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#501 「相続人」になるのは誰なの?
【 自己紹介 】
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【 今日のトピック:誰が相続人になるのか 】
今日は相続の話ですが,皆さんも,「全然知らない人から遺産が転がり込んだ」なんて話,聞いたことありませんか?
「棚からぼたもち」的に,見ず知らずの人の財産を受け継いだ,なんて話,聞いたことある人が多いと思います。
でも,「そんなことあるのかよ!」と思っちゃいますよね。
見ず知らずの人の財産を相続してしまうのであれば,自分も,見ず知らずのお金持ちから遺産が転がり込んでこないかなぁと期待しちゃいます。
でも,正直に言えば,本当に何の親族関係もない人から遺産が転がり込むことはありません。
遺産を引き継げるのは「相続人」だけで,相続人ではない人が遺産を貰えるのは,基本的に遺言が残されているケースに限られます。
遺言で,相続人ではない人に「遺産をあげる」と書かれていれば,相続人ではない人も遺産を貰えますが,おそらく,その場合は,「見ず知らずの人から遺産が転がり込んだ」という話ではないですよね。
遺産を渡す側も,普通は,見ず知らずの人に遺産を渡すなんてことはしません。
何らかの親しい関係があるからこそ,遺産を渡そうと思うわけですから,「見ず知らずの人から遺産が転がり込んだ」というのは,遺言で遺産を貰う場合は,あんまり当てはまりません。
だから,「見ず知らずの人から遺産が転がり込んだ」というケースは,知らないうちに,見ず知らずの人の「相続人」となってしまっていた,という場合が多いんだと思います。
そこで,今日は,亡くなった人とどういった親族関係があれば,「相続人」になれるのか,ということについてお話したいと思います。
最初にお話するべきなのは,相続人の「順位」です。
相続人にも「順位」があります。第1順位,第2順位,第3順位です。この順番で相続人になるので,第1順位の相続人がいるのであれば,第2順位は相続人になりません。
同じように,第2順位の相続人がいるのであれば,第3順位も相続人にはなりません。
で,順位の説明に戻りますが,第1順位は「子ども」です。
亡くなった人の子どもが第1順位の相続人となるので,亡くなった人に子どもがいるのであれば,第2順位・第3順位は相続人となりません。
そして,第2順位は,亡くなった人の「直系尊属(ちょっけいそんぞく)」です。
「直系尊属」とは,父親,母親,祖父,祖母,曽祖父,曾祖母・・・・です。
生まれた順番で考えれば,父親や母親,祖父母が先に亡くなるはずですが,父親や母親より先に子どもが亡くなってしまうこともあります。
その場合,亡くなった人に第1順位の相続人,つまり,子どもがいれば,子どもが相続人になるので,両親や祖父母が相続人になることはありませんが,亡くなった人に第1順位の相続人(子ども)がいなければ,両親や祖父母が相続人となります。
両親のうちどちらかが存命であれば,祖父母は相続人となりません。
最後に第3順位ですが,これは「兄弟姉妹」です。
第1順位の相続人(子ども)も,第2順位の相続人(両親や祖父母)もいない場合に初めて,「兄弟姉妹」が相続人となります。
第4順位や第5順位はありません。そうすると,相続人になるのは,親族関係が遠くても,兄弟姉妹までなのです。
ただ,ここで「代襲相続」について説明しなければいけません。
「代襲相続」は,相続人となるはずの人が先に亡くなっているケースで出てきます。
例えば,子どもが先に亡くなり,その後,その父親が亡くなったケースです。この場合,先に亡くなった子どもに子ども(=孫)がいなければ,代襲相続は発生しないのですが,先に亡くなった子どもに子どもがいたら,代襲相続が発生します。
もう少し具体的に説明すると,例えば,1945年生まれの男性に,1975年生まれの娘がいて,この娘には2005年生まれの長男がいたとしましょう。
1975年生まれの娘が,2015年に40歳で亡くなり,1945年生まれの男性が2020年に75歳で亡くなったとします。
この場合,2005年生まれの長男は,2020年に亡くなった祖父の「代襲相続人」となり,1975年生まれの娘と同じ立場で,祖父の相続で権利を主張することができます。
娘が先に亡くなったことを,「先死亡」なんて呼んだりもしますが,「先死亡」の場合に,その子どもが,相続人にせり上がってくるのが「代襲相続」です。
で,この「代襲相続」は,兄弟姉妹にも当てはまります。
例えば,ある人が亡くなって,その人には子どもがおらず,両親と祖父母も既に亡くなっていて,兄弟姉妹が相続人になったとしましょう。
でも,兄弟姉妹も「先死亡」だった場合,「先死亡」した兄弟姉妹に子どもがいれば,その子どもも「代襲相続人」となり,兄弟姉妹と同じ立場で相続権を主張できます。
だから,結局,いちばん遠い相続人って,「おい」や「めい」になります。
まあ,「再代襲相続」といって,子どもも孫も「先死亡」の場合にひ孫が相続人にせり上がる,ということもありますが,それよりも,「おい」や「めい」のほうが,関係性は薄いと思います。
自分の両親の兄弟姉妹なんて,僕も,あんまり接点がありません。
まあ,おじさんやおばさんを「見ず知らず」なんてことはあまりないでしょうが,ただ,接点のあるおじさんやおばさんの他に,全く接点がないおじさんやおばさんがいる可能性もあります。
そして,「見ず知らず」の相続で,いちばん多いのが,遺産分割しないまま,何十年も放置しているパターンです。
僕の経験上,最も放置されていた相続は,明治6年生まれで,昭和32年に亡くなった人の名義となっている建物です。
昭和32年に亡くなった人なんて,今生きている人は,ほとんど知らないでしょう。
こういった,遺産分割の放置によって,見ず知らずの人の「相続」に直面することがあります。
ただ,こういった「放置」は,めぼしい財産がないからこそ起きるわけで,お金があるのに「放置」されているケースは,あまりありません。
遺産が「転がり込む」場合で,もっとも親族関係が遠いのは,「おじさん」「おばさん」,もしくは,両親も祖父母も亡くなった後に曾祖母または曽祖父が亡くなる,という,かなり珍しいケースだと思います。
【 まとめ 】
今日は「どこまでが相続人になるか?」ということを,お話しました。
第1順位(子ども)→第2順位(両親・祖父母)→第3順位(兄弟姉妹)という順番で相続人になること,第1順位がいたら,第2順位以降は相続人とならないこと,それぞれ押さえておくといいと思います。
それと,配偶者は必ず相続人となりますが,とはいえ,配偶者のみが相続人となることは,↑の相続人が1人もいない限り,ありません。
配偶者にプラスして,↑の順番で相続人が決まります。
結局,見ず知らずの人の「相続人」になり,遺産が「転がり込む」ことは,あんまり期待しないほうがいいと思います(笑)。
それではまた明日!・・・↓
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