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レビュー 22/23 リーグアン 第12節 マルセイユ×RCランス
こんにちは。今回は10月23日に行われた、22/23 リーグアン 第12節 マルセイユ×RCランス の試合のレビューをやっていきます。
この試合の両チームのスタメン
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チームを歓喜に、スタジアムは静寂に包み込んだダヴィド・コスタの一撃
リールとのダービーに敗れるも、前節はサイードの得点を守り切ってモンペリエに勝利したRCランス。その中でヴェロドロームのマルセイユ戦というおそらく前半戦の最後の山場を迎えました。
この試合では珍しく3-5-2のフォーメーションを選択したフランク・エーズ監督。どちらかといえば守備に重きを置いた戦いぶりでした。
2トップは縦の一発を狙いながら構えて、中盤の選手で相手のシャドーを消す配置。しかしながら、この試合で目立ったのはチームの要であるフォファナの立ち位置。
相手がボールを持った段階から左サイドからムベンバに対して正面からプレッシャーをかけ、カウンター時もその左サイドから持ち運ぶシーンが目立ちました。
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相手の3バックに数的同数を作りつつ、中盤3枚でシャドーを消す
攻撃の他の選択肢としては、ソトカが左右自由に動いてつくりを助け、オペンダはトップに残り、チーム全体としてサイドにボールを集めました。
しかしながら、さすがのマルセイユ相手に守備の時間が長くなり、エリア内でボールウォッチャーになりすぎたところを突かれてピンチを招きました。
それでも耐えた後半からは、相手のビルドアップにしっかりはめにいく姿勢が見られました。オペンダがボールに触れる機会が多くなり、前線で引っ張りました。
56分にダヴィド・コスタとサイードを投入してアタッカー陣が増えたことによりフォファナは中盤に戻ります。これにより、中盤でのフォファナの本来の存在感がより際立ち始め、ボールを持つ時間が少ないなか、攻めの機会を狙います。
守備では1対1の強さと秀逸なシュートブロックが目立ったダンソと守護神サンバのスーパーセーブもあって攻勢を強める相手を何とかシャットアウトします。
迎えた78分。左サイドのメディナからダヴィド・コスタがロンジエを背中に背負いながら遠目から狙ったロングシュートはバレルディとクロスバーに当たってゴールイン。
一気に状況を一変させ、ヴェロドロームを静寂に包み込みました。ライブで見ていた私も思わず、少し大きい声を出すほど劇的な一撃でした。
焦りだした相手にも動揺することなく、相手の自滅にも助けられて守備の集中力を切らさずにアウェーで劇的な勝利を掴み取りました。
まさかまさかの出来事でしたが、こういった試合でも勝利することができた強さは本物であると再認識させられました。前半戦の最後の山場を乗り越えたチームはレンヌと共に、今後しばらくは上位戦線でPSGを下から脅かすでしょう。それよりも、トゥールーズ、アンジェ、クレルモンと続く前半戦を無敗で乗り越えていきたいところです。
自滅を重ねて苦しい10月に 誰の責任という話ではまとめることができない
前節のダービーは内容面ではポジティヴに戦えたものの、不完全燃焼に終わったマルセイユ。リーグ戦の3連敗は避けたい状況でしたが、RCランスという上位戦線を争う難しい相手との試合が待っていました。
コラシナツ以外は前節と同じメンバーで臨みました。攻撃時は中央のシャドーが使えなかったためにこちらもサイドにボールを集めました。FW陣もなかなかボールに触れる機会がなかったためい、サイドに流れて触れる機会を作りました。
MFまで前がかりにくる相手のプレスに対しては、WBを経由して前を向く体勢を整え、特に右サイドでは古巣戦となったクラウスの背後をまたムベンバが高い位置でサポートしました。
少々荒くいきすぎていた守備は、切り替えを大事にして5-3-2のブロックから遅れてゲンドゥジが前に出てくる陣形を取っていました。
初の枠内シュートは29分の出来事。ようやく縦パスが通るようになって迎えたこのチャンスを皮切りに、幾度となくエリア内で決定機を演出しました。
ヌーノ・タヴァレスのサイドを中心にボックス近辺までは何度も持って行くことが出来ましたが、問題はそこからの精度を大胆に欠いて先制点にはつなげることが出来ませんでした。
迎えた後半の立ち上がりは相手にペースを握られますが、ロンジエとヴェルトゥの運動量を軸にして前からの守備を腐らずに徹底しました。60分過ぎから徐々にペースを掴み始めますが、ここからシーソーゲームになり、お互いの決定機をマルセイユはパウ・ロペス、RCランスはサンバが防ぎました。
もどかしい時間が続く中で、恒例の前線総入れ替えをはかったのは76分。完全に信頼を取り戻したディエンと、ウンデルとパイエが投入されました。
しかし、その2分後にマルセイユにとっては悲劇が待っていました。ダヴィド・コスタのシュートが無情にもバレルディに当たってコースが変わり、さらにバーに当たってネットが揺れました。
まさかの失点に選手たちだけでなくスタジアムにいた観客たちも驚きを隠せないほど静寂に包まれた瞬間でした。
何としてでも追いつきたいところではありましたが、気持ちが空回りしたり、守備の集中力が切れたり、プレーが雑になるなど覇気が徐々に消えていったマルセイユの面々。
まさにまた「自滅」という展開で反撃することはできず、黒星を喫し、これでリーグ戦3連敗となりました。
チャンピオンズリーグでの連敗スタートから雲行きが怪しくなり始め、10月の頭にリーグ戦初黒星を喫してから徐々に覇気が失われている現状です。トゥドール監督の風当たりも強くなってはいますが、個人的には誰かのせいというわけではなく、チーム全体で乗り越えていかなければならない壁に当たったと思います。
上にのし上がっていくチームはこのような厳しい状況下の中でもファイトスピリットを失わずにどう立て直していけるかという点に長けていると感じます。
ずっと後ろを振り返るわけにもいかず、ミッドウィークにはフランクフルトにリベンジする機会があります。ここで根性を見せつけることができれば苦しい10月に明るい話題を提供してくれるでしょう。
10月23日 4時00分 22/23 リーグアン 第12節 マルセイユ×RCランス
会場: オランジュ・ヴェロドローム
得点(アシスト): 78分 ダヴィド・コスタ(マチャド)
ポゼッション率: マルセイユ 56% RCランス 44%
総シュート数(枠内): マルセイユ 13本(3本) RCランス 12本(4本)
パス本数(成功率): マルセイユ 497本(84%) RCランス 391本(81%)
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