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少年審判の種類:児童自立支援施設または児童養護施設への送致
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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。
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【 今日のトピック:少年審判 】
さて、今日も少年審判について書いていきます。
・審判不開始
・不処分
・保護観察
まで書きました。だんだんと処分が重たくなっていきます。
次は、「施設送致」です。
正確には、「児童自立支援施設又は児童養護施設に送致する」です。
なんか、似たような字面が2つ並んでいますが、よくよく見ると、似てるのは、「児童」で始まって「施設」で終わるところで、「児童」と「施設」の間に、「自立支援」が挟まっているのと、「養護」が挟まっているのがあり、どうやら別物のようです。
順番が前後しますが、まず、「児童養護施設」から書きます。
「児童養護施設」とは何かというと、児童福祉法41条に書かれています。そのまま引用すると↓
「児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする。」
と書かれています。
うーん、長くてよくわかりませんよね汗。
結局、「児童養護施設」とは、児童を「養護」する施設ですよ、という、そんなの説明になっていないよ、という話なんですが、まあ、あんまり突き放すのではなく、この法律を作った官僚たちに寄り添って解釈してあげましょう。
要は、「児童養護施設」って、ちゃんと子育てしてあげる大人がいない子どもたちが暮らす場所なのです。
両親のどちらも死んでいたりして子育てしてくれる大人がいなかったり、親はいても、虐待などで適切に子育てをしてくれなかったり、そんな環境にいる子どもに「生きる場所は自分で確保してね」と、残酷な仕打ちはしません。
日本は福祉国家なので。
安心安全な生活の場がない子どもたちにも、きちんと生活の場を与える必要はあります。
その方法はいろいろとあるんですが、その代表例が「児童養護施設」です。
だから、「児童養護施設」って、子どもに安心安全な生活の場を与えることが第一の目的になっている施設です。
悪い事した少年を矯正させる施設ではありません。
だから、「児童養護施設への送致」という処分を少年審判で下すことは可能ではあるんですが、あんまり、この処分が選択されることはありません。
住む場所がなかったり、家庭で虐待を受けていたりしたことが原因で、事件に発展したような場合であれば、児童養護施設へ送致するという選択肢も出てきますが、そういう場合は、家庭裁判所の決定として児童養護施設へ送致するのではなく、いったん、「児童相談所送致」という形で、その少年の処遇を児童相談所に任せるでしょう。
少年法って、あくまで、「矯正」が目的なので、「住む場所がない」というのが事件を起こした原因なら、必要なのは「矯正」ではなく「福祉サービス」です。
だとすれば、少年審判として、つまり、「矯正措置」として児童養護施設に入所させるって、なんかちょっと違うんです。
「生活の場を提供する」という児童養護施設の目的と、「子どもを矯正させる」という少年審判の目的は、なんかマッチしていないんです。
だから、「児童養護施設送致」って、あんまり選ばれません。
これに対して、「児童自立支援施設」への送致は、結構あります。
児童自立支援施設は、児童福祉法44条に書かれていて、そのまま引用すると↓
「児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。」
またよくわからないのですが、結局、①「不良行為をなし」た子ども、②不良行為を「なすおそれ」のある子ども、または③生活指導等を要する子ども、を入所させて「必要な指導を行う」のが、児童自立支援施設です。
だから、児童自立支援施設って、児童養護施設と違って、「矯正」の意味合いが大きいです。
児童養護施設では、親がいなかったり虐待を受けたりして家庭で適切な養育を受けられない子どもたちに、安心安全な生活の場を提供することが目的ですが、児童自立支援施設は、「必要な指導を行い、その自立を支援する」のが目的なんです。
だから、「矯正」という、少年審判の目的にマッチしています。
そのため、少年審判の結果、「児童自立支援施設」へ送致する、という結論が出ることはよくあります。
・不良行為をなしたり、
・不良行為をなすおそれがあったり
・生活指導を要したりする少年たちに、
・必要な指導をさせる。
というのが、「児童自立支援施設」ですから。
「児童自立支援施設」といっても、少年院とは違うので、塀に囲まれていたりはしません。
ただ、職員の目が光っていますので、簡単には逃げ出すことはできません。
そして、逃げ出してしまえば、「必要な指導」が行き届いていないことが判明しますから、入所期間が延びる可能性も出てきます。
そして、児童養護施設または児童自立支援施設への送致となった場合、入所期間を決めるのは児童相談所です。
児童養護施設または児童自立支援施設への送致の場合、決定を下すのは家庭裁判所ですが、その決定に基づいて入所させるのは児童相談所です。
だから、いつまで入所させるのかは、児童相談所の思いのままです。
もちろん、児童相談所は、施設から報告を受けて、その報告に基づいて入所期間を決めますが、とはいえ、家庭裁判所が入所期間を指示することはありません。
ちょっと少年院と施設の違いを書いておきますが、施設送致を家庭裁判所が決定した場合、少年院送致とは違って、厳重に身柄を管理されることはありません。
少年院送致となった場合は、家庭裁判所から、そのまま「護送車」で少年院まで移送されます。
(少年鑑別所から家庭裁判所へ来ている場合は、いったん少年鑑別所に戻って、翌日少年院に行くこともあるでしょうが、移送は常に「護送車」で、厳重に逃亡が抑止されています。)
これに対して、施設への送致の場合、護送車は使いません。
児童相談所の公用車に乗せて、施設まで送っていきます。
公用車でもチャイルドロックはつけて、中から扉を開けられないようにはしますが、でも、逃亡抑止はそれくらいです。
そもそも、施設自体が、塀に囲まれているわけでもありませんし。物理的に逃げ出せない少年院とは違います。
だから、「少年院送致」と「児童自立支援施設または児童養護施設への送致」って、身体拘束の度合い(自由がきかない度合い)が、かなり違います。
さて、今日はこの辺にして、明日はいよいよ少年院についてお話したいと思います。
それではまた明日!・・・↓
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