#407 離婚するための条件-1

【 自己紹介 】

※いつも読んでくださっている方は【今日のトピック】まで読み飛ばしてください。

弁護士古田博大の個人ブログ(毎日ブログ)へようこそ。

このブログでは,2017年1月に弁護士に登録し,現在弁護士5年目を迎えている私古田が,弁護士業界で生き残っていくために必要不可欠な経験と実績を,より密度高く蓄積するため,日々の業務で学んだこと・勉強したこと・考えたこと・感じたこと,を毎日文章化して振り返って(復習して)います。

僕の経験と実績を最も届けなければいけないお相手は,このブログを読んで,僕のお客さんとなってくださるかもしれない方々,つまり,法律のプロではない皆さんだと思っています。そのため,日々の業務・経験がこのブログのトピックになっているとはいえ,法律のプロではない方々にわかりやすく伝わるよう,心がけています。

後戻りの必要なく,スラスラと読み進められるようにも心がけていますので,肩の力を抜いて,気軽な気持ちでご覧くださるとと大変嬉しいです。

【 今日のトピック:離婚するための条件 】

さて,今日は「離婚するための条件」という,ちょっと難しいことについてお話しようと思います。

Googleなどで検索してこの記事にたどり着いた方は,多くの場合,離婚について調べていると思われます。

「離婚」と一言でいっても,必要なアドバイスは,本当にケースバイケースです。

お金の問題について悩んでいる場合があったり,子供の親権について争いがあったり,離婚の悩みは,本当に多岐にわたります。

今日僕が書きたいのは,「離婚するかどうか」そのものです。

つまり,「自分は離婚したいと思っているのに相手が離婚してくれない場合,どうすれば離婚できるのか」について説明します。

したがって,「離婚するかどうか」ではなく,財産分与や養育費などのお金の問題,親権や面会交流など子供の問題について調べようと思ってこのブログにたどり着いた方は,他のサイトへ行かれたほうがいいと思います(笑)。

さて,話を続けます。

最初に少し脱線しますが,弁護士として仕事をしていると,「離婚したい!」と相談に来る方もいますが,「離婚したくない!」と相談に来る方もいらっしゃいます。

しかし,「離婚したくない」を法的に実現することは,正直なところ,完全には不可能です。

確かに,離婚届に印鑑を押さなければ,離婚届によって離婚されてしまうことはありません。

離婚したいと思っている夫(または妻)が,勝手に相手の名前を書いて印鑑を押し,離婚届を提出したら,それは文書偽造罪で犯罪です。

犯罪を実行してでも離婚しようとする夫または妻もいるかもしれませんが,勝手に相手の名前を書いて離婚届を提出した場合,そんな離婚届でいったんは籍が抜けたとしても,その離婚は「離婚の意思がない」という理由で無効ですから,結局再び籍が戻ってしまいます。

「離婚無効の訴え」というのがあります。勝手に離婚届を出しても,そんな離婚は無効なんです。

そして,もっと直接的に「勝手な離婚届」を防止する方法があって,それが「離婚届の不受理措置」です。これは,本籍地の市役所に,あらかじめ申請しておけば,離婚届が受理されなくなるという措置です。

この措置を事前に済ませておけば,どれだけ籍を抜きたくても,市役所が離婚届を受理しないので,籍を抜くことができなくなります。

まあ,こうやって,離婚を防止する方法はいろいろとあるんですが,でも,最後の最後まで離婚を防ぐ,というのは法的にはかなり厳しいです。

さて,この辺から今日の話に入っていきます。「離婚するための条件」について説明しますね。

そもそも「離婚」というワード,一般的には,結構曖昧な意味に使われていると思います。

養育費や財産分与,そして親権や面会交流なども,「離婚」の問題と思われていますが,厳密には,こういったお金の問題や子供の問題は,離婚に付随しているだけで,「離婚するかどうか」そのものとは無関係です。

「離婚する」という前提が固まって初めて,お金や子供の問題について考えることができるようになります。

じゃあ,お金や子供の問題を考えるかどうかを決めるうえで,大前提となる「離婚するかどうか」は,どうやって決まるのか。

まず第1は,離婚届に夫婦2人が署名して印鑑を押して市役所に提出すれば,それで「離婚する」が決まります。

離婚届を提出して離婚する場合,離婚する条件は,「婚姻届に夫婦2人で署名押印すること」,それだけです。

離婚届を提出して,離婚することが間違いなく確定すれば,お金や子供の問題について考えるステップに移ります。

ただし,未成年の子がいる場合,親権者を決めて離婚届に書かないと,市役所が離婚届を受理してくれないので,離婚届で離婚する場合も,「離婚すること」だけでなく,「親権者を夫と妻のどちらにするか」も決めておかなければいけません。

