英語の「今まで」と「これから」
私がオーストラリアで働いていた頃、日本からくる人たちの仕事の丁寧さ、勤勉さは飛び抜けていました。しかし現実は、英語力不足のせいで、現地では正当な評価はされません。
とても悔しいことだと思います。
自動翻訳機が当たり前の時代に求められる英語力
安くて約1万円から自動翻訳機が手に入る時代に、そもそも英語なんて必要なのだろうか? そんな疑問が、頭に過ぎることがないでしょうか。
私はこれからの時代、今以上に英語の必要性は高まると考えています。
もちろん、ビジネスの情報伝達や簡単なチャットなどに求められる英語力は全て自動翻訳機でカバーできます。日常生活で英語習得の必要性を感じる人は、少なくなるでしょう。
しかし「他者と協働して新しい価値を生み出す」「信頼関係を構築する」、という文脈において、自動翻訳機では補うことができない、と感じるタイミングが必ず来るでしょう。
そして、その時に求められる英語力の質も変わってくると思います。具体的に、どのような英語力が求められるのか…
より、自己表現にシフトした英語力の必要性が高まるのではないかと考えています。
今まで求められていた英語力
まずは、今まで求められていた英語力についてーー。
20年以上前から今までにかけて求められていた英語力は、いわゆる「英語ペラペラ」という概念です。つまり英語で流暢に話せるかどうか、が最も重視されています。
「英語ペラペラ」とはどのような状態かというと、以下のような要素を体現している状態です:
・ネイティブのような発音
・応答の速さ
・無理なく自信を持って話す態度
例えば、帰国子女の方が英語を話している姿を想像してみてください。上記の3つの要素を元に、その人を「英語がペラペラだ!」と判断していると思います。
しかしこの「英語ペラペラ」の概念は、重要な要素が欠けています。それは、思考プロセスです。ここでもう一度、上記で挙げた3つの要素を思い出してください。
「発音」「反応の速さ」「態度」… どれも英語を話している状態を外的に確認できる要素です。
つまり、話し手の「日本語から英語を再構築する過程」や「心の葛藤」、つまり思考プロセスが「英語ペラペラ」の要素には含まれないということです。
そして、そのことによって何が起こっているかというと、
英語をいくら勉強しても、理想の「英語ペラペラ」になれない人で日本は溢れています。
なぜなら、目標設定が誤っていて、解決方法が適切ではないからです。
みんな帰国子女やネイティブに憧れて英語を勉強します。しかし、いくら勉強しても英語を話す時に言葉に詰まってしまう。
日本国内で「英語ができる」と認識されている人の多くは、自分の英語力にコンプレックスを抱いている。これが「英語ペラペラ」という概念によって起こった弊害だと、考えています。
自動翻訳機がうんだ「ズレ」
以上が、今まで日本人が求めていた英語力と、その問題点です。
自動翻訳機の登場によって、「日本語から英語への再構築のプロセス」を代替してくれるようになりました。
日本語でパッと思ったことを、すぐに自動翻訳機器が英語に変換して、適切な発音で出力してくれる。
「今まで英語を話そうとして、言葉に詰まっていた…」そんな、今までの課題を解決してくれるになりました。
とても便利な一方で、自動翻訳機には問題もあります。それが「ズレ」です。
まずは、外的シグナルとメッセージの「ズレ」。
つまり、表情や態度といったコミュニケーションの外的要素の受信と、メッセージの受信に時差が生じます。時差は数秒ですが、その数秒が受け手に与えるストレスは計り知れません。
例えば、ビデオチャットの音声が数秒遅れて聞こえてくる。アーティストのライブで、ボーカルと他の楽器のリズムが合ってない。想像しただけで、かなりストレスがかかりそうですよね。
2つ目のズレは、文化的コンテキストの「ズレ」です。
文化ごとに、コミュニケーションは適したスタイルがあります。日本では当たり前なことが、逆に違う文化圏では失礼になることがありますよね。異文化理解力といっても、いいかもしれません。
上記の2つの「ズレ」を抱えたまま、コミュニケーションを続けると、どうなるでしょうか。
おそらく、答えは、コミュニケーションを取らなくなります。なぜなら、面倒臭いから。
英語ネイティブにとって、相手が自動翻訳機で話してくることは、精神的な負荷が高いのです。
自動翻訳機は、話し手の精神的な負荷を軽減させる一方で、受け手の精神的な負荷は重くなる、ということですね。
「ズレ」がある限り、相手と対等なコミュニケーションは取れません。
つまりコミュニケーションという文脈において、自動翻訳機は英語の課題を解決できないということです。
これからの時代に求められる英語力
「英語ペラペラ」ではない、自動翻訳機では解決できない。これからの時代に求められる英語力は、一体どんなものでしょう。
個人的には、コミュニケーションの本質が鍵になると考えています。
つまり、相手に対する「興味・関心」です。
話し相手に「興味」があると、私たちは「もっと、この人のことを知りたい」という欲求がうまれます。そして、深く相手を知っていく過程で信頼関係がうまれる。
自分から相手に興味を持つことは、意識を変えればすぐにできますよね。
それでは、相手から興味をもたれるためには、どうすればいいでしょうか?
