自衛隊一般幹部候補生一次試験対策
今回の記事では一般幹部候補生試験の対策を紹介したいと思います。
出題範囲や各科目の出題数については自衛隊募集HPを見ていただくとして、全体的な感想としてはセンター試験をしっかり勉強して、その内容を記憶している人であれば勉強せずに合格する可能性があるといえます。
とはいえ私はセンター利用をせずに大学に入学したので、今回の試験での私の勉強法書きたいと思います。
なんとか飛行適性を含めて合格できたので、知識ゼロからの勉強法としてはある程度有効性があるのではないでしょうか。
※本記事は文系大学生の視点で書いています。予めご了承ください。
1.全体の見通し
一般的に一般教養科目と専門択一で7割正答すれば、陸海空関わらずに一次試験は通過できると言われているようです(専門記述は二次試験の合否に関係)。
飛行適正試験の場合は6割程度正答できれば良いとのことです。
受験される方は、過去問の6割(できれば7割)を正解することを目標にしましょう。
制限時間は、一般教養科目が3時間20分(誤字ではない)、専門択一科目が1時間50分、専門記述科目が1時間30分です。
2.一般教養科目の対策
一般教養科目は、その1とその2に分かれています。その1の英語問題とその2の全ての問題が必答になります。
その1で出題される問題は専門科目に比べて易しいものが多いです。しかし、勉強せずに解けるようなリアルに一般教養的な問題ではないので注意しましょう。
その1での基本的な戦略としては専門科目で選ぶ予定の分野と同じ問題を解くことをお勧めします。私の場合は人文でした。しかし、人文科目の問題だけでは20問に到達しない(さらに解けない問題がある)ので、地学や数学の分野も勉強して臨みました。
なお文系の方で拘りや特に苦手意識が無い方には、社会科学分野を主軸とすることをおすすめします。一般教養科目での出題数も多いですし、後述する専門記述や二次試験での小論文にも活かすことができる可能性があるためです。
理系の方は一般教養科目についてはそれほど対策をしなくても問題ないと思います。調べてみたところセンター試験レベルらしいので。専門科目になると線形代数などの大学数学が出題されるようです。
その2に関しては、論説文、古文、英文、漢文、高校数学、数的推理や判断推理が出題されます。数的推理や判断推理、高校数学についてはある程度勉強しておくと安心できると思います。
制限時間が200分もあるので余裕そうですが、数的推理や判断推理、グラフの読み取りなどをゆっくりやると時間が無くなります。分からない問題は飛ばして次に進みましょう。
3.専門択一科目の対策
専門科目の対策は、ひたすら参考書を回せば解けます。1ヵ月くらいあれば出題科目の参考書数冊を一周できると思うので、その後は過去問を解きながら苦手な部分を復習していくやり方でOKです。
過去問を見ても出題される問題の内容などはそれほど変わっていくものではないので、参考書(特に公務員試験に特化したもの)を解いていくだけでも有効な対策になります。
おすすめはQuickMasterシリーズと新スーパー過去問シリーズです。私はQuickMasterを使用しましたが、少し読んでみた際にはスーパー過去問のほうが内容的には充実しているように感じました。
注意したいのがノートなどにまとめる必要はありません。参考書の重要項目ページを読んで、問題をひたすら解いてください。このとき、解答の解説文を正解していても読み込むことで理解が深まります。
実際の試験では、正しい選択肢を選ぶよりも間違った部分を含んだ選択肢を除外していく方が安全です。参考書の問題を解く際にはこの点を意識して解いてみてください。
なお参考書は高いですが、メルカリやラクマでかなり安く買えますのでおすすめです。私は4冊1000円で買いました。
専門択一は時間がめちゃくちゃ余ると思います。
4.専門記述科目の対策
専門記述は20くらいある分野の中から1分野を選び、その分野の2問を回答します。複数の分野にまたがって回答することはできません。
これは自分の大学の専門が一番書きやすいと思います。多分。
私は法学なんですが、正直全く解ける気がしなかったので(履修していない領域だった)、英語を選びました。英語の場合和訳と英訳です。
専門記述は場合によっては全く分からない問題しかない場合もあります。しかし、何も書かないのが一番危険なのでそれっぽいことでもいいのでとにかく問題用紙を埋めてがっつきを見せましょう。
