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令和の歳時記 カブトムシ




日本人って、本当に虫が好きな人が多いと思います。もちろん“男子”をイメージさせますが、近年では“女子”の虫好きも増えてきました。コロナ禍の影響でキャンプへ行く人が増えたのも影響していると思います。そしてSDGs(「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」)の流れから、自然環境に興味を持つ人も増えて、森林のことを勉強するために野山へ出かける若い人たちが増えたことは歓迎できます。

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さて、夏と言えばもう「カブトムシ」を指します。夏の王様です。昆虫採集を行なった人たちの多くはカブトムシを捕獲して歓喜の雄叫びをあげた経験があるでしょう。カブトムシが人気がある理由はその風貌がカッコイイからが一番だと思います。そして強いことが続きます。さらに、カブトムシは比較的に「見つけやすい」昆虫であることも忘れてはいけません。

昆虫採集において、カブトムシは街中の神社、お寺などの鎮守の森と言われるところでも容易に見つけられます。大都市にある整備された公園でも見つけやすいです。クヌギやアベマキ、コナラなどが生えているからです。却って、田舎の山間部は広葉樹林が伐採されていることが多く、見つけにくい場合があります。

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夏休みになると早朝の森にはカブトムシを探す「日本原風景」のような親子の姿を見かけます。網とプラスティックケースを持って、笑顔いっぱいです。大抵は低いところが出ている樹液採集です。しかしたまに強者がいます。おそらくお父さんは相当な昆虫採集家で、如意棒のように長さを自由に調節できる棒を持参していて、高所のカブトムシを引っ掛けて落として捕獲しています。さらなる上級者は木に登って採集していたります。

もちろん、熟練の採集家ですから、木々を痛めたりはしません。子どもにとってはお父さんは「ヒーロー」のように見えるはずです。子どもから尊敬の眼差しを受けるには昆虫採集は最良の“お遊び”と言えます。

たまに“街角の正義マン”のようなご婦人が「カブトムシが可哀想」とか「絶滅してしまう」などと苦言を言いますが、おそらくカブトムシは絶滅しないでしょう。これだけ日本全国に分布していますし、善意ある採集家はメスに卵を産ませて、再び森に逃がしている人もいるからです。

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カブトムシのオスは子孫を残すためにメスを探し求めます。「とにかくメス」なんです。「メス、メス、メス」という声が聞こえてくるほど必死です。「節操ない」と笑われそうですが、彼らは本能のまま一生懸命生きているのですから、わたしたち人間のような打算的に生きていません。

でも、悲しいかな。これだけ昆虫採集が一般化してしまうと、メスに出会う確率より人間に出会う確率の方が高くなってしまっているのです。ひと夏の恋をする前に人間に捕獲されてしまうのは何とも切ない運命です。捕獲されたプラスティックの中でもがくオスは哀れです。そんな時はメスを入れて、交尾させてみるのがオススメです。

ただし、オスにもメスにもたっぷりと栄養をつけてからが良いでしょう。市販のゼリーで大丈夫です。お腹が満たされていないと、オスはメスがいても大暴れして、メスを傷つけたことを何度も見たことがあります。「食欲」が満たされれば、次は安心して「性欲」を満たす方向へ進むのが生き物です。是非とも、カブトムシを探しに野山へ足を運んでみましょう。お父さんが博学なこともアピールできます。

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