見出し画像

これだけやっとけばホルモンはもう大丈夫だと思う。【ホルモン100問ノック】【解説付き】

内分泌系、ホルモンはまあ暗記することも多いので、ひたすらアウトプットするに尽きると思う。
ざーっとへーそうなんだと思いながら最初のサマリーだけ読んだら、あとは100問ノック、問題演習。解説もそれなりに詳しく書いてあるからそこでもまた勉強になる。
正直、文字読むの面倒くさいので最後の問題だけ解いてみて、間違えて→解説読む。の流れだけで十分だとも思う。



1. ホルモンの概観

ホルモンは体内の内分泌腺や内分泌組織から分泌される化学物質であり、生理機能の調節に重要な役割を果たしている。ホルモンは血液を介して標的器官に到達し、特定の生理的反応を引き起こして体の恒常性を維持している。この解説では、ホルモンの基本的な概念から、主要なホルモンの種類とその機能、ホルモンの分泌と調節のメカニズム、さらにホルモンに関連する疾患について詳述する。

2. ホルモンの定義と分類

2.1 ホルモンの定義

ホルモンとは、内分泌腺や内分泌組織から分泌され、血液中に放出される化学物質であり、体内の他の器官や組織に対して特異的な生理的効果をもたらす物質である。ホルモンは微量であっても強力な生理的影響を持ち、体の各機能を調節する役割を果たしている。

2.2 ホルモンの分類

ホルモンは以下のように分類される:

  1. ペプチドホルモン
    ペプチドホルモンはアミノ酸から構成されるホルモンで、通常は水溶性であり、血液中に溶けて運ばれる。例としてはインスリン、グルカゴン、成長ホルモンなどがある。これらのホルモンは細胞膜の受容体に結合し、細胞内のセカンドメッセンジャーを介して作用する。

  2. ステロイドホルモン
    ステロイドホルモンはコレステロールから合成されるホルモンで、脂溶性である。細胞膜を通過し、細胞内で作用する。例としてはエストロゲン、テストステロン、コルチゾールなどがある。これらのホルモンは細胞内の受容体に結合し、遺伝子の転写を調節することによって作用する。

  3. アミンホルモン
    アミンホルモンはアミノ酸から合成されるホルモンで、ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどがある。これらは水溶性または脂溶性であり、細胞膜の受容体に結合して作用する。

  4. 甲状腺ホルモン
    甲状腺ホルモンはヨウ素を含むホルモンで、甲状腺で合成される。甲状腺ホルモンにはT3(トリヨードサイロニン)とT4(チロキシン)がある。これらのホルモンは代謝の調節に重要である。

2.3 ホルモンの作用機序

ホルモンは主に以下の二つの方法で作用する:

  1. 細胞膜受容体を介する作用
    ペプチドホルモンやアミンホルモンは、細胞膜に存在する受容体に結合し、細胞内のセカンドメッセンジャー(例:cAMP、IP3)を活性化する。この経路を通じて、細胞内の酵素活性が調節され、最終的な生理的反応が引き起こされる。

  2. 細胞内受容体を介する作用
    ステロイドホルモンや甲状腺ホルモンは、細胞膜を通過し、細胞内の受容体に結合する。受容体-ホルモン複合体は核内に移行し、遺伝子の転写を調節することで、タンパク質合成を変化させ、生理的反応を引き起こす。

3. 主なホルモンとその機能

3.1 脳下垂体ホルモン

脳下垂体は脳の下部に位置し、前葉と後葉の二つの部分がある。それぞれが異なるホルモンを分泌する。

  1. 前葉ホルモン

    • 成長ホルモン(GH)
      成長ホルモンは体の成長を促進し、代謝を調節する。主に骨や筋肉の成長を刺激し、タンパク質合成を促進する。また、脂肪分解を助け、エネルギーの供給を調整する。

    • 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
      ACTHは副腎皮質に作用し、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンの分泌を刺激する。ストレス応答や代謝の調節に関与する。

    • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
      TSHは甲状腺に作用し、甲状腺ホルモン(T3、T4)の分泌を促進する。これにより、体の代謝が調節される。

    • 卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)
      FSHとLHは性腺に作用し、卵巣や精巣でのホルモン分泌と生殖機能を調節する。FSHは卵胞の成熟や精子の生成を促進し、LHは排卵や黄体形成を助ける。

