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子どもとの日常2‐進学の壁‐
住宅街にある公園を通り、少し歩くと、地域小規模児童養護施設がある。階段を上がり、インターフォンを押して、中に入ると、職員さんとフクロウが迎えてくれる。ちんたらしていると、フクロウに警戒され、羽を広げて、今にも飛びかかろうとする。
洗面所で手を洗い、食堂で勉強するときもあれば、その子の部屋で勉強するときもある。いつもは「こんばんは。」と言って、入って良いかどうか確認をして入る。この日は、「こんばんは。」ではなく、「こんばんわんこそば」と言ってみた。その日よりももっと前に、担当している子どもが「高橋さんに『こんばんわんこそば』って言ったら、反応が薄かったんだよね」と言っていたというのをこの施設に訪問する他のメンバーから聞いて、全く言われた記憶がなかったが、これはいかんと思い、こっちから仕掛けてみた。
残念ながら、タイミングが悪かったのか、こちらの声が聞こえていない感じだった。繰り返し言うのもなんだかなと思い、断念した。この日は、高校卒業後の進路について、二人で話し合った。
児童養護施設で暮らす子どもたちの進学率は、まだまだ低いのが現状だ。北海道子どもの貧困対策推進計画によると、北海道の高校生の進学率は約7割。一方で児童養護施設で暮らす子どもは約3割とその差はまだまだ大きい。
進学率が低い要因は、いくつかあると思う。①入学金や授業料の確保、②学力面、③バイト&学業&一人暮らしをするだけの力(頼れる存在がいるかどうかも含む)、④大学や進学のイメージ、これらが求められる。子どもの状況によっては、他のことも求められるかもしれない。給付型奨学金の広まりや措置延長、大学によっては社会的養護に関わる子どもに対する授業料の一部免除などによって、進学へのハードルが少しずつ下がってきている。でも、スタートできたとしてもそれを維持するのも厳しい。
だからこそ、「進学をしたい」とその子が望んだときに、その子が一人で抱え込んで諦めることがないように、これらの課題と一緒に向き合い、乗り越えられるように調べたり、他の人の力を借りたりして、1つずつクリアしていきたいと思っている。
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