海外に住むということ

今は何だかとても辛い時期にいるんだけれど、
スペインに移住してもうすぐ6ヶ月。
以前４年半ほどスペインに住んでいたので今回は2度目の移住になる。

旦那さんはスペイン人にしては珍しく、真面目で約束はきっちり守るタイプの人だ。
でも自分が常に正しいと思っている。
そして常々他人のことを、あの人は頭が硬くてフレキシブルじゃないと嘆いている。
愛情深くて優しい人なんだけれど、いろいろ含めてやっぱり分かり合えないところはある。

私たちが住んでいるのはマドリードから少し離れたところにある小さな街で、正直言って私は全然好きになれない。
スペインらしく歴史的でとても綺麗な街なのだけれど、好きじゃない。
残念ながら。
旦那さんと結婚していなかったらきっと住んでいない街。
何が嫌って住んでいて楽しくないし、欲しいものが何もない。
スーパーもあるし生きて行くのに特に不足はないのだけど、私には魅力的じゃない。何せ。
そこに住むってわかってたのに、じゃあ何で移住なんてしたんだって言われたらグウの根も出ないんだけど。
そして、私の被害妄想が止まらない。
私はスペインに来るために日本の生活を全て捨ててきたのに旦那さんは何も変わらない。
家族も仕事も友達も家も何もかも変わらない。
昨日もまた、私はゼロからまたこの国でスタートして大変なのにそんな少しのことも我慢できないんだ、で喧嘩が始まった。あーあ。
言葉の壁もあるかな。
私はもちろん言いたいことは言うけれど、ネイティブじゃないから言葉につまる。
真剣に怒っている時って第二言語なんてスラスラ出てこないし、またそれも悔しいのだ。
イライラの原因は仕事をしていないからっていうのはわかっている。
いろいろと不具合でまだ始められない状態なので仕方がないのだけど。
あと他にもいろいろと理由はあって、でも一番大きな理由はそれかな。

自立していないこと。
自分の世界が家にしかないこと。
そして自分の居場所がまだ見つけられないこと。
そういうことが私をイライラさせる。

私はただ今の私の状態を旦那さんに共感してほしいだけなんだけどなと思う。
私だけ我慢してるの不公平だってどうしても思ってしまう。
そんなことないか、でもそうだと思う。
それに対して旦那さんはそんなに我慢してるなら結婚してる意味ないって言ってたけど、どちらかが我慢しないと結婚生活なんてすぐに破綻すると思うんだけどな。
まあそれでも何とかこの街を好きになろうと私なりに努力をしてる訳だけど、喧嘩するともう全てが嫌になってしまう。
この生活を受け入れようと何とか試みて、悪くないなって思い始めるとまたひょんなことから喧嘩して冷戦してまた不満が募っての繰り返し。
私ばっかり旦那さんに合わせてる不平等感。
私だけ何の生産性もない毎日を送っているような劣等感。
何のためにここにいるのかわからなくなってくる虚無感。
それでも自分が決めたことだからと思って腹をくくって何とかやってみるけど、心は折れる。
腹が立つ。
それでもここにいるのは自分の責任で、自分の決断なんだと受け入れるしか道はないみたい。
あとはもう自分を信じるしかないみたいなところはある。
受け入れてしまえば楽なんだけれど、まだ自分の中に葛藤があるみたいで、すんなりと腑に落ちないところがあるからなのか何なのか、私もけっこう強情なんだよね。
嫌だ嫌だと言ってるよりはまあいいやって言っちゃったほうが楽なんだけれど、嫌なものは誰が何と言おうと嫌なのだ。私の場合。

海外に住むということは何事も一筋縄ではいかないということ。
日本では簡単に出来たことが海外だとそう上手くはいかない。
何なら嫌な思いばっかりして楽しくないことのほうが多いかもしれない。
でもきっとそうじゃない時もたまにはあるし、その分喜びだって大きいはずだ。異国でもう一回新しい人生を始められるチャンスだと思えば今の辛い時期も乗り越えられるかもしれない。
もう楽観的に考えて生きていくしか異国では生き抜いていけない、とも思う。
だから今は先のことはあまり考えず毎日を上を向いて歩き続けるしかないのだ。
5年後はどうなっているのかなんて誰にもわからないしね。
ここに住みたいと思うならいろいろと文句を言いつつ腹を立てながら、少しずつ前に進むしか道はないのだ、きっと。