    • プロラクチン(PRL)
      プロラクチンは乳腺に作用し、乳汁の分泌を促進する。妊娠中や授乳期に重要な役割を果たす。

  2. 後葉ホルモン

    • 抗利尿ホルモン(ADH、バソプレシン)
      ADHは腎臓に作用し、尿の濃縮を促進する。体内の水分バランスを調節し、血液の浸透圧を維持する。

    • オキシトシン
      オキシトシンは子宮の収縮を促進し、分娩を助ける。また、乳腺での乳汁分泌を促進し、授乳の際に重要な役割を果たす。

3.2 甲状腺ホルモン

甲状腺は首の前部に位置し、以下のホルモンを分泌する:

  1. チロキシン(T4)
    T4は体の代謝を促進し、エネルギーの消費を増加させる。細胞内の代謝率を高め、基礎代謝を調整する。

  2. トリヨードサイロニン(T3)
    T3はT4よりも強力な代謝促進作用を持ち、体内のエネルギー代謝を調節する。特に細胞のエネルギー消費を直接的に調節する。

  3. カルシトニン
    カルシトニンは血中のカルシウム濃度を低下させ、骨にカルシウムを取り込むことを促進する。骨のリモデリングやカルシウムの恒常性に関与する。

3.3 副腎ホルモン

副腎は腎臓の上部に位置し、以下のホルモンを分泌する:

  1. コルチゾール
    コルチゾールはストレス応答を調節し、代謝、免疫応答、抗炎症作用を持つ。糖新生を促進し、エネルギー供給を調整する。慢性的な高コルチゾール状態はクッシング症候群を引き起こす。

  2. アルドステロン
    アルドステロンは腎臓の集合管に作用し、ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を調節する。これにより、体内の電解質バランスと血圧の調整に寄与する。

  3. アドレナリンおよびノルアドレナリン
    アドレナリンとノルアドレナリンは副腎髄質から分泌され、急性のストレス応答に関与する。心拍数の増加、血管の収縮、エネルギーの動員などの生理的反応を引き起こす。

3.4 性腺ホルモン

性腺は卵巣および精巣で、以下のホルモンを分泌する:

  1. エストロゲン
    エストロゲンは女性の第二次性徴の発達を促進し、月経周期の調節に関与する。骨密度の維持や脂肪分布の調整にも寄与する。

  2. プロゲステロン
    プロゲステロンは月経周期の後半に分泌され、子宮内膜の維持や妊娠の維持に重要な役割を果たす。また、妊娠中には胎盤から分泌される。

  3. テストステロン
    テストステロンは男性の第二次性徴の発達を促進し、筋肉量の増加、体毛の発育、声の変化などに寄与する。女性にも微量に分泌され、性機能や骨密度に影響を与える。

3.5 膵臓ホルモン

膵臓は内分泌機能と外分泌機能を持つ。内分泌機能を担うのはランゲルハンス島であり、以下のホルモンを分泌する:

  1. インスリン
    インスリンは血糖値を低下させ、細胞内へのグルコースの取り込みを促進する。これにより、血糖値の恒常性を維持し、エネルギー供給を調整する。

  2. グルカゴン
    グルカゴンは血糖値を上昇させ、肝臓からグルコースの放出を促進する。インスリンと逆の作用を持ち、血糖値を調節する。

  3. ソマトスタチン
    ソマトスタチンはインスリンやグルカゴンの分泌を抑制することで、血糖値の調節に寄与する。また、消化酵素の分泌にも関与する。

4. ホルモンの分泌と調節

4.1 ホルモンの分泌

ホルモンは内分泌腺から分泌され、血液を通じて全身の標的器官や組織に作用する。この分泌の調節メカニズムには複数の要素が関与しており、主なものにはフィードバック機構、神経系の調節、内因性リズムがある。

フィードバック機構

ホルモン分泌の調節において、フィードバック機構は重要な役割を果たす。主にネガティブフィードバックが働いており、これはホルモンの分泌量が一定以上になると、そのホルモンの作用が他のホルモンの分泌を抑制することでバランスを保つメカニズムである。たとえば、甲状腺ホルモン(T3、T4)は甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑制し、自身の分泌を調節する。これにより、過剰なホルモンの分泌が防がれる。

ネガティブフィードバックの他にもポジティブフィードバックが存在するが、こちらは通常、ホルモンの分泌がさらに促進される状況に関与する。たとえば、出産時のオキシトシンの分泌はポジティブフィードバックの一例であり、子宮収縮が進むことでさらにオキシトシンの分泌が増加し、分娩が進行する。

