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大利根勝子引退興行@浅草木馬亭(2023/02/25)【浪曲編#1】

こんばんは。飯山大五郎です。

先日、大利根勝子引退興行に行ってきました。会場は浅草木馬亭。浪曲といえばここでしょう。

この日、浪曲の大看板・大利根勝子先生が引退なさると聞きました。これまで、都合がつかず勝子先生の口演を耳にする機会がありませんでしたが、これが最後のチャンス。チケットを予約し、常連さんの中に混ぜていただきました。

そんなわけで、この日の演目はこんな感じでした。

○「阿漕が浦」玉川わ太・玉川みね子

この日の開口一番は、太福先生門下・わ太さん。芸協でも前座さんとなったようですね。曲師はみね子先生。外題は「阿漕が浦」。講談で言えば「名君と名奉行」の後半部分。太福先生のお弟子さんだとわかるお声。大岡がいかに優れていても、吉宗がバカ殿だったら歴史には残らなかっただろうな。

○「塩原多助 円次殺し」玉川奈みほ・沢村まみ

続けては、奈々福先生門下・奈みほさん。曲師はまみさん。外題は『塩原多助』「円次殺し」。初めて聞いた外題。奈みほさんも、奈々福先生のお弟子さんだとわかるお声。嫌なことが続くと、信頼している人ですら嫌なことをしてくるのかもと思ってしまう。にしても、多助の馬は実に利口だ。

○「自転車水滸伝 ペダルとサドル」玉川太福・玉川みね子

続けては太福先生。曲師はみね子先生。外題は、勝子先生から「感動した!」と言われたという太福先生作・『自転車水滸伝』「ペダルとサドル」。度々壊れてしまう自転車をめぐる、太福先生と大家さんとのやりとりがめちゃくちゃ可笑しい。でも、そこには確かに人情がありました。

○「トーク」大利根勝子・玉川奈々福・玉川太福

玉川福太郎先生亡き後、奈々福先生と太福先生が師と仰いだ勝子先生の波瀾万丈のエピソードトーク。予定時間をオーバーするほどの盛り上がりでした。勝子先生がなぜ浪曲師になったかのお話が面白かったです。とってもチャーミングな勝子先生。こちらまで嬉しくなった。

〈お仲入り〉

休憩です。

○「浪花節更紗」玉川奈々福・沢村豊子

クイツキは、この興行を取り仕切っておられた奈々福先生。曲師は、この日お誕生日を迎えられた豊子先生。外題は「浪花節更紗」。ずっと聴きたかったけど機会に恵まれなかった外題。男の浪曲師と女の曲師が出てくるのだけど、奈々福先生と豊子先生の二人が重なって見え、素敵でした。

○「花売り娘」大利根勝子・玉川みね子

お待ちかね、勝子先生登場。曲師は、十数年にわたって相三味線をつとめられたみね子先生。なんでしょうね。先生が唸り出してから、涙が出るんです。これが最後…とお思いになりながらの口演だからでしょうか。外題は、先生が最初に手掛けたという「花売り娘」。小さい時から親元を離れて浪曲師として活動された先生と重なる娘。苦しい過去を恨むのではなく、今が幸せであることをとても大切にしているのかな。そう思いました。


大入満員だった木馬亭。行けてよかった。聞けてよかった。花束のお裾分けもいただき、とってもあったかい気持ちに満たされながら帰路につきました。

浪曲、いいですね。もっともっと、たくさんの人に聞いてもらいたいなと思いました。私も木馬亭に通います。皆さまも是非。それではまた。

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