「ありがとう、補虫網さん」
五月です。とても心地よい季節です。多くの人に「どの季節(月)が好きですか?」と聞くと「五月です」と答えます。
わたし自身も五月が好きです。暑くもなく寒くもなく過ごしやすいです。服装も楽です。Tシャツと薄手の上着があれば十分です。
わたしの自然観察に於いても五月の山野はとても快適で楽しいです。お花は次々と咲いていきます。彩も黄色、ピンク、水色と増えていきます。
そして「虫たち」。毎日、注意深く観察しないと見落としてしまいそうな勢いで、次々を出現してきます。虫好きにとっては補虫網は欠かせません。
昆虫採集に対して「命を粗末にするな」というお利口なPTA的なコメントもありますが、わたしは賛成派です。
自分が振り落としたアミの中で“カサカサ”と音を立てている虫を見て、それを触って、観察するのは大きな感動があります。
お家の中に出現した蚊を叩いたり、ゴキブリをスリッパで叩き潰すのとは意味合いがまったく訳が違います。
補虫網の話に戻します。野山でチョウチョウ、トンボなどを追い求めて夢中にさせます。
お目当ての虫めがけて振り落として、空振りになればなるほど「次だ」と自分を鼓舞するかのように“リベンジ”を誓うのです。
おそらくかつての人間が狩猟生活を営んでいた本能が蘇るのでしょう。
そして運良く、いや腕を上げた結果、補虫網の中にギンヤンマなどがいたら、もう絶叫ものなのです。
補虫網の中で逃げたくても逃げられず“ガサガサ”と羽を震わせている姿に胸が締め付けられたりします。結果的にわたしは一通り観察して逃がしてあげます。
気候的にも繁茂する樹木も少ない五月の山野での昆虫採集は夏より簡単だと思います。補虫網を振ることで生き物の素晴らしさを改めて認識しました。
「ありがとう、補虫網さん」