神経系の調節

神経系はホルモンの分泌に直接的な影響を与えることがある。特に交感神経系はストレスや急性の状況に反応してホルモンの分泌を調節する。たとえば、ストレスに応じて交感神経系は副腎髄質からアドレナリンを分泌させる。アドレナリンは急性のストレス応答に関与し、心拍数や血圧の上昇を引き起こすことで、体が迅速に反応できるようにする。このメカニズムにより、体は緊急時に必要なエネルギーと代謝を即座に調整できる。

また、交感神経系と副交感神経系の相互作用は、自律神経系のバランスを保ち、ホルモンの分泌を調整する。副交感神経系はリラックス時や休息時に働き、アドレナリンの分泌を抑制する一方、交感神経系は活動的な状態やストレス時に優位となり、アドレナリンの分泌を促進する。

内因性リズム

ホルモンの分泌は内因性リズム、つまり生理的なリズムに従って調節されることがある。日内リズム(サーカディアンリズム)は、体内のホルモン分泌に大きな影響を与える。たとえば、コルチゾールは典型的な日内リズムを持ち、朝にピークを迎え、夜間には低下する。このリズムにより、体の活動レベルが調整され、睡眠と覚醒のサイクルが管理される。コルチゾールの分泌は体の代謝やストレス応答にも重要な役割を果たす。

また、メラトニンは睡眠と覚醒のリズムに関与し、光の刺激によって分泌が調節される。夜間に分泌が増加し、体に睡眠を促す信号を送る。この内因性リズムは、体の生理機能を維持し、健康を保つために重要である。

4.2 ホルモンの代謝と排泄

ホルモンは体内で代謝され、最終的には排泄される。この過程は体内のホルモン濃度を調節し、ホルモンの作用を終わらせるために必要である。主な代謝経路には肝臓での代謝と腎臓での排泄がある。

肝臓での代謝

ホルモンは肝臓で代謝され、通常は非活性な形態に変換される。肝臓はホルモンの解毒と代謝の中心であり、多くのホルモンが肝臓で変化を受ける。肝臓の酵素、特にシトクロムP450系の酵素がホルモンの化学構造を変化させ、活性を失わせる。この過程でホルモンは水溶性の形態に変わり、尿や胆汁を通じて体外に排泄される。たとえば、エストロゲンやテストステロンは肝臓で代謝され、最終的には腎臓を通じて排泄される。

肝臓での代謝には変換、抱合、分解が含まれる。変換はホルモンの構造を化学的に変更する過程で、抱合はホルモンにグルクロン酸や硫酸を結合させて水溶性を高めるプロセスである。これにより、ホルモンの排泄が容易になり、体外に排出される。

腎臓での排泄

ホルモンの代謝産物は主に尿中に排泄される。腎臓は体液のバランスを調整し、不要なホルモンやその代謝産物を尿中に排泄する役割を果たす。腎臓では、血液が糸球体でろ過され、尿細管で再吸収と分泌が行われる。このプロセスにより、ホルモンの濃度が調節され、過剰なホルモンや代謝産物が体外に排泄される。腎機能の障害があると、ホルモンの代謝や排泄に影響を及ぼし、体内のホルモン濃度が異常になることがある。

また、腎臓はホルモンの活性化にも関与しており、例えばビタミンDの活性化は腎臓で行われる。腎臓はまた、エリスロポエチンというホルモンを分泌し、赤血球の生成を調節する。

このように、ホルモンの代謝と排泄は体内のホルモンバランスを維持するために重要であり、肝臓と腎臓の協調的な機能によって行われる。5. ホルモン関連の疾患

5.1 甲状腺疾患

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる疾患で、体の代謝が亢進する。以下の症状が見られる:

  • 体重減少:食欲が正常であっても体重が減少する。

  • 心拍数の増加:頻脈や動悸が現れる。

  • 発汗:異常な発汗が起こる。

  • 手の震え:手指が震えることがある。

  • 不安感や興奮:精神的な不安や興奮状態が続くことがある。

診断方法には以下がある:

  • 血液検査:甲状腺ホルモン(T3、T4)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)のレベルを測定する。

