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子ども(未成年)が逮捕された場合に弁護士の僕ならどうするか-18(審判)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:少年事件 】

今日も、昨日に引き続き少年事件について書いていきます。

昨日は、家庭裁判所送致から審判までの間に実施される「調査官調査」について書きました。

家庭裁判所の職員である「調査官」が、少年の家庭環境や生育環境、事件を起こした経緯などを調査し、裁判官に報告する手続きが「調査」です。

裁判官に報告する際は、調査結果報告書が作成されます。弁護士(「付添人」という立場です)も、読むことはできますが、コピーは不可です。

かなりプライベートな内容が書かれていて、そのまま両親などに見られたらマズい内容も記載されています。だから、コピー不可となっています。

コピー不可だからこそ、センシティブな内容も遠慮することなく書くことができる、ということでしょうか。

さて、こういった調査結果報告書だけでなく、少年の弁護士(付添人)からも、「意見書」を裁判所に提出します。

これは、少年の味方である弁護士の視点から、少年の生育環境や家庭環境、事件を起こした経緯を説明するための書面です。

調査官の報告書ほどの水準で、生育環境や家庭環境にさかのぼって詳しく書くことはありませんが、調査結果報告書を踏まえて、最終的に保護観察処分とするべきか、少年院送致とするべきか、弁護士視点で意見を述べます。

まあ、弁護士が「少年院送致がふさわしい」と書くことはまずありません。

調査官が保護観察がふさわしいと書いていれば、弁護士も保護観察がふさわしいと書きますし、調査官が少年院がふさわしいと書いている場合は、特に力を入れて保護観察がふさわしいと書きます。

この「意見書」も、審判に先立って裁判所に提出しておきます。

そうすると、審判では、調査官の考えも、弁護士の考えも、どちらも裁判官が頭に入れた状態となっています。

他にも、警察が調べた証拠も全部裁判所に送られています。

そうすると、審判では、

・警察が集めた証拠

・調査官の報告書

・弁護士の意見書

この3つが裁判所にそろっています。

もちろん、裁判官は、↑の3つをめちゃくちゃ詳しく読み込んでいます。

めちゃくちゃ読み込んだ上で、だいたいの結論を決めて審判に臨みます。

少年院送致なり保護観察処分なり、結論を決めて審判に臨み、結論を覆す事情が審判の場で現れない限り、前もって決めた結論のとおり、審判を言い渡します。

したがって、審判のその場で、保護観察処分または少年院送致が決まります。

少年院送致となったら、外に出られないまま少年院へ連れて行かれます。

審判は、言い渡されたその瞬間から効力が生じるので、そのまま少年院に連れていくことが法的に認められているのです。

審判に対して不服を申し立てることができますが、不服を申し立たとしても、少年院に連れて行かれることを止めることはできません。

不服を申し立てた後に、結論が覆り、少年院送致から保護観察に変更されれば、少年院から釈放されますが、それまでは、少年院から出てくることはできません。

もちろん、不服を申し立てた結果、少年院という結論が変わらなければ、少年院から出てくることはできません。

さて、審判で最終的な結論が出るとはいえ、審判で何か特別に準備しなきゃいけないかというと、僕としては、特別な準備は不要だと思います。

調査官調査の段階で、既に、いろいろと調査官には事情を説明しています。

その説明の結果として、調査官が報告書を作成しているわけですから、後で何かが大きく覆ることは、普通に考えればあり得ません。

弁護士も、調査官の報告書は読み込んだ上で審判に臨みますが、報告書を覆すだけの事情が審判で引き出せるかというと、かなり微妙です。正直なところ。

調査官が誤解しているところがあれば、それを指摘したり、調査官が強調しすぎている点があれば、それを修正したりはできますが、裁判官が事前に決めた結論を覆すのは、難しいことが多いと思います。

しかしながら、「多い」だけで「不可能」ではないので、きちんと準備はしなきゃいけません。

準備としては、調査官の報告書を踏まえて、審判で弁護士からどんな質問をするかを事前に打ち合わせておくのがメインになると思います。

例えば、今回の設定で言えば、万が一、調査官が少年院送致がふさわしいと報告していた場合、調査官が着目していた点が何か確認し、それをフォローします。

交友関係の悪さに着目しているのであれば、それを解消する方法を説明しなきゃいけませんし、今後の生活に調査官が疑問を抱いているのであれば、そこもフォローしなきゃいけません。

両親としては、弁護士が練った作戦に乗っかるのが基本です。

ただ、弁護士は当事者じゃないので、事実関係を誤解していることも多いです。

弁護士が、調査官の報告書を読んで考えた作戦をしっかり聞いて、誤解があったら訂正する。

そうやって審判に臨むのが正攻法で、セオリーだと思います。僕なら、そうします。

さて、少年事件は今日で終わりにして、明日から、テーマを変えようと思います。

明日からは交通事故についてお話したいと思います。

それではまた明日!・・・↓

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