見出し画像

【ネタバレ感想】映画『明日に向かって笑え!』「アルゼンチン万歳!」「デフォルトしても笑って生きたい!」「正義は勝つ!泥棒映画」

『運だぜ!アート』ツイッターアカウント

とても痛快で後味が爽快な強盗映画です。アルゼンチン映画ということで、あまり馴染みがないかもしれませんが、とても良い映画を作っています。本映画『明日に向かって笑え!』の脚本がエドゥアルド・サチェリということでとても期待していました。彼の作品で思い出すのは『瞳の奥の秘密』です。身の毛もよだつような物語に絶句して記憶があります。こんな脚本を書く人って「どういう人生を送ってきたのだろう」かと興味を持たない映画ファンはいません。

そして本作。こちらはコメディ色が強いですが、デフォルトしたアルゼンチンという国に対して痛烈なメッセージを送っている作品と言えます。簡単に言えば、かつて栄光を掴んだサッカー選手は今や寂れたガソリンスタンドを経営している。でももう一度、一攫千金を掴みたい、しかも町の復興も成し遂げたいという思いから、仲間を集めて農協を作ることを目指します。

しかしながら、悪徳弁護士と銀行に騙されて全額を失うのです。返済は不可能です。なぜならばアルゼンチン自体が“デフォルト”したからです。弁護士は事前に知っていたんです。おまけに妻は事故死。失望した日々を送っていました、奮起してお金の奪還計画を練るのです。


本映画『明日に向かって笑え!』には色んな映画作品の要素が盛り込まれています。『オーシャンズ』シリーズや『チャーリーズ・エンジェル』など。でも劇中、わたしの胸を震わせたのはオードリー・ヘプバーンの映画『おしゃれ泥棒』からアイデアを頂戴している場面です。これは良かったですね。


さて、物語は予定調和というか「正義は勝つ!」的に終わります。みんなが再び元の生活に戻ります。彼らは捕まりません。それで良いのです。主演のリカルド・ダリンの演技は本当に渋いです。『誰もがそれを知っている』ではほとんど無表情でしたが、本作では喜怒哀楽全開でした。

息子役のチノ・ダリンは映画『永遠に僕のもの』で初めて知った美男子俳優です。やっぱり“美しい”です。そして演技に深みが加わってきました。是非とも観て欲しい映画です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?