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フランスタイプとイギリスタイプの良いとこ取り ~ラッキーウッドのロムネー
皆さん、こんにちは! ラッキーウッドの小林です。
今回は、フランスタイプとイギリスタイプの良いとこ取りをした、日本の洋白銀器のご紹介
ラッキーウッドNo.28100<ロムネー>シリーズ
洋白銀器20ミクロン/ミラー仕上
「ロムネー」は、ローマをイメージした造語で、あくまで愛称。ローマ的なものではありません。
20ミクロンは、銀紙20枚分くらいの厚み。
銀メッキを厚くかければかけるほど、表面がどんどんなめらかになります。生地を良く研磨してあると、なおさらです。
食べ比べると、その差は歴然。
つるん!と、お口から抜け、なんの抵抗もありませんので、料理のおいしさに集中できます。
銀は銅よりもやわらかいため傷がつきやすく、変色もあるため、痛みが目に見えてわかりやすいです。
そのため、使用頻度の激しいホテル・レストランさんより、数年に一度、痛んだ銀仕上品の磨き直しと、銀メッキのかけ直しの依頼があります。
修理をすると、また新品同様に生まれ変わります。
表面のなめらかさも復活、料理をまたおいしく食べられます。
これは、銀メッキ品ならではの、長所となります。
なんてすばらしいシステム。まるで、SDGsですね。
これが、150年ほど前からすでに完成されているのです。
(これは、洋白銀器・銀メッキ品が誕生してからの歴史です。純銀器の誕生となりますと、3百数十年前。)
そのことや、道具としての卓越した機能性も含め、「洋白銀器」は、贅を極めた西欧貴族の発明品・銀器が、庶民の文化となり、最後に到達した「究極の道具 (実際に継続して使うためのもの)」であると考えます。
銀器にあこがれ、日本の皆様に本格的な洋白銀器をご紹介してきた当社が、その魅力を存分に表現したのが、この「ロムネー」。
フランスタイプは、肉料理が主役。
本来のフルコースの中にはお肉料理が4~5種類出たようです。
それに合わせるナイフ・フォークの種類も多く、特にメインディッシュに合わせるカトラリーは、下のテーブルナイフ・フォークのように、ボリューム感のある形状となっています。さすが、王道の迫力がありますね。
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メインディッシュは、27cmのお皿。それに合わせるアイテムを当社では「テーブルサイズ (別名ミートサイズ) 」と呼んでいて、
フランスタイプでは、ナイフの刀先が長く、厚い肉が良く切れるように。フォークの歯も長く、やわらかい厚い肉を深く刺して保持するように、なっています。また、フォークの長い歯の付け根には、当社では「水かき」と愛称で呼んでいる凹みがあるのが、フランスタイプの特徴です。
これは、歯が長いため、中に残った料理の残りを洗う時に、かき出しやすくしているという説があります。(これはまた別の機会にご説明)
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なのですが、「ロムネー」のフィッシュナイフ・フォーク (下の写真) には、
実は、イギリス式の模様入タイプが採用されています。
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そのように、日本製・銀器のフィッシュナイフ・フォークには、この模様入れが多く採用されているのです。
これは、明治時代に、鹿鳴館でイギリス銀器を使用したり、最初にイギリスの食文化に習った影響があるようです。
フランスタイプの魚料理用には模様が入らないものが多く、ナイフの形状は峰の部分の凹みはそのままで頭先は無地のため、バターナイフを大きくした感じです。
フォークも、皿の両脇の凹みはあるのに、皿中は無地です。
イギリスタイプと比べると、やはりさみしいですね。
「模様入」の方が、魚料理がゴージャスに見えます。
そのように、日本の魚用カトラリーに「模様入」が定着した理由は、
イギリス同様「島国」で美味しい魚が豊富なため、「魚料理もメイン」と考えたかった、日本のシェフたちに受け入れられたのだろうと考えます。
一方、お肉料理ではイギリスタイプは、フランスタイプほど迫力がありません。フォークの歯も短めです。
結果、この「ロムネー」では、お肉用はフランスタイプ、お魚用はイギリスタイプと、世界の文化の「良いとこ取り」となりました。
これも、日本のメーカーだからこそ、出来たこと。
そう考えると、面白いですね。
根底では、「地産地消」その土地の旬の美味しい食材を美味しく食べるための料理文化である点において、世界が共通しているから、こういうミックスも自然に起こるのだと思います。
でも、こんなに世界の「おいしい」を受け入れてしまう日本はすごいです。