  • 甲状腺の超音波検査:甲状腺の大きさや形状を評価し、結節の有無を確認する。

  • 放射線検査:放射性ヨウ素摂取試験などで甲状腺の機能を評価する。

治療方法には以下がある:

  • 抗甲状腺薬:メチマゾールやプロピルチオウラシルなど、甲状腺ホルモンの産生を抑える薬剤を使用する。

  • 放射線療法:放射性ヨウ素を用いて甲状腺組織を破壊し、ホルモン分泌を減少させる。

  • 外科手術:甲状腺の一部または全体を切除する手術を行う場合がある。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌不足により、体の代謝が低下する状態である。以下の症状が見られる:

  • 体重増加:食事量が変わらないにもかかわらず体重が増加する。

  • 疲労感:持続的な疲労感や倦怠感がある。

  • 寒がり:冷え性や寒さに対する感受性が増す。

  • 乾燥肌:皮膚が乾燥し、かさつくことがある。

  • 便秘:腸の運動が低下し、便秘が生じることがある。

  • 脱毛:髪の毛が抜けやすくなる。

診断方法には以下がある:

  • 血液検査:TSHおよび甲状腺ホルモン(T3、T4)のレベルを測定する。

  • 甲状腺の超音波検査:甲状腺の構造やサイズを評価する。

  • 甲状腺の核医学検査:放射性ヨウ素やテクネチウムを使用して甲状腺の機能を評価する。

治療方法には以下がある:

  • 甲状腺ホルモンの補充:レボチロキシン(T4)を用いて不足するホルモンを補充する。

  • 生活習慣の改善:バランスの取れた食事や適度な運動を取り入れることで、症状の緩和を図る。

甲状腺炎(橋本病)

甲状腺炎は自己免疫反応によって甲状腺が炎症を起こす疾患であり、甲状腺機能低下症を伴うことが多い。以下の症状が見られる:

  • 頸部の腫れ:甲状腺が腫れて、頸部にしこりが触れることがある。

  • 持続的な疲労感:倦怠感や体力の低下を感じる。

  • 寒がり:寒さに対する感受性が増し、常に冷えを感じる。

  • 肌の乾燥:皮膚が乾燥し、かさつくことがある。

診断方法には以下がある:

  • 抗甲状腺抗体検査:抗甲状腺抗体(抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)の測定を行う。

  • 甲状腺の超音波検査:甲状腺の炎症や結節の有無を評価する。

  • 甲状腺の生検:必要に応じて甲状腺の組織を採取し、炎症の程度を評価する。

治療方法には以下がある:

  • 甲状腺ホルモンの補充:甲状腺機能低下症がある場合にはレボチロキシンなどの補充療法を行う。

  • 抗炎症薬:必要に応じてステロイド薬などを使用し、炎症を抑える。

5.2 糖尿病

1型糖尿病

1型糖尿病は自己免疫反応により膵臓のβ細胞が破壊され、インスリン分泌が不足する疾患である。以下の症状が見られる:

  • 高血糖:血糖値が異常に高く、尿中にグルコースが排泄される。

  • 頻尿:尿の頻度が増加し、尿量も増える。

  • 喉の渇き:口渇感が強くなる。

  • 体重減少:エネルギー不足により体重が減少する。

  • 視力障害:高血糖による眼の水晶体の変化が見られることがある。

診断方法には以下がある:

  • 血糖値の測定:空腹時血糖値や随時血糖値を測定する。

  • HbA1c検査:過去2~3ヶ月の平均血糖値を測定する。

  • Cペプチド検査:β細胞の機能を評価するためにCペプチドのレベルを測定する。

治療方法には以下がある:

  • インスリン療法:外因性のインスリンを注射し、血糖値を調節する。

  • 血糖自己測定:頻繁に血糖値を測定し、インスリンの投与量を調整する。

  • 食事療法:適切な食事を摂取し、血糖値のコントロールを図る。

2型糖尿病

2型糖尿病はインスリンの作用が低下し、血糖値が高くなる疾患である。以下の症状が見られる:

  • 高血糖:血糖値が高くなり、尿中にグルコースが含まれる。

  • 頻尿:尿の頻度が増加し、尿量も増える。

  • 喉の渇き:口渇感が強くなる。

  • 体重増加:肥満が進行し、体重が増加する。

  • 疲労感:エネルギー不足により、持続的な疲労感を感じる。

診断方法には以下がある:

