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過払金を弁護士の僕ならどうするか-8(設定の説明)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:過払金 】

今日も引き続き、過払金について書いていきます。

さて、昨日は過払金の時効についてお話しました。

過払金は、最後に返済した日から10年が経過すると、時効によって請求できなくなります。

(最後に「借りた日」でもいいです。結局、最後に貸金業者と借入なり返済なりの取引をした日から10年で時効になるわけです。ただ、借りた後は返済が待っているので、借入よりも返済が後になり、その結果、普通は借りた日よりも返済した日が遅くなります。借りた日なり、返済した日なり、より遅いほうの日から10年はスタートします。)

そして、2006年以降は、アコムやアイフルなどのサラ金業者たちは、利息制限法違反の利率で貸付けしなくなりました。

2006年までは、アコムやアイフルなどのサラ金業者たちは、利息制限法違反の利率で貸し付けても、「みなし弁済」によって、利息制限法違反の利息を受け取ることができていたので、利息制限法を守っていなかったんです。

利息制限法に違反していても、「みなし弁済」の要件を満たしていれば、利息制限法違反の利息が合法となったからです。

そういった法律が1983年に成立し、それ以降、利息制限法に違反していたサラ金業者たちの高利率は、法律によって保護されるようになりました。

法律が悪い(もっと言えば、こんな法律を可決成立させた国会議員たちが悪い)のかもしれませんが、法律の範囲内で利益を追求するのは、営利企業にとって当然なので、アコムやアイフルなども、きちんと「みなし弁済」の要件を満たす形で、利息制限法違反の貸付けを繰り返していました。

ところが、2006年に、「みなし弁済」は成立させない、と最高裁が明言しました。

その結果、アコムやアイフルなどのサラ金業者たちは、利息制限法違反の利息を受け取れなくなりました。

「みなし弁済」を前提に利息制限法違反の利息を受け取っていたわけですから、「みなし弁済」が成立しないのであれば、利息制限法違反の利息を受け取れなくなります。

そこで、2006年以降、サラ金業者たちも利息制限法を守るようになりました。その結果、2006年以降は、アコムやアイフルなどの大手サラ金たちからの借金では、過払金が発生しなくなりました。

(2006年以降も、利息制限法を守らない小規模な貸金業者はいたでしょうし、貸金業の登録すらしていない、いわゆる「ヤミ金」は、利息制限法なんて今でも守っていません。こういう金貸しに手を出すようになると、過払金どうこうよりも、非常にマズいです。このような本当の「アウトロー」金貸しは、とにかく、いちど手を出してきた人たちにパラサイトしてきます。「パラサイト」とは、「完済させてくれない」ということです。完済せずに、元本が残った状態が続けば、その元本を理由に、いつまでも利息を取り立てることができるからです。利息を払わなければ、自宅でも実家でも職場でもどこでも押しかけます。押しかけられたら、利息を払うしかありません。そうやって、最終的には、総額ウン百万円を払わされたりします。こんな金貸しに対しては、法的には過払金が請求できるのでしょうけど、対処法としては、とにかく縁を切ることが最優先です。過払金を請求しようにも、相手の住所すら不明でしょうし、どこか特定の場所に定住していない金貸しもいるでしょう。そうなると、訴訟提起して請求しようにも、訴状をどこに送ればいいかすらわかりません。訴訟提起して判決を出したとしても、財産なんてありません。金貸しは金貸しで支払いに追われているからです。ヤクザに「シノギ」を納めなきゃいけなかったりします。そんな人たちに、過払金を支払うだけの蓄えなんてありません。こういう、よくわかんない金貸しに手を出してしまったら、すぐに弁護士に相談してください。縁を切る「お手伝い」はできます。)

脱線が過ぎました(汗)。話を戻します。

結局、利息制限法の上限利率を超えて払いすぎた利息こそ、「過払金」の正体なので、サラ金業者たちが利息制限法を守るようになったら、過払金は発生しません。

だから、2006年以降は過払金が発生しなくなっていて、過払金を請求するためには、2006年以前に、サラ金との間でお金の貸し借りをしていたことが必要なんです。

しかしながら、冒頭で書いたように、最後の返済日から10年で過払金は時効になってしまいます。

そのため、2006年以前からお金の貸し借りをしていて、なおかつ、最後の返済日が今から10年以内じゃなきゃダメなんです。

そうすると、お金の貸し借りを、2006年から最近までずっと繰り返している人だけが、今でも過払金が請求できるのです。

このことを踏まえると、今回の設定の意図が見えてきます。

今回の設定で、僕は、↓のような人物でした。

・1956年生まれの65歳

・父親の死に目に会うために実家へ急遽帰省した1980年に帰省費用を工面するために初めて10万円借金した

・その後も借金を繰り返していたがボーナスのたびに一括返済していた

・持ち家を購入したことはなく、住宅ローンを借りたことない

・今年東京都職員を定年退職して退職金をもらい、その退職金で残った借金を一括返済した

僕なりに、2006年以前から現在まで借金を繰り返してきた人物を描いたつもりです。

(もう少し無理のない設定を考えるべきだったかもしれませんね、すみません。)

過払金とは、利息制限法の上限利率を超えて「払いすぎた」利息です。

だから、借金をきちんと返済していなきゃいけません。2006年以前に、借金をしながらも、きちんと返済していた人物。こういった人だけが、過払金を請求できます。

しかも、これだけ頻繁に過払金のテレビコマーシャル・ラジオコマーシャルが流れているにもかかわらず、今まで過払金を請求しなかった人物でもあります。

過去に借金の経験があるのであれば、テレビコマーシャルやラジオコマーシャルをきっかけに、2006年から現在までのどこかで、過払金の有無を弁護士や司法書士に相談していそうなものです。

しかし、そうしなかった人物。なかなか珍しいと思います。

でも、「珍しい」とはいえ、「全くいない」とは言い切れません。

2006年から約5年ほど、過払金のブームが巻き起こりましたが、その間も、借金に疑問を持たないまま借金を繰り返していたのです。

この間に過払金を請求していれば、借金がなくなるどころか、棚ぼた的に「過払金」が預金口座に入金されていました。

にもかかわらず、過払金を請求しなかった。

かなり頑固者でしょうが、その頑固さによって、自分を苦しめてしまっています。

苦しかったでしょう。返済に追われるのはとても苦しいです。

確かに、今さら過払金を請求するとなると、「もっと早く気づいとけばよかった」「気づかなかった自分がバカらしい」という思いにさいなまれるかもしれません。

でも、そんな思いより、目先のお金(=過払金)を優先しましょう。

正直なところ、「もっと早く気づいとけばよかった」とか「気づかなかった自分がバカらしい」と思っているのは、他でもない自分だけです。

自分以外の誰かが、自分に対して、「バカだな」とか「恥ずかしい」とか一切思っていません。

残念ながら、他人は自分ほど自分に興味を持っていないからです。自分に一番興味を持っているのは自分です。

だとすれば、「バカだな」とか「恥ずかしい」なんていう思いを、自分で調整すればいいだけの話です。

自分で自分の気持ちに整理をつけて、目先のお金を受け取りましょう。

目先のお金って、増えるとかなり嬉しいですよ。やっぱり、「お金」って、「預金残高」って、嬉しいものです。

明日は、具体的に過払金を受け取る方法についてお話します。

それではまた明日!・・・↓

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