ここで、最初に伝えた「自己表現」の重要性になります。
自分の「独自性」を相手に発信できる英語力。これが、これからの時代に求められる英語力です。
異文化と協働するために必要な信頼関係
インターネットの発展により、国、国籍関係なく、マルチ・ダイバーシティな環境で価値をうむことが、当たり前になっています。
これからの時代は、異文化との協働が避けては通れない流れがより強まるでしょう。
協働して価値を生むためには、仲間との信頼関係が重要になります。お互い信頼しているチームほど、合わさったときの総和が大きくなるからです。
流暢に話すことは大切かもしれません。しかし、それ以上に大切なことは、定型文やテンプレートに頼らず、自分の考えや想いを正しく相手に伝えることのできる力なのではと思います。
そして、これからの時代に必要な英語力を身につけることで、日本が抱えている大きな課題を解決できる。そう信じて、今の事業を改善し続けています。
著者ルークの自己紹介
長い文章を読んでくれてありがとうございました。
改めまして、こんにちは。ルークです。オーストラリアと日本のミックスです。
初めてNoteで投稿するので、私の自己紹介と、自分が何をやっているかについても、少し書こうと思います。
今はSOLO(ソロ)という会社を立ち上げて、毎日ヒーヒー言いながら社会に価値を残そうと頑張ってます。
幼少期は豪州と日本を行き来して育ち、大学は青山学院大学を卒業しました。教育課程を終了しているので、中高の教員免許を持ってます。
卒業後は、オーストラリアに帰国し就職。仕事に関してコネクションがなかったので、履歴書から面接の対策まで全て一人でおこなって、なんとか就職できた企業が「Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.」でした。
その後、中国語を学習するために台湾に移住。台北で言語交換をしながら、中国語を学びました。そして帰国後に、今の会社を立ち上げた感じです。
私は日頃から大切にしていることが、いくつかあります。当たり前のことかもしれませんが、こんなことを大切にしています:
・人の話をちゃんと聞く
・自分の心に嘘はつかない
・失敗してもいいから挑戦する
・考えることを放棄しない
・本質を考える
最近、少しできるようになったのが「考えることを放棄しない」ことです。今までは難しいことがあると、「とりあえず、やってみるか!」となりがちでしたね。
私は言語の才能も、ビジネスの才能もありません。毎日、地道に学びながら一歩ずつできることを増やしていくタイプです。
SOLO(ソロ)の紹介
立ち上げた会社は、SOLO(ソロ)と言います。やっていることは、簡単にいうとオンラインの英語サービスです。
海外進学・移住者向けのIELTS/TOEFL対策に特化したサービスと、ビジネスマン向けのマンツーマンサービスとです。
・SOLO IELTS TOEFL|IELTSとTOEFLの資格対策
・SOLO(ソロ)|「英語で深く話す」オンライン英会話
上記のサービス以前にも、これまでたくさん事業を立ち上げました。
「英語塾」「留学支援」「海外進学のサポート」「TOEICコーチング」「海外研修」「ウェブ作成」...
収益化はできたものの、どれも「これじゃない感」をずっと抱えていたのですね。それで思い切って、全ての事業を閉めて、2017年にSOLO(ソロ)を立ち上げた、という経緯があります。
ちなみにどちらの事業も、立ち上げるときに以下の3つをルールとして決めました。
ルール1:Provide Authenticity
(常に関わる人の課題を解決する本質を提供する)
ルール2:Being Honest
(自分たちの力を誇張せず常に正直である)
ルール3:Being Courageous
(失敗を恐れず挑戦を続ける)
これらの3つは、今までの事業運営での経験が元になっています。
かっこいい響きですが、簡単にいうと、
・「ちゃんと課題を解決しよう」
・「できないことはできないと言おう」
・「ダメなことはダメと言おう」
ということです。
まだまだ社会に大きなインパクトは与えられませんが、できる範囲で関わる人にいい影響を与えられるように頑張っています。
応援してくれたり、一緒になって価値を生んでくれることを助けてくれたら嬉しいです。
最後までよんでくれて、ありがとうございました!