  • 血糖値の測定:空腹時血糖値や随時血糖値を測定する。

  • HbA1c検査:過去2~3ヶ月の平均血糖値を測定する。

  • 経口ブドウ糖負荷試験:糖負荷試験を行い、インスリンの分泌と血糖値の変化を評価する。

治療方法には以下がある:

  • 食事療法:バランスの取れた食事を心がけ、血糖値のコントロールを図る。

  • 運動療法:定期的な運動を行い、インスリンの感受性を向上させる。

  • 経口血糖降下薬:メトホルミンやスルフォニル尿素薬などを用いて血糖値を管理する。

  • インスリン療法:必要に応じて外因性のインスリンを使用する。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は妊娠中に発症する糖尿病であり、妊娠前に糖尿病の診断がない場合に見られる。以下の症状が見られる:

  • 体重増加:妊娠中の体重増加が過剰になることがある。

  • 頻尿:尿の頻度が増加し、尿量も増える。

  • 喉の渇き:口渇感が強くなる。

  • エネルギーの低下:疲労感や体力の低下を感じる。

診断方法には以下がある:

  • 経口ブドウ糖負荷試験:妊娠中に糖負荷試験を実施し、血糖値の変化を測定する。

  • HbA1c検査:過去2~3ヶ月の平均血糖値を測定する。

治療方法には以下がある:

  • 食事療法:糖質制限や食事の工夫を行い、血糖値を管理する。

  • 運動療法:適度な運動を行い、血糖値のコントロールを図る。

  • インスリン療法:必要に応じてインスリン療法を行う。

5.3 副腎疾患

クッシング症候群

クッシング症候群は副腎からのコルチゾールの過剰分泌が特徴であり、以下の症状が見られる:

  • 体重増加:特に腹部に脂肪が集中する。

  • 高血圧:高血圧が持続することがある。

  • 皮膚の変化:皮膚が薄くなり、紫斑ができることがある。

  • 糖尿病:高血糖により糖尿病が発症することがある。

  • 筋肉の萎縮:筋肉が萎縮し、筋力低下が見られる。

診断方法には以下がある:

  • 24時間尿中コルチゾール測定:尿中のコルチゾールレベルを測定する。

  • 血液検査:血中コルチゾールおよびACTH(副腎皮質刺激ホルモン)レベルを測定する。

  • デキサメタゾン抑制試験:デキサメタゾンの投与後のコルチゾールレベルを測定し、異常を確認する。

治療方法には以下がある:

  • 手術:副腎の腫瘍や異常な組織を切除する手術を行う。

  • 放射線療法:放射線を用いて副腎腫瘍や下垂体腫瘍を治療する。

  • 薬物療法:コルチゾールの合成を抑制する薬剤(例:ケトコナゾール、メチラポンなど)を使用する。

アジソン病

アジソン病は副腎皮質ホルモンの分泌不足により、以下の症状が見られる:

  • 低血圧:持続的な低血圧が現れる。

  • 疲労感:持続的な疲労感や倦怠感がある。

  • 体重減少:体重が減少し、食欲が低下する。

  • 皮膚の色素沈着:皮膚や粘膜に色素沈着が見られる。

  • 電解質異常:ナトリウムやカリウムのバランスが崩れることがある。

診断方法には以下がある:

  • ACTH刺激試験:ACTHを投与し、副腎皮質ホルモンの応答を測定する。

  • 血液検査:血中のコルチゾールおよびACTHレベルを測定する。

  • 電解質検査:ナトリウムやカリウムのレベルを測定し、異常を確認する。

治療方法には以下がある:

  • 副腎皮質ホルモンの補充:ヒドロコルチゾンやフルドロコルチゾンを用いてホルモンを補充する。

  • 塩分補給:食事から塩分を適切に補給する。

原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症は副腎からのアルドステロンの過剰分泌が特徴で、以下の症状が見られる:

  • 高血圧:持続的な高血圧が現れる。

  • 低カリウム血症:血中カリウム濃度が低下する。

  • 筋力低下:筋肉の痙攣や力が入りづらくなる。

  • 頻尿:尿の頻度が増加する。

診断方法には以下がある:

  • 血液検査:血中アルドステロンおよびレニンのレベルを測定する。

  • 塩分負荷試験:塩分を摂取し、アルドステロンの分泌変化を評価する。

  • CTスキャン:副腎の画像検査を行い、腫瘍や異常を確認する。

治療方法には以下がある:

