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子ども(未成年)が逮捕された場合に弁護士の僕ならどうするか-16(言い訳を聞いてください)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:少年事件 】

今日も、昨日に引き続き少年事件について書いていきます。

さて、昨日は、逮捕された息子が家庭裁判所に「送致」されたタイミングで、親及び弁護士共々めいいっぱい最善を尽くし、裁判官に釈放をアピールすることで、無事に、息子が釈放されたことを書きました。

正直に話すと、どの弁護士でもここまでやってくれるかというとビミョーです。

送致されるその日に、裁判所まで物理的に移動しなきゃいけないわけで、弁護士によっては追加費用を請求するでしょう。

弁護士の時間と労力を追加で支出するわけですから、その支出に対する対価を支払わなきゃいけないのは当然だと僕は思います。

あと、ここまでやる価値があるかどうか、という観点も、正直なところ、弁護士は考えます。

今回の設定のように、逮捕されるのが初めてで、覚せい剤取締法違反とはいえ、覚せい剤に依存しているわけでもなく、両親も身元を引き受けてくれそうな場合は、鑑別所に送られる可能性がそれほど高くないので、最後のダメ押しとして裁判官にアピールする意味は結構あると思います。

でも、今回の設定とは違って、過去に覚せい剤取締法違反で逮捕されていて、その際も、覚せい剤依存が多少認められたものの、両親による身元引受や、覚せい剤治療を誓約したことを考慮した上で保護観察処分となっていたところに、再び覚せい剤取締法違反で逮捕され、覚せい剤への依存が前回よりも強まっている場合なんかは、鑑別所を回避するのはかなり難しいと思います。

鑑別所は、少年院とは違ってその少年を調べるための施設です。IQテストやドクターからの問診などを日々実施し、その少年に対して最終的にどんな処分を下すべきかを調べるために、鑑別所に収容します。

(「収容」という言葉遣いは正確ではないかもしれませんが、鑑別所への出入りは複雑な鍵で厳重に警備されていますし、もちろん、許可なく出ることはできませんから、僕は「収容」という表現が適切だと思っています。)

こういった、鑑別所の回避が難しいケースでも、家庭裁判所に送致される日に裁判所まで行って、裁判官にアピールをするかどうかは、弁護士によって判断が分かれると思います。

どんな場合でも、やれることはすべてやるという信念に基づいて、きちんと裁判所まで行く弁護士もいると思います。

でも、弁護士に与えられた時間も有限です。弁護士だって、限られた時間で、抱えている事件を回さなきゃいけないのは他の仕事と変わりません。

ただ、やっぱり、シャバに出られるかどうかとか、お金をいくら請求できるのかを左右するのが弁護士の仕事の特殊性で、こういった法的な結論が最終的に決まってしまうので、どうしても、当事者本人からすれば、やれること全部やってほしいという気持ちになってしまいます。

その気持ちはよくわかりますが、弁護士もきちんと休息をとらないと、良いパフォーマンスを発揮することはできません。毎日きちんと休息をとり、しっかりと栄養を補給して初めて、法的な結論を左右してしまうような責任ある仕事を全うできるのです。

まあ、毎日20時間働きながらもパフォーマンスを下げないでいられるようなスーパーマンな弁護士もいるのでしょうけど、大半の弁護士はそうじゃありません。

ちょっとだけ勉強ができる普通の人が弁護士になっているのがほとんどです。

そんな普通の人ができることなんて限られています。もし仮に、さきほどのような、鑑別所回避が難しいようなケースでも、きちんと裁判所に行って裁判官にアピールするとなると、そのしわ寄せが必ずどこかに来ます。

時間と労力をかけたのに、それが結果につながらなかったわけですからね。どこかにしわ寄せが来るに決まっています。

例えば、裁判所に行かなければ、その時間で他の仕事を進めることができたのですが、裁判所に行ったせいで時間をとられ、仕事が先送りになり、その結果、この少年事件に割ける時間が減ることもあり得ます。

さきほど説明したような、覚せい剤に対する依存が顕著な事案では、鑑別所を回避することはかなり難しいです。そうすると、鑑別所の回避に労力を使うよりも、最終的な審判で少年院を回避することに労力を集中するべきなのです。

家庭裁判所に送致されてから審判までは約1か月程度間が空きます。その期間を利用して準備を固めて、最終的な審判で勝負する。

それが、労力の配分としてベストだと僕は思います。

当事者としては、弁護士に払っているお金が高額なこともあって、何でもかんでもやってほしいでしょうが、弁護士の時間は限られています。

なんか今日は言い訳じみた回になってしまいましたが、限られた時間でパフォーマンスを発揮するのは、どの弁護士も悩んでいる問題だと僕は思います。

多くの弁護士がとても真面目で、依頼してくださったお客さんの期待に応えたいと思っています。そこは信じてほしいとイチ弁護士としてお伝えしておきたいです。

しかし、その思いとは裏腹に、使える時間は限られています。例えば僕の場合なら、働ける時間は1日8時間がマックスです。

これ以上働くとしわ寄せがきて、そのうちパタリと限界を迎えてしまい、事件をすべて投げ出すハメになってしまいます。

もちろん、短期的には1日8時間以上働くこともできますが、それはあくまで「短期的」です。

長期的にパフォーマンスを維持するためには、1日8時間を超えて働くのは非常にマズいです。僕は。

弁護士の仕事は、やっぱり頭を使います。毎日何千字もの文章を作り続けています。そうやって文章を書き続けながら、裁判所に出頭したり、警察署へ行ったりと、物理的な移動も多く、体力も削られます。

脳も使いながら、身体も使います。法律相談やお客さんとの打合せなど、誰かと対面で話すことも多く、こういった接客も疲労を蓄積させます。

まあ、疲労を感じない弁護士もいるんでしょうけど、多くの弁護士がそうじゃありません。

僕も含め、弁護士は、文章を書く作業が好きで、法的に考えることが好きだからこそ、司法試験に合格し、仕事も続けられているんだと思いますが、だからといって疲労が蓄積しないわけではありません。

不可避的に蓄積する疲労を回復させるための時間をきちんと確保しながら、毎日何千字も文章を書き、物理的に移動もしながら、お客さんとの接客もやる。

弁護士はみな、限られた時間で最善の結果を出せるよう、時間を有効に活用しようとしています。

それをふと、今日はお伝えしたくなってしまいました。

今日は少し変な内容になってしまいましたが、明日は、鑑別所を回避した後の審判までにやることについて書いていきます。

それではまた明日!・・・↓

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