だから,結局,離婚届で離婚する場合,離婚する条件は

・夫婦2人で離婚届に署名押印すること

・未成年の子の親権者を決めて離婚届に書くこと

・その離婚届を市役所に提出すること

という3つです。

ただ,この3つの作業には,相手の協力が不可欠です。離婚届の提出は,1人でもできますが,署名押印と親権者の決定は,話し合いが必要になります。

相手が離婚したくない場合,こういった話し合いは済ませられないでしょう。

じゃあ,どうやって,離婚すればいいのか。

離婚届に署名押印してくれなかったり,親権者を決められなかったりして離婚届を提出できない場合,離婚したい夫または妻は,家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

「調停」とは,「裁判所で話し合う」という意味です。

「話し合う」といっても,「調停委員」を通じて話し合います。

「調停委員」は,中立な立場で,夫と妻双方の言い分を聞き,それを相手に伝える役割を果たします。

「相手に伝える」と書きましたが,「調停」では,夫と妻は顔を合わせません。別々の待合室で待たされ(裁判所に出頭する時間帯もズラされています),入れ代わり立ち代わりで,調停委員に言い分を話しながら,話し合いを進めていきます。

「結局話し合いじゃないか!」と思われるかもしれませんが,僕の体感では,それなりの割合の離婚事件が,後で説明する「訴訟」に至らずに「調停」で終わっています。

調停を提起すると,本人同士の話し合いとは違って,裁判所という場所で,調停委員を介して話し合いが進められますから,冷静に話し合いが進む確率が高いと思います。

「調停委員」も,弁護士など,離婚事件についての法的知識を持った人が就任しています。

この「調停」の場で,「離婚する」こと,そして「親権者をどちらにするか」を決めることができたら,その調停調書を離婚届と一緒に提出すれば,離婚することができます。

「調停調書」とは,調停での話し合いがまとまった後に,話し合いで決めた内容を裁判所が書面化してくれたものです。

その「調停調書」に,「離婚する」こと,そして「親権者を妻(または夫)とする」こと,の2点が書かれていれば,相手の署名押印がなくても,市役所が離婚届を受け付けてくれます。

結局,調停で離婚する場合の,「離婚するための条件」は

・調停で,「離婚する」ことと,「親権者をどちらにするか」を決めること

・「離婚する」「親権者を妻(または夫)とする」と書かれた調停調書が最後に作成されること

・離婚届(相手の署名押印は不要)と一緒に調停調書を市役所に提出すること

の3つです。

調停で無事に離婚できる場合も多いと先程書きましたが,ただ,世の中には,調停でも離婚できないパターンもあります。

僕も何度も経験してきました。

その場合,離婚の訴訟を提起することになります。

なぜなら,離婚の訴訟を提起して,最終的に出された判決を市役所に提出すれば,離婚できるからです。

ちょっと先出しになりますが,そうすると,離婚の訴訟の場合,離婚するための条件は,

・離婚の判決を市役所に提出する

ということになります。

ただ,調停調書の場合と同じように,離婚の判決だけを市役所に提出するのではなく,離婚届(相手の署名押印は不要)も一緒に提出しなきゃいけません。

なおかつ,調停調書と同じように,離婚の判決に「離婚する」こと,そして,「親権者を妻(または夫)とする」こと,双方が書かれていなければいけません。

だから,結局,離婚の訴訟によって離婚する場合,「離婚するための条件」は,

・「離婚する」「親権者を妻(または夫)とする」と書かれた判決が出ること

・離婚届(相手の署名押印は不要)と一緒に判決書を市役所に提出すること

の2つです。

ここまで書いてくると,こんな疑問が浮かぶ人がいるはずです。

・じゃあ,どうやったら,「離婚する」「親権者を妻(または夫)とする」と書かれた判決が出るんだよ!

・本人同士の話し合いもダメで,調停での話し合いもまとまらず,だからこそ訴訟を提起したんだよ!

・だからこそ,裁判所に,「離婚するかどうか」も「親権者をどちらにするか」も決めてもらわなきゃいけないのに,どうやったら「離婚する」「親権者を妻(または夫)にする」という判決が出るのか,全然わからない!

こんな思いに駆られる人が多いと思います。

というか,弁護士である僕自身も,日々研鑽を積んで,どういう場合に「離婚する」という判決が出るのか,どういう場合に親権者は妻(または夫)になるのか,知識を仕入れなきゃいけません。

僕の知識もまだまだ乏しいですが,僕が今把握している限りで,説明しようと思います。

ここから先はかなり長くなるので,明日書こうと思います。

「離婚したくない」を,法的には完全に実現することはできない,と最初に書きましたが,この点についても,明日の内容に絡めて説明します。

それではまた明日!・・・↓

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