幸いなことに一次試験では専門記述は合否に影響しません。二次試験の面接と小論文で挽回できるよう少しでも書いておきましょう。
正直英語が一番簡単だと思います。専門分野が分からなければ英語選べば大丈夫。
5.飛行適正試験
ここからは海上自衛隊と航空自衛隊の飛行要員を受験している方のための内容となります。
飛行適正試験は幹部候補生試験の翌日に行われます。
会場によっては片手で数えられる人数しか受験者がいないこともあるらしいです。
飛行適正試験については、5つのセクション+性格検査があります。
基本的に時間は足りない〜少し余る程度なので、早く正確に解くことを念頭に置きましょう。
地本によっては過去問をもらえるらしいです。
①方角を把握する問題(15分)
問題文に1箇所だけ方角が書かれた方位磁石が書かれており、矢印がある方向を指しています。一方選択肢には方位磁石の針の代わりに飛行機のイラスト✈が描いてあります。
選択肢の方位磁石にも方位が部分的に書いてあり(NとSEとか)、そこから飛行機の頭が向いている方向が、問題文の矢印が示す方向と一致しているものを選ぶという趣旨です。
ここで曲者なのが、イラストの方位磁石は必ずしもN(北)が上ではありません。脳内で方位磁石を回転させるよりも、SEの右はSで左はEだ、SEの真逆はNWとか考える方が早いですし混乱しにくいと思います。
②空間把握(15分)
飛行機が向いている方角を示す方位磁石とコックピットの水平器の図が書いてあり、その飛行機を南から水平に見た際の正しい姿勢のイラストを選ぶというものです。
おそらく一番適性の差が出る問題だと思います。
筆箱や手を飛行機の代わりに動かすことを禁じられているので、全て脳内で想像する必要があります。
飛行機の機首の角度より、機首の方角を先に想像して、それから機首の角度やバンク角度を想像する方法が間違えにくいかもしれません。
③空間把握2(20分)
コックピットから連続して見える景色の写真が3枚載っています。
その景色の移り変わりから、どのような操縦を行ったのか選択肢から選ぶ問題です。
分かりづらいのが上昇下降しながら操縦桿を横に倒した場合と、上昇下降しながら方向舵を踏んだだけの場合の違いです。
ぱっと見は同じように見えますが、地平線が斜めになっていたら操縦桿を傾けています。
斜めになっていない(或いは斜めだが角度が変わらない)けど、景色は横に流れながら上昇・下降している場合は方向舵を踏んでいるだけです。
④飛行機の挙動を想像する問題(15分)
問題文に飛行機の図が書いており、そこから示された操作を行った後の飛行機の姿勢を選ぶ問題です。
操作の種類は上昇下降・左右旋回・左右回転があり、それぞれについて角度も示されています。
この問題についてはそれほど難しくないと思います。ただ、飛行機の機種がこちらを向いている場合は混乱しやすいので気をつけてください。
⑤知能検査(45分)
いくつかのセクションに分かれており、難しいセクションはほとんどなく、セクション毎に数分間の制限時間が設けられています。試験官がセクション毎に時間管理を行っているので、セクションを飛ばすこと等はできません。
いくつかのセクションはIQクイズ的要素を含んでいます。知能試験の内容を書くと著しく公平性を欠く恐れがあるので書きません。
それくらい問題に対する準備の効果が出る内容です。
⑥性格検査(20分)
一般的な性格検査と変わりません。しかし、明らかに答えたらヤバそうな質問(自分の周りには敵がいる等)があるので気をつけてください。
嘘をつくと分かるようになっているようなので、格好良く見せようとせず正直に答えましょう。
まとめ
一般幹部候補生試験はかなり長丁場になります。
時間はあるので、仮にわからない問題でも地道に書出せば解ける問題もあります。(数的推理・判断推理など)
国家総合職のように予備校に通うほどの難易度ではないので、参考書を周回して確実に一次試験を突破できるように頑張りましょう。
二次試験については、地本が対策セミナーのようなものを開いて模擬面接などもやってくれます。
都市圏でない場合は、広報官が面接練習をしてくれるはずです。
今回の記事がこれから受験される皆さんのお役に立てば幸いです。頑張ってください!
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