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親権は、子どもにとって軛(くびき)になることもある

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:親権がマイナスに働くことも 】

2022年4月1日から、成人年齢が18歳に引き下げられました。

成人年齢とは、まさしく、「成人になる年齢」を意味しますが、じゃあ、「成人になった」らどうなるかというと、

・契約が取り消せなくなる
・親権がなくなる

という2つの効果があります。

「契約が取り消せなくなる」という点に、フォーカスが当てられがちですが、まあ、確かに大切です。

未成年者が契約を結んだ場合、法定代理人の同意がなければ、あとで取り消すことができます。

だから、未成年者と契約する場合は、法定代理人(たいていは、親権者)の同意を書面でもらっとくわけです。

未成年の契約当事者の署名押印欄の近くに、法定代理人の署名押印欄を別途設けて、その欄に法定代理人にも署名押印してもらうことで、「法定代理人の同意」を得た証拠を残して、あとから契約を取り消されないようにしておくのです。

2022年3月31日までは、契約当事者が19歳以下ならば、法定代理人に同意してもらわないと、取り消される可能性がありましたが、2022年4月1日以降は、18歳以上であれば、契約が取り消される危険性はなくなりました。

ま、これが大きい変化なんですが、もう1つ、

・親権がなくなる

という、大きな変化があります。

そもそも、「親権」が「法定代理人」の根拠です。

「親権」の要素の1つに「財産管理権」というのがあります。

「財産管理権」とは、子どもの財産を子どもに代わって処分したり、子どもに代わって契約したりする権限のことです。

この「財産管理権」があるからこそ、親権者は「法定代理人」となっています。

その結果、

・親権者の同意がないと契約が取り消されるかもしれない
→親権者の同意がないと契約させてくれない
→親権者の同意がないと契約できない

このように見えてしまうのです。

赤ちゃんの名義で預金口座を開設できることからわかるとおり、未成年者も契約当事者になれるに決まっていて、未成年が契約「できない」というのは間違いです。

未成年者も、契約できます。

しかし、

・法定代理人(親権者)が未成年者に代わって契約手続きを行う(親が子ども名義で預金口座を開設してあげる)
・親権者の同意を得て、本人が契約手続きを行う

このどちらかに該当しないと、契約が後から取り消されちゃうかもしれないので、契約してくれないのです。

成人年齢が引き下げられたことによって、18歳になれば、未成年者が単独で契約手続しても、契約させてくれます。

だって、後から取り消されちゃう危険性がないからです。

こういった、「親権」システムのせいで、未成年のうちは、親の意向に従わざるを得ません。

まあ、そのほうが、一般的には、未成年の判断よりも正しくなるのかもしれませんが、しかし、正しい判断ができる親ばかりではありません。

例えば、治療が必要なのに、治療に同意しない親がいます。

もちろん、生命身体に危険が迫っている緊急事態であれば、親の同意がなくても、緊急処置することは可能です。

しかし、そういった緊急事態でないのであれば、医療行為に親権者の同意は必要です。

こういった治療の面で親権者が協力してくれなかったり、あとは、進学の面で非協力的な親権者もいます。

進学と就職で子どもと親権者で折り合いがつかず、高校入学に親権者が同意しない場合、子どもは、親権者の判断に従うしかないのです。

こうなってくると、親権というのは、子どもの「軛(くびき)」にも見えてきます。

「タタールの軛」という歴史用語があります。

これは、ロシア人が、モンゴルに支配されていた約200年間を指す用語で、偉大なるロシア帝国がモンゴルの支配に屈していた「屈辱的な期間」を意味します。

民法820条に、こんな条文があります。

(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

したがって、親権者は、あくまで、「子の利益」を追求しなければならず、子どもの利益をないがしろにして、自分の都合を押し付けてはいけません。

だから、親権が、子どもにとって「軛(くびき)」となるのは、条文上はあり得ないのですが、しかし、実際上は、「親権」のせいで、子どもの意向が親に妨害されることは、よくあります。

成人年齢が引き下がることによって、子どもは、今までより2年早く、親権から解放されることになりました。

親権のせいで、自分の意向が妨害されていた(親権が「軛(くびき)」になっていた)子どもにとって、成人年齢引き下げは、大きくプラスに働きます。

子どもだって、1人の人間です。自分で自分の人生を決める経験が必要に決まっています。

子どもだからと、やたらめったら守ればいいわけありません。

「かわいい子には旅をさせよ」

成人年齢が引き下げられた今、この諺をが噛みしめるべきだと思います。

それではまた明日!・・・↓

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