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成人年齢引き下げと消費者被害について思うこと
【 自己紹介 】
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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。
毎日ご覧くださってありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:「被害」 】
成人年齢が18歳に引き下げられたことによって、18歳や19歳も「消費者被害」を受けてしまう、と巷では言われています。
まあ、確かに、成人年齢が18歳に引き下げられたことによって、これまで18歳と19歳にも認められていた「未成年者取消し」が、2022年4月1日以降、18歳と19歳に認められなくなったのは、確かにそうです。
しかし、「消費者被害を受けた!なんとかして!」と訴えてくるのは、別に未成年だけではありません。
成人だって、「被害」を受けています。
そもそも、「消費者被害」って、なんなのでしょう。
(ここからは、人によっては、かなりムカつく話が続くので、そっ閉じしてもらっても構いません汗)
何をもって、「被害」というのか、本当に難しいです。
実は、近いうちに、成人年齢引き下げに伴う問題点について、研修の講師を務める予定で、この研修の中で、消費者被害についても取り上げる必要があると思っているんですが、話す内容を非常に迷っています。
何をもって「消費者被害」なのか、ということで迷っています。というのも、僕からしたら、住宅ローンだって「消費者被害」だからです。
例えば、僕が、5000万円を借金して、その借り入れたお金を、全額、1つの株式銘柄(例えば、トヨタ自動車)に投下しようとしていたら、多くの人は「やめときなさい!」と止めようとするでしょう。
というか、そもそも、こういったお金を借りて株を買うという「信用取引」は、最高でも手持ち金(「証拠金」と呼ばれます)の3倍くらいしか、貸してくれません。
だから、5000万円も借金して株を買えるのは、証券会社の口座に1700万円もお金がある大金持ちだけです汗
しかし、これが住宅ローンだと、僕みたいな庶民でも、簡単に5000万円くらい借りられます。
しかも、借りた5000万円を使って、土地を買ってマイホームを新築しようとしても、誰も止めません。
借りた5000万円が、跡形もなく、土地とマイホームになってしまうのに、それを阻止しようとする人は少数派です。
「借金なんてするもんじゃない」と、借金=100%悪、の説に立って止めようとする人はいるでしょうが、住宅ローンを借りてマイホームを新築しようとすることが、たった1つの金融商品に対して、自分の全財産の何倍もの借金をして(10倍以上のレバレッジをかけて)、お金を投下しようとしていることと同じだということに目が向く人は、まずいないのです。
自分がめちゃくちゃリスクの高い取引(お金を借りて、たった1つの金融商品にベットしている)に手を出していることにすら気づいていない人たちに、「消費者被害」について研修で話すのは、非常に違和感があり、そこが悩みのタネです。
そもそも、「成人になる」というのは、損も得も自分で引き受けることを意味します。
リスクがある取引の、そのリスクに気づかないまま取引してしまった場合に、損を自分で引き受けるのが「成人」です。
リスクに気づけないことで損してしまいますし、逆に、自分の責任で得を総取りすることもできます。
それが「成人」です。
だから、「被害」も何も、本当に詐欺などの「被害」であれば、訴訟を提起して、被害金を取り返すことができるわけですから、そうでなければ、それは、法的には「被害」とは呼ばないわけです。
リスクに気づけなかった責任は、自分で引き受けなきゃいけないわけですから。リスクの責任を相手に転嫁できるのは、その取引が法律に違反する場合だけです。
なんかめちゃくちゃ冷徹な感じですが、法的には、これが原則です。
この原則すら知らないまま、「消費者被害」を論じても意味がないと僕は思います。
じゃあ、この原則を踏まえて、どうすればいいか。
大切なのは、「消費者被害」は、後から覆すのが非常に難しいことです。だから、「事前に」が大切です。
「事前に」、その取引をすると、「何がおきるのか」を正確に知っておく。これが、「被害」を防止するための大切な視点です。
で、この「事前に」を実践するために必要なのは、
・誰かに相談する金額を決めておく
・自分はバカだと思っておく
自分はバカだから、判断を間違える可能性がある。だから、まるまるなくなったら痛い目をみる金額(例えば、5万円とか10万円とか)を決めておいて、その金額を超える買い物をするときは、必ず誰かに相談する。
こう考えておくのが、非常に大切です。
基準になる金額は、人それぞれ違っていいでしょうが、例えば、全財産の1割くらいを基準額にしたらいいかもしれません。
お金を借りるときも、全財産の1割以上を借りようとしたら、いったん、誰かに相談して考えるべきです。
この「相談」というのが、自分のやろうとしていることを客観的に振り返る良いチャンスなんです。
というのも、相談しなきゃいけないのなら、その相談相手に、自分がやろうとしていることを実際にやった場合に何が起きるのか説明しなきゃいけないからです。
説明するには、自分が説明できるだけの知識を仕入れなきゃいけません。
そういった知識を仕入れた上で、相談相手が納得してくれたら、やっていいんでしょう。
納得してくれないなら、納得しない理由を聞いて、その理由に対して反論できるだけの材料が自分にあるんだったら、それでもやっていいでしょう。
相談すると、説明するために知識を仕入れる必要があり、その知識を仕入れる過程で間違いに気づけるかもしれません。
また、相談相手との対話を通じて、間違いに気づけるかもしれません。
誰かに相談すると、