  • 薬物療法:ミネラルコルチコイド拮抗薬(例:スピロノラクトン)を使用する。

  • 外科手術:副腎腫瘍を切除する手術を行うことがある。

5.4 性腺疾患

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

PCOSは女性の卵巣に複数の小さな嚢胞が形成される疾患で、以下の症状が見られる:

  • 月経不順:月経周期が不規則または無月経になることがある。

  • 過剰な男性ホルモン:体毛の増加やニキビ、脱毛が見られることがある。

  • 肥満:体重の増加や肥満が見られることがある。

  • 不妊:排卵障害により不妊の原因となることがある。

診断方法には以下がある:

  • 超音波検査:卵巣の形態を評価し、嚢胞の有無を確認する。

  • ホルモン検査:テストステロンやLH(黄体形成ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)などのホルモンレベルを測定する。

  • グルコース耐性試験:インスリン抵抗性を評価するための試験を行う。

治療方法には以下がある:

  • ホルモン療法:避妊ピルやプロゲステロンを用いてホルモンバランスを調整する。

  • 生活習慣の改善:適切な食事や運動によって体重管理やインスリン感受性を向上させる。

  • 排卵誘発薬:クロミフェンやメトホルミンを用いて排卵を促進する。

性腺機能低下症

性腺機能低下症は性ホルモンの分泌不足により、以下の症状が見られる:

  • 不妊:性ホルモンの不足により、妊娠が困難になる。

  • 性機能の問題:リビドーの低下や勃起不全、月経不順が見られる。

  • 骨密度の低下:骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクが増加する。

  • 筋力低下:筋肉量の減少や筋力低下が見られる。

診断方法には以下がある:

  • ホルモン検査:テストステロンやエストロゲン、LH、FSHのレベルを測定する。

  • 画像検査:性腺の状態を評価するための超音波やCTスキャンを行う。

治療方法には以下がある:

  • ホルモン補充療法:性ホルモンの不足を補うためにホルモン剤(テストステロンやエストロゲン)を使用する。

  • 生活習慣の改善:適切な運動や食事を通じて骨密度や筋力を維持する。


ホルモンを完全攻略する問題演習


問題1: ホルモンの分泌調節メカニズムについて正しい説明はどれか?

A. ポジティブフィードバックはホルモンの分泌が減少することで調節する。
B. 神経系はホルモンの分泌を完全に制御し、内因性リズムは関与しない。
C. ネガティブフィードバックはホルモンの分泌量が増加すると、他のホルモンの分泌を抑制する。
D. 内因性リズムはホルモン分泌に影響を与えず、ストレス時にのみ調節される。
E. 神経系の調節はホルモン分泌には影響を与えない。

解答: C

解説: ネガティブフィードバックは、ホルモンの分泌が一定のレベルを超えると、ホルモンの作用が他のホルモンの分泌を抑制し、バランスを保つ仕組みです。ポジティブフィードバックとは異なり、ネガティブフィードバックはホルモンの分泌量を減少させる方向に働きます。神経系や内因性リズムもホルモンの分泌調節に重要な役割を果たします。

問題2: 以下のホルモン代謝経路で正しいものはどれか?

A. エストロゲンは腎臓で非活性化され、尿中に排泄される。
B. コルチゾールは主に肝臓で代謝され、胆汁を通じて排泄される。
C. テストステロンは腎臓で活性化され、血液中に分泌される。
D. ビタミンDの活性化は腎臓で行われる。
E. エストロゲンは腸で代謝され、便中に排泄される。

解答: D

解説: ビタミンDの活性化は腎臓で行われ、体内でのカルシウムとリンの代謝に重要です。エストロゲンやテストステロンは肝臓で代謝され、代謝産物は主に尿中に排泄されます。コルチゾールも肝臓で代謝されますが、胆汁を通じて排泄されるわけではありません。

問題3: 甲状腺機能亢進症に関する説明として正しいものはどれか?

A. 甲状腺機能亢進症では甲状腺ホルモンの分泌が不足し、代謝が低下する。
B. 診断には血液検査や甲状腺の超音波検査が用いられる。
C. 治療には甲状腺ホルモンの補充療法が主に用いられる。
D. 甲状腺機能亢進症の症状には体重増加、寒がり、乾燥肌が含まれる。
E. バセドウ病は甲状腺機能低下症の一種である。

ここから先は

16,734字

¥ 300

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?