】自分らしさの攻撃力が高い人たちについて
ある朝、自転車の壊れた音が聞こえた。
「なんの音かね?」ぼくが聞くと、「コジュケイ」妻が即答する。マジか…さすがに野鳥の会会員の名は伊達ではない。
それにしても独特な鳴き声だ。自転車が壊れながらも無理矢理こぐとああいう音がする(多分)。文字で表すなら、
ウッキャッピィ!
ウッキャッピィ!
みたいな感じだ。うん…全然伝わっていない気がする。気になる人はYouTubeかなんかで調べて欲しい。きっと出てくる。
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世の中には時折りこういう、パッと聞き・パッと見で強烈な印象を残してその後も覚えてもらえるみたいなそういうモノやヒトがいる。ぼくが考えるに、彼らはあくなき自分らしさの追求の末に、独創性および唯一性という点において尖りまくった存在なのである。ちなみに、ぼくはそういう方々を「自分らしさの攻撃力が高い」と表現していて、マジで尊敬している。
具体例を挙げてみよう。
たとえばピカソ。もう攻撃力がエグい。一度見たら最後、それ以降いわゆるピカソっぽい絵を見れば、まったく絵に詳しくなくてもそれだけで彼の作品だと多くの人が認識する。
たとえばモーツァルト。耳残りの良さが凄まじい。一度聴けば脳が勝手に覚えるレベル。それ以降モーツァルトの曲をCMや街中で聴くと「あ、これ聴いたことある」って多くの人が思う。
あげれば枚挙にいとまがないが、もう少し最近かつ身近なところで考えると、たとえば村上春樹さんもその部類に入る。ぼくはそこまで詳しく無いけれど、あの独特な文章の空気感はスゴイ。多くの人を惹きつけ離さないのも頷ける気がする。
ひょっとしたら彼らも最初は誰かの真似から始まったのかもしれないが、鍛錬の中でいつしか自分らしさが爆発して振り切れ、誰とも似ていない唯一無二の境地にたどり着いている。彼らはそういう意味において天才なのだ。
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ちなみに、ここまでの話はなにも有名人にのみ言えることではない。身近にも魅力的なヒトやモノは沢山ある。冒頭のウッキャッピィ鳥もそうだし、子どもの絵についても、誰とも似ていないその子らしさの爆発であるからこそ、惹きつけられるのだと思う。
多分気付いていないだけで、自然界には他にもスゴイものがたくさんある。むしろ、ぼく自身にもそういう力があるのかもしれない。
なるほど。
つまりは、ぼくが有名作家になる日も近いかもしれない。
そういうことだ。