・説明に必要な知識を仕入れる段階
・相談相手と対話する段階
それぞれで、間違いに気づけるのです。
例えば、僕が、友だちから、
「20万円を渡してくれたら、5万円ずつ5ヶ月返すから、合計25万円になるよ。50万円だったら、10万円ずつ7ヶ月返すから、70万円になるよ。」
こんな取引を持ちかけられたとしましょう。
「そんなうまい話なんてない」と思うかもしれませんが、僕からしたら、住宅ローンとどっこいどっこいです。
だって、35年間も、毎月ローンが返し続けられるなんて、そんなうまい話ありません。35年間のうちに、何が起きるかわからないので、返済が滞る可能性が非常に高く、しかも、返済が滞ったら、ローン残額を一括で返済できない限り、自宅が売却されてしまうからです。
マイホームと引き換えに、マイホームを失うリスクを背負うという、意味不明な取引に手を出しているのですから、↑のような「うまい話」に手を出すほうがマシとも言えます。
しかも、建物の価値は雨風にさらされて劣化することで間違いなく下がりますし、土地の価値も、日本は人口が減っていますから、間違いなく下がります。
まだ言うと、売却するときって、仲介手数料によって、売却代金の6%+消費税(=6.6%)が不動産屋に中抜きされます。
したがって、売却代金の93.4%が、ローン残額を上回らないと、売却代金でローンを完済できません。
これに加えて、建物の解体費用もを売主で負担してほしいなんて買主から言われたら、解体費用として、さらに100万円~200万円くらいが、売却代金から差し引かれるでしょう。
そうすると、自宅を手放したのに、まだ借金が残る可能性も十分にあります。
ローンが返せないなら、破産しちゃうのも方法の1つですが、破産すると、子どもの連帯保証人になれなくなったり、既に連帯保証人になっていると、別の連帯保証人を用意させられるか、あるいは、借りた奨学金を、まだ学生なのに全額返してと言われるかもしれません。
まだ学生の子どもが一括返済させられちゃうと、子どもが困っちゃうので、破産せずに、住んでもいないマイホームのローンに苦しめられるかもしれません。
住宅ローンには、こういったリスクがあるのですが、このリスクは、実は、ローン契約の当時から予測できます。予想できないのは、知識がない契約者本人の責任です。
知っているかどうかは無関係に、住宅ローン契約書にサインした途端に、こういったリスクをすべて覚悟したとみなされるのです。
こういったリスクに気づかないまま、「資産になりますし、返済できないときは売ればいいですよ」なんて言葉に引っかかって、多くの日本国民が「うまい話」に乗ってしまっています。
住宅ローンという、うまい話に乗ってしまっている人が大勢いるわけですから、↑のような、「うまい話」に引っかかることをバカにはできません。
「うまい話」という意味では、住宅ローンと同じだからです。
こんな「うまい話」に誘われたら、誰かに相談しましょう。
誰かに相談するということは、その誰かに説明できるだけの情報を集める必要があります。
相談相手の視点にたって、うまい話を持ちかけた相手に、いろいろ質問してみてください。
自分が相談しようとしている相手なら、どんなことを疑問に思うでしょうか。
僕が想像するに、例えば、
・そんな短期間にお金を増やせるのは普通はムリだと思うんだけど、いったいどんな仕組み?
・僕が渡したお金は、次はどこへ行くの?いつ誰に渡るの?
・そのまた次はどこへ行くの?
・そこから、あなたは、いつ、どうやって返してもらうの?
・そして、期限までに僕へはどうやって返ってくるの?現金?振込み?
こんなことが、ざっと、気になりますよね。相談を受けたとしたら。
だったら、相談する前に、聞いとかなきゃいけません。相談相手から、こういったことを質問されそうなんですから、事前に自分が質問しておかなきゃです。
「一旦相談しよう」と思っておくと、相談相手に説明しなきゃいけませんから、自然と自分から疑問が湧いてくるんです。
で、自分で「やっぱりやめた」と思えたら、相談無用で断ればいいです。
「やっぱりやめた」とならない場合も、即断即決するのではなく、いったん、相談しましょう。
「自分の全財産の1割以上のお金を払う場合は、必ず相談する」という自分ルールを設けているわけですから、即断即決は、ルール違反です。
しかし、こういったヤカラは、とにかく、急かしてきます
「明日だと、この利率は約束できないんだよね」
「もういいわ。明日からお前とは友だちやめる」
こんなことを言って、とにかく、その場での即断即決を求めてきます。
でも、そんなことより、自分ルールです。自分ルールよりも大切なことはありません。
目の前の利率よりも、自分ルールです。
冷静に考えれば、今日と明日で、そんなに利率が変わるような取引なんてありません。なおかつ、お金を出さないなら友だちやめるようなやつと友だちでいなくていいです。
日本には、1億人もヒトがいて、みんなインターネットに接続していますから、目の前の人間にこだわる必要はありません。
「あっそ。じゃあ、僕から友だちやめるわ」と言ってやりましょう。
・全財産の1割以上を払う(預金が100万円なら、10万円以上払う)
・全財産の1割以上の借金する(預金が100万円なら、10万円以上借金する)
こんな場合には、誰かに相談するという自分ルールを作って、即断即決を回避するようにしたら、「消費者被害」は少しは防げるような気がします。
「被害」というのは、だいたいが、「思ったのと違う!」という感情(被害感情)です。
何が起きても、それが予想の範囲内なら、「被害」とは受け止めないんです。人間は。
即断即決すると、十分に考え尽くせていないので、「思ったのと違う!」が出てきます。それが「被害」となってしまいます。
即断即決せず、誰かと話しながら、ある程度、考え尽くすことができれば、予想の範囲が広がり、「被害」も減るような気がします。
それではまた明日!・・・↓
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