使ってみたらハマる、アリエクスプレス
越境ECと言ったら、日本商品を中国に売り込むECサイトをイメージする方は多いと思いますが、実は、このような考え方は、もう多少古くなっています。
今回ご紹介するのが、中国の商品を日本市場に売り込むアリエクスプレスというアプリです。
1. アリエクスプレスとは
アリババの越境ECビジネスと言ったら、最初にパッと頭に浮かぶのが、天猫国際とタオバオ国際でしょうが、アリエクスプレスについて、馴染みのない方は多いと思います。
アリエクスプレス(Aliexpress, 中国語:「速売通」)は、中国の中小企業、個人事業主の商品を、海外市場に向けて出店して販売するプラットフォームです。
簡単に解釈すると、中国商品海外通販版のタオバオです。(2016年以降はC2Cから急速にB2Cへ転換し、個人事業主が急激に減少)
天猫国際やタオバオ国際はどれもが「海外商品⇒中国市場」という方向なのですが、アリエクスプレスのほうは、それと逆の「中国商品⇒海外市場」という方向です。
2010年からスタートしたこのサービスですが、日本ではそんなに知名度が高くないものの、グローバルでの成長スピードがはやく、2017年までにグローバルユーザー数が1億超えました。
2. 巨大な市場だからこそ成り立つ特徴とは?
一番大きな特徴といえば、それは価格の圧倒的な安さでしょう。
スマホケースを例にしてみてみましょう。
アリエクスプレス、メルカリ、アマゾン、楽天の4つのアプリで、スマホケースを検索してみました。
① アリエクスプレス↓
② メルカリ↓
③アマゾン↓
④楽天↓
スマホケースの例の場合、他のプラットフォームと比べて、商品定価が日本の市販品の20%~50%に過ぎなく、しかも国際輸送なのに送料無料というところで、最終的に、日本市販の激安価格よりもはるかに安い価格で商品販売をしているのが特徴です。
それに、タオバオの特徴も継承して、リアルタイムな交渉を可能にすることも便利です。
ただし、要注意なのは、国際輸送なので、全体的なリードタイムは長くなってしまうことです。
では、なぜ値段がこれだけ安くしていても、送料無料が実現できたのでしょうか。その原因は、中小企業特化のB2Cモデルにあります。
①中小企業の過剰生産課題の解決
中国の中小メーカーが、低価格でも利益が得られる根本的な原因は中国市場の広さにあるでしょう。
巨大な消費市場により、最初の見積もりが原価より安くても、生産しているうちに、規模の経済と経験効果により、コストの抑制ができ、利益が得られるのです。
そして、市場変動により、過剰生産の問題もあるのですが、このような低コストの製品は逆に海外での価格競争力が高いです。
アリババがしたことは、このような中小企業のために、海外販路を開拓することです。
また、日本の場合、消費者が卸売や部品メーカとの接点が限られています。そのため、完成品は簡単に手に入れられるが、ばら売り等はあまりされていないです。
ところが、アリエクスプレスでは、卸売や部品メーカも出店可能なので、普段なかなか手に入れられない、安く買えないばら売りのパーツなども手に入れられます。
さらに、工芸品や小さいアクセサリーの場合、メーカは基本的に労働集約型です。このようなメーカは生産を中国中西部にアウトソーシングすれば、完璧にコストアービトラージの利用ができます。
②物流ネットワークの構築
中小企業や零細企業が海外消費者に直接商品を販売する際に、もう一つのボトルネックは、物流です。
越境B2Cの場合の物流におけるペイポイントとして、オーダー量が多く処理が複雑、トレーサビリティができない、プロセスが長くて不確実性が高いなどがあります。
このような課題に対し、アリババグループの菜鳥は無憂物流を開発して、中小企業向けの、ワンストップの物流ソリューションを提供しています。
このサービスは以下のような特徴があります。
・操作が簡単、システム上ワンクリックで出荷
・トレーサビリティの実現
・リードタイムの短縮:元々の20日~30日を今15日以内に短縮し、
最終のゴールはグローバル72時間必達
・物流の中間プロセスの不確実性による苦情などは、
全部プラットフォームが処理
また、それを実現するために、アリエクスプレスはグローバル範囲の越境物流倉庫の拡大に力を入れています。今は110個ぐらいあって、持続的に増加しているらしいです。
3. 実は日本市場への影響もある?
アリエクスプレスのローカル化はまだまだなのですが、もし順調にこのまま行ったら、日本市場へも影響が顕在化するかもしれません。今のところ、一番大きな影響というのがこれでしょう。
副業として、中国商品輸入ビジネスをやっている人が増えています。
実は、中国製品は、圧倒的に安く、近年の品質向上により、だんだん人気を得ています。そして、価格の差のビジネスチャンスをつかめて、ずっと前から中国商品輸入ビジネスをやっている人たちもいます。最近はさらに活発化になったのが、メルカリ等C2Cのプラットフォームの出現により、個人の副業としてもできるようになってくるからです。
アリエクスプレスの出現により、わざわざ中国に来なくても、中国でメーカーとのつながりがなくても、仕入れを簡単にできるようになるので、このようなビジネスをやる人は今後より一層増えていくでしょう。
実際に私個人の実感もそうなのですが、日本に来る最初の二三年間、最もはやっていたのが、日本商品の「代理購買」であって、毎回帰国する際に、必ず友達に頼まれ、たくさんの日本製品を持って帰るのですが、最近はそういった頼みが減った反面、よく中国から安くて使いやすい生活小物等をいっぱい買って日本にもってくるようになっています。
アリエクスプレス、一度使ってみませんか。言語は日本語対応とはいえ、自動翻訳を使っているので、分かりづらい部分もまだありますが、英語は完璧に対応できるので、ぜひ、一回探検してみましょう。