子ども(未成年)が逮捕された場合に弁護士の僕ならどうするか-15(観護措置の回避)
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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。
僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。
ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。
あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。
ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:少年事件 】
今日も、昨日に引き続き少年事件について書いていきます。
めちゃくちゃ当たり前のことを書いてみますが、逮捕された子どもも、いつか必ずシャバに出てきます。
自分の息子について、「シャバ」とか「ムショ」という言葉は使いたくはありませんが、逮捕されてしまった現実と向き合うことが大切なので、あえて「シャバ」と言わせてもらいます。
「いつか必ずシャバに出てくる」というのは、別に少年事件に限った話ではありません。
成人の場合も、死刑判決が確定しない限り、いつか必ずシャバに出てきます。
もちろん、刑務所内で亡くなってしまい、外に出られないままとなるケースもあるでしょうが、少なくとも、生きていれば、いつか必ず出てこれます。
無期懲役であっても、仮出所で出られることが多いです。
そうすると、逮捕されようが、少年院に入れられようが、いつか必ず外に出てくるので、大切なのは、「いつ出るか?」ということになります。
もちろん、「なるべく早く出たい」、ということになるのでしょうが、逮捕されてしまうと、おいそれと出られるわけではなくって、出るにもタイミングがあり、そのタイミングを見計らって作戦を練り、実行に移すことが肝要になってきます。
少年事件の場合、逮捕・勾留の時点(警察署にいる時点)でも、勾留を認める裁判に対する不服申立てなど、釈放の手段はありますが、これが認められる可能性は極端に低いです。
可能性が低いことがきっとおかしいんだと思いますが、何の力もない僕1人が「おかしい!」といくら叫んだところで、現実は1ミリも変わりません。
だから、逮捕・勾留の時点では釈放されない、という現実を真摯に受け止め、作戦を練ります。
最初にやってくる狙い目(タイミング)は、逮捕・勾留が終わって、家庭裁判所に「送致」される段階です。
家庭裁判所に「送致する」という言い方は、難しい言い回しですが、現実に、逮捕されている少年が家庭裁判所に警察車両で移動させられるのが「送致」です。
もちろん、途中で逃げ出すことはできません。逃げ出すことができない状態のまま、家庭裁判所に移動させられ、裁判官と面談させられるのが、「送致」という手続です。
送致された少年は、裁判官と面談した上で、その裁判官から、鑑別所送りにされるかどうかを決められることになります。
その裁判官が「鑑別所に入れなさい」と判断すれば、外に出られないまま、家庭裁判所から鑑別所に移動させられ、鑑別所で4週間過ごすことになります。
裁判官が「鑑別所に入れなくてもいいよ」と判断すれば、家庭裁判所で釈放され、家に帰ることができます。
だから、家庭裁判所に送致されるタイミングが、外に出られるチャンスとしてめちゃくちゃ大切なんです。
このチャンスをどう活かすかというと、家庭裁判所の裁判官に、釈放を判断してもらえるよう働きかけるのです。
「働きかける」とは、具体的に何かというと、僕だったら、送致されたその日に、家庭裁判所に行きます。
裁判所に行くことで、「釈放されたら、父親である私が、そのまま家に連れて帰りますから心配ご無用ですよ」と裁判官にアピールするわけです。
で、あとは、弁護士にも送致当日に家庭裁判所まで来てもらいます。
父親本人と裁判官が話してくれる可能性は低いですが、弁護士とであれば、裁判官は話してくれる可能性があります。
僕は実際に話してもらったことがあります。しかも、話したおかげで、鑑別所を回避できました。
だから、是が非でも、送致当日は、弁護士から裁判官にアピールしてもらわなきゃいけません。
この「アピール」も、弁護士の腕の見せ所です。事件の「本質」を見極めて、限られた短い時間で裁判官に、「鑑別所に入れる必要はないな」と思わせなきゃいけません。
今回の事件は、僕の息子が覚せい剤を使用したというもの(設定)ですが、その原因は、
・交友関係
・人生に楽しいことがない
という2つでした。
息子がまた高校に戻って勉強を頑張りたいと思っていること、そして、父親が裁判所までやってきているので、そのまま自宅に帰らせるから心配いりませんよ、弁護士から裁判官に伝えてもらう。
そして、高校とも話し合いをしていて、その話し合いでは、鑑別所を回避して、保護観察となれば、また復学を認めるという話がついているとか、そういった、鑑別所を回避することが、少年の将来にとってプラスに働くことも伝えます。
鑑別所に入れたせいで復学が認められないと、更生にとってもマイナスですよね。そういった、裁判官が、鑑別所に入れなくても済むような事情を1つ1つ丁寧に説明していくことが大切だと僕は思います。
その結果、無事に、鑑別所を回避できたという設定で、次回以降は話を進めていきます。
それではまた明日!・・・↓
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