Daughter of Moloka'i (by Alan Brennert)
Molokaiの続編。モロカイ島のハンセン病患者の娘として生まれ、生後数時間で親元から隔離され、養護施設で育ち、5歳になってからホノルルの日本人家族に養子として迎えられたルースの人生を描く。
https://www.goodreads.com/book/show/45046665-daughter-of-moloka-i?
ハワイのコロニーでのハンセン病患者を描いた前作からうってかわり、物語は、ハワイでルースが養子にもらわれるところから始まる。5歳のルースには、床に座ること、箸でご飯を食べること、お風呂に入る事、布団で寝ること、すべてが新しい体験だ。優しいお母さんと、男兄弟たちの助けで、徐々に日本語も覚えて家族の一員になっていくルース。ハワイからブドウとストロベリー農園の開拓のためにカリフォルニアに移り住んだ原田一家が、苦労の末自分たちの土地を手に入れ、子供たちは移民の多いカリフォルニアで、日本人のルーツを保ちながらアメリカ人として育っていく。ルースは、ハワイ人の血のせいでほかの日系人よりも一回り背が高く、思春期に悩む。そして結婚。割とテンポよく進んでいく物語が、パールハーバーを機に一転する。マンザーナ強制収容所の暮らし、日本人であり、アメリカ人の市民権をもらえない一世である父親が、国亡き市民になることを恐れ、書類にサインできないシーン。頑固であることと、プライドと、やさしさと、消化できない葛藤。ようやく戦争が終わり、ボロボロになった家族の暮らしがやっと立ち直ってきたところで、ハワイの母からの手紙が届くのだ。自分のルーツ、まったく知らなかった生みの母の苦しみ。日本人であること、アメリカ人であること、そしてハワイアンであること。物語は、母との再開後20年間をも描き、ルースが自分のアイデンティティを受け入れるところで終わる。
She is Japanese, she is Hawaiian; she is hapa, and she is whole. という文章で終わるこの本を、日系アメリカ人として育つ子供たちすべてに読んでほしいと思った。また、私のように日本人一世として子育てをしている親にも是非読んでほしい。強制収容所の歴史、日系アメリカ人の歴史を知ることは、本当に大切な読書体験だった。今、ちょうどお雛様の時期で、普段は英語しか話さない娘たちと、実家の母が私に買ってくれたお雛様を飾ったところだ。こうやって自分の文化を声高く歌えることは、なんて幸せなことだろう。