試合感覚を積む
個人的な感覚なのだけど、言語を身につけることはスポーツで上達することと似ているなと感じることが多い。
スポーツの中でも特に動きの規則性がなく、複数人の思惑が重なりあうようなサッカーやバスケットボールなどは異文化コミュニケーションまんまじゃん、と感じてしまう。
野球はなんか違う。攻守が順番に来て、各選手に役割がある。
陸上や水泳も違う。正しいフォームを再現性を持って繰り返す。
実際のコミュニケーション、特に複数人と話す時は攻守が切り替わる明確なルールがなく、話はあっちこっちに飛んで変化に富んでいる。
文脈や話の流れによってその都度、最適な発言やアクションが求められる。
自分が元々サッカーをやっていたから、こんなに都合よく解釈できているのかもしれない。
ただ、上手いプレイヤー達とサッカーをやっている時に感じる「俺だけこのチームに馴染めていない…」という感覚は、複数人のネイティブと会話をした時に感じる孤独感となんだか似ている気がするのです。
仮に英語とサッカーが似ているとして、効果的な英語の勉強方法について何か別のアイデアがでるのだろうか。
「ネイティブと対等に話せる」という状態は、サッカーで言えば「試合で臆することなくプレーできる」みたいなことかな。
少し言葉が長い気がするので「プロで活躍できる」とここではしておこうと思う。
じゃあプロサッカー選手に必要な素質はなんだろう。
まず基礎運動能力は大切。90分間フィールドを駆け巡らなくてはならないし、フィジカルコンタクトがある。
あとはボールコントロール。パスやトラップ、シュートなどの精度が高くないとチームでの連携が機能しない。
後はやっぱり試合経験。その場の判断力や瞬発的な反応、プレー中の冷静を保つことなどは、一人でボールコントロールを磨いているだけでは身につかない。
きっと他にもあるだろうけど、私のない頭で考えても文章が止まってしまうので一旦ここまでにする。
基礎運動能力
ボールコントロール
試合経験
これを英語に置き換えたらどうなるだろう。
基礎運動能力は「単語や文法に関する知識量」かなぁ。
ボールコントロールは、発音だったり精読力。相手が言っていることを理解したり、自分が思っていることを相手に正しく伝える力。ライティングもここに入るかな。
試合経験は、そのコンテキストに応じた瞬発的な表現の引き出しだったり、会話の流れを掴んでいく力とかになるだろうか。
基礎運動力=単語・文法
ボールコントロール=発音・読解・表現
試合経験=その場に応じたアクション
うん、なんかこんなイメージであっている気がする。
こんな風に考えると、試合経験は実際に留学したり海外に住むことでしか得られない能力だから国内で身につけようと思っても身につかないことが分かる。
だからIELTSで8.5取れる人でも、現地に行ったら聞こえない・話せないという現象が起きるのかもしれない。だって試合に出たことがないのに、J1でプレーするようなものなのだから。
逆に試合だけ出てもプレーが上手くなることは無いんだよなぁ。だから海外生活が長くても勉強していなかった人は発音とか表現とかに改善できるポイントがある。
そういえば中学の夏休み、毎日サッカーの練習試合をやっていたことを思い出した。毎日やると試合自体は上手く運べるようになるんだけど、個人的な技術は全く向上しなかった。
適切な振り返りができれば何か学びはあったのかもしれない。だけど中学生にそれが出来る訳もなく、当時の部活では監督は怒号を飛ばすだけだった。
他に上手くなったことは監督がキレない程度に真剣さを出してプレーする技術くらいだ。
振り返りのない過剰なアウトプットは、能力開発ではなく省エネの方に意識が向くのかもしれない。
自分の息子もサッカーをやったらあれを経験するんだろうか。毎日電車代に昼食代。両親はきっと大変だっただろうな。
なんの話を書いてたっけ。そうだ、英語とサッカーが似ているということでした。
仕事上、ほぼ毎日英語に関する相談を受ける中で分かったことは、みんな英語に対して自信がない。コンプレックスを持っているということ。
その問題を解決するために、ある人はIELTSの問題集をひたすら解いたり。ある人は海外ドラマを英語字幕で延々と見たりしている。
こうやってノートに書いている中で思ったのが、そのような問題解決の手段が、実は問題の原因そのものを解決できない可能性もあるんじゃないかということです。
例えばIELTSやTOEFLなどの英語問題をひたすら解き続ける。留学前にできるだけ英語力をつけたいから。
だけど、これは語彙力のUPや、読解力のUPが見込める学習であって、相手に正しくパスをする力は身につかない。
基礎運動能力とボールコントロールという基盤スキルで不足する点が一つでもあれば、実際の試合では思ったような成果が出ないだろう。
試合経験を積むためには、スタメンとして試合に出場する回数を増やす必要がある。そのためには、その他のスキルの高い熟練度が必要だ。
何度パスをしても相手に届かない。英語でいくら “can I have banana pancakes?” とお願いしても、 “Hah!????” と怖い顔で返答されてたら、次第に自信がなくなりフィールドに立つ機会が減ってしまうだろう。
余談だが “banana” の発音は日本人にとって非常に難しい。発音記号に書き換えると [ bənǽnə ] になります。
まず破裂音の [ b ]。そして弱母音の [ ə ]。いずれも日本語にはない音声です。
ネイティブは母音の音に非常に敏感なので、日本語の「バ」[ ba ] と話しても伝わらない可能性が高いのです。
オンライン英会話も同じようなものだ。実際の試合と前提が違いすぎる。
オンライン上の先生は「聞く姿勢ができていて、あなたに伝わるように話す」
サッカーで言えば1対1のドリブル練習のような感じだろうか。相手は自分だけに意識を向けていればいい。
実際のコミュニケーションでは、相手は「話半分に私の話を聞いて、既に分かっているという前提の元会話を行う」
ここまで何が言いたかったのかというと、英語習得は現地に行かないと身につかないスキルがあるということ。そして、国内でできる学習は、なんの課題を解決するかということに焦点を当てないとあまり意味がないということ。
ドトールで頭の中に浮かぶ言葉をダラダラと書き起こしていたら2300字を超えてしまった。
誤字脱字、不適切な表現などあればあるかもしれません。先に謝っておきます!