タリンのタクシーで出会ったりんごとおじちゃん
りんごが食べたい。
最近すごくりんごが食べたくて、
ずっと「あー食べたい、食べたい」と言っていたら、ふと、タリンのおじちゃんを思い出した。
おじちゃんと言ってもタクシーの運転手さん。
ストックホルムで仕入れた荷物をタリンで発送して、その脚でまた船に乗ってヘルシンキへ。
という旅程の途中、タリンの郵便局からタクシーに乗った時のこと。
捕まえたタクシーにはファンキーな運転手、そして内装が個性的。
見るからに怪しい…と少し警戒しながら
「フェリーターミナルまでお願いします」
平常心を装い、それだけを言って様子を見ていたら、おじちゃんがガサゴソとビニールに手を伸ばし、「なんだなんだ??ますます怪しいぞ…」
と警戒心MAXになったところで、
「家にはリンゴの木がたくさんあって、いつもりんごを持っているんだよ」と。
そして、「無農薬だよ」とりんごをひとつ私に差し出した。
一瞬怯んだ手を思い切って伸ばし、りんごをいただいた。
「ありがとう」
そう言って、りんごを食べない私を察したのか、おじちゃんがもぐもぐ食べだした。
それでも私の警戒心は解けず、「少し急いでもらえますか?」とお願いし、無事ターミナルに到着。
その後、ヘルシンキまで持って行ったりんごは、甘酸っぱくて美味しかった。
疑ってごめんね、おじちゃん。
そんなことをふと、思い出したのでした。
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