美術館を立ち上げる
美術館の仕事をするようになって5年以上が経ちました。
全国には1,000以上の美術館があると言われています。
そのうち私が運営に一部でも関わった美術館は、わずか1%ほど。
サントリー美術館
私と美術館は、
「なんでお前やねん」から始まっている。
それがなんなのかは、
↓こちらから
私の会社は本来、お客様サービスがメインなのですが、
サントリー美術館では、
簡単な作品解説や、教育普及の企画などもやったので、
学芸員とも、非常に近い位置にいたり、
美術館運営にどっぷり参加させてもらっていた。
全ては上の一言に端を発しているが、
本当に良い経験だった。
その後、サントリー美術館を含め4つの美術館の統括になったが、
日本美術
西洋美術
現代アート
建築
と全て違うカテゴリーを担当させてもらい、
本当に幅が広がった。
それに単なる運営だけでなく、
対話型鑑賞に出会えたのは、また大きな出来事だった。
正直、美術館と対話型鑑賞が
ライフワークになりつつあるかもしれないくらい。
2018年夏
ちょうど、2年前。
話を聞きに行って欲しいと京都駅にいた。
午前中は東京で打ち合わせがあって、
午後の移動。翌日も朝から東京で打ち合わせだったので、
日帰りだった。
この打ち合わせをきっかけに、
運営を受託するためのプロジェクトが立ち上がる。
この時は、実は渋谷の美術館の立ち上げもやっていて、
ドタバタだったが、いつも二足も三足も草鞋をはかされるのが、
私のいつもの持ち回り。
壮大な試算が始まった。
2018年秋
プロジェクトが本格的に始まり、
先方と頻繁に打ち合わせをする日々が始まった。
先方の話に合わせて、試算を繰り返す日々。
2019年春
美術館のリニューアルを1年後に控えて、
記者発表があった。
まだ正式な関係者ではないので参加はできなかったが、
そのあと東京で打ち合わせをした時に
運営の受託の前に新たな業務のプロポーザル入札があることがわかった。
マニュアル作成だった。
普通はオープンしてからつくるけど、
事前に作りたいと。
なんとか提案書を書き、無事に受託。
2019年夏
マニュアルの作成で2週間に1度は京都へ
時に1時間の打ち合わせのために京都に移動なんて日もあった。
今では信じられない状況。
あまりにも、日帰りが多いので、
妻には京都に出張ではなく、打ち合わせのため移動と言っていた。
前年に発足したプロジェクトの分科会的に、
マニュアルチームができ、私も当然ながら参加。
このメンバーのほとんどが、今、現場の責任者を担ってくれている。
1年以上かけてチームを作れたのは本当にありがたい。
この時間があったからこそ、
無事に立ち上げられたんだろう。
2019年冬
年末ギリギリに、運営にプロポーザル入札が決まった。
正直、マニュアルも作りながら、提案書をまとめるのは、難義だったが、
なんとか書き、ヒアリングも受け、
無事に受託。
プロジェクトを通して、美術館とはどうあるべきか?
最も考えた時間だったかもしれない。
2020年春
リニューアルオープンするはずだった。
コロナの影響が本格化している時だったので、
たしかに仕方がない。
関係者への内覧会だけ実施して、
臨時閉館となった。
準備は当初の予定よりも短くなってしまい
常にバタバタしていた。
無事に内覧会ができただけでも御の字だった。
内覧会が全部で3日間あったが、
毎日3万歩歩いていた。
もちろん美術館の中を
たしかに広い美術館だったが.....
そして緊急事態宣言。
4月中旬から5月の連休まで
自宅でテレワーク。
遠隔での指示は大変だったが、
その分、現地のマネージャーが育ってくれた。
リニューアルオープン
5月下旬
2ヶ月遅れで、リニューアルオープン。
その1週間前から、スタッフに改めて研修を実施。
2ヶ月も仕事がなかったのに、
150名近くいるスタッフのほとんどが辞めずに待っていてくれた。
嬉しいばかり。
ここからしばらく、長野と京都の行き来が始まる。
今まで携わってきた美術館は、
ほぼその館での美術展は、その時期には1つ
同時に3つやっていたところもあったが、
期間も同じだったし、限られたスペースだった。
今回の美術館は、とにかく広い
そして、ジャンルの違う展覧会を展開している。
今回の状況下でも、いち早く再開した美術館業界。
その中でも早い方の再開だったので、
周りの知見もなく。
対策するのがリニューアルだったのかもしれないと思うほどだった。
本来の美術館のポテンシャルから考えると
現在はプレオープン状態。
立ち上げたとはまだ言い切れない状態。
まだまだスタッフもマネージャーも
そして美術館そのものも、
のびしろがたっぷり。
実質の本格的オープンに向けて、
まだ走るのみ。