過払金(かばらいきん)
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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけにその年の12月からブログを始めました。しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。
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【 今日のトピック:「過払金」 】
弁護士らしく、今日は「過払金(かばらいきん)」について書いてみたいと思います。
まずは、「過払金」という漢字をよくよく見てみましょう。「払い過ぎたお金」と書かれています。
「過払金」って、その名の通り、「払い過ぎたお金」です。
「払い過ぎ」なので、返してもらうという、単純な話です。「過払金請求」って、そういう単純な話です。
でも、「払い過ぎ」って、何なのでしょうか。お金を「払い過ぎちゃう」なんて、普通はないですよね。
例えば、100円ショップで、「間違って200円を払って、払い過ぎちゃった」なんてこと、ありません。あるわけありません。
100円ショップなら、税込110円しか払いません。「払い過ぎ」なんてするはずもない。
そして、110円を支払った後に、「払い過ぎたから返して」なんてことも言えるわけありません。だって、「払い過ぎ」ではないからです。
こんな風に、「払い過ぎちゃう」っていうのが、よくわかんないのです。
お金を「払い過ぎちゃう」なんて、ぜったいにイヤなので、普通は、「払い過ぎちゃう」は起きません。
しかし、「払い過ぎ」が起きてしまっていたのです。
何が起きていたのかというと、利息制限法の上限利率を超えて、アコムやアイフルやプロミスなどのサラ金がお金を貸し付けていたのです。
利息制限法という法律は、とても古くて昭和29年に制定されました。
その当時から、利息制限法の上限利率は、そこまで高利ではありませんでした。
上限利率は、貸付の金額によって違います。
・10万円まで:年利20%
・100万円まで:年利18%
・100万円超:年利15%
こんなふうに、決まっています。
この利率を超えて返済したお金が「過払金」です。上限利率を超えて返済してしまっているので「払い過ぎ」なのです。
しかし、よくよーく考えれば、「払い過ぎ」になるんだったら、最初から払わせなければいいような気がしませんか?
後で返さなきゃいけないくらいなら、最初から払ってもらわなくていいはずです。
でも、実際に「払い過ぎ」が起きていたわけですが、どんな事情があったかというと、「みなし任意弁済」というのがあったのです。
「みなし任意弁済」とは、利息制限法の上限利率を超えて返済しても、その返済が、あるい一定の要件を満たしていれば、有効な返済となる、という仕組みです。
昭和58年に、この「みなし任意弁済」という制度が作られました。その結果、利息制限法の上限利率を超えていても、要件を満たしていれば、「払い過ぎ」になりませんでした。
だから、アコムやアイフルやプロミスは、「みなし任意弁済」の要件を満たすように、いろいろ手配するに決まっています。
いろいろと手配した結果、その要件を満たすようにしていたわけです。そして、実際に要件を満たしていたわけで、法的に「払い過ぎ」になっていませんでした。
法律で「みなし任意弁済」が認められていたわけですから、アコムやアイフルやプロミスは、何ら悪いことをしてはいませんでした。
こういった「みなし任意弁済」が昭和58年からずっと続いていましたが、平成18年に、世界がひっくり返りました。
最高裁が、平成18年に、「みなし任意弁済」を無効化する判決を出しました。その結果、平成18年からは、「みなし任意弁済」の要件を満たしても、利息制限法の上限利率を超えて返済を受け取ってしまったら、返さなきゃいけなくなりました。
平成18年から、世界が変わったのです。
平成18年までは、「払い過ぎ」にならなかったのに、平成18年からは、「払い過ぎ」になってしまったのです。
しかも、平成18年よりも前の借入についても、さかのぼって「払い過ぎ」になることも決まりました。
こういう経緯で、「払い過ぎ」が発生しました。
僕は、このブログでも、何度か、こういった「過払金の歴史」について書いていますが、この歴史が結構おもしろいんですよね。
元ネタは、こちらにありますので、興味のある人は、ぜひ読んでみてください。
それではまた次回!・・・↓
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