わたしのファッション原点

物心ついた頃からおしゃれが大好きだった。
わたしの悩みは常に今日は何着よう？
小学校は制服だった。自分の部屋に全身鏡なんてものは無いので、帰宅後は毎日両親の部屋に行き、鍵っ子のわたしは鏡の前で1人ファッションショーを繰り返していた。
小学生の女子さながらそんな事してたと思うけれど、当時のわたしは楽しくて仕方なかったのだ。
お気に入りアイテムは、ネイビーのフレアスカート。ジャージ素材で白地のイカリマークが裾にあしらってある。丈の半分くらいの長さから切り替えがあり、ギャザーになっている。ウエストはゴムでシームポケットは両側に２つ。スカートの裾は生地と同じネイビーの糸でダブルステッチが施されてある。伸縮性があって、とっても履きやすいのもイイ。
わたしは2人姉妹の末っ子で、世の中の末っ子の例に漏れず、与えられる服はお姉ちゃんのお下がりばかり。素直な子だったので文句も言わず、エリカばりに別に…と思いながらお下がりを着ていた。そんなある日、お母さんとユニーに買い物に行った時のこと。わたしはそのイカリマークのミニスカートに一目惚れしてしまったのだ。その衝撃といったら！
わたしは今でも鮮明にその時のことを覚えている。
そうそう、わたしのファッション原点の話し。
何度となく考えるが、それはやっぱりわたしのお母さんだ。
お母さんはおしゃれな女性だった。
小柄で綺麗というよりは可愛い感じの人で、自分には何が似合うのかわかっていた。決してブランドものや高価なものを身につけるタイプではなかったが、おしゃれであることも人生の中で重要な項目だと考える女性だった。
わたしが小学校高学年のときの参観会で、クラスメイトの母親達がグレーのスーツや黒のワンピース、白シャツにベージュのタイトスカートなど、コンサバ、ザ 参観会スタイルなのに対し、わたしのお母さんは颯爽とネイビーのピーコートで現れたのだ。髪型はロングのソバージュにバレッタで留めたハーフアップ。カジュアル化している今のファッションでは特別なことではないけれど、当時の参観会にちょっとカジュアルなピーコートを着ていく、というのはわりと革命だった。レボリューション。
そんなお母さんに育てられたわたしもおしゃれこそ人生なり。とまではいかないけれど、おしゃれは自分の人生の中でかなりのウエイトを占める重要事項になってしまった。
何気にいつも思い出すイカリマークのスカートとお母さんのピーコート。
わたしのファッションの原点。