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令和の歳時記 キジ

キジのオスとメスの風貌は同じ仲間とは思えないほど異なる。オスの顔は真っ赤なハート型のヒダのようなものが左右の目の回りでブラブラしていて一見、歌舞伎役者を彷彿させる。

体色も紺、茶、深緑、グレーと豊富だ。メスは白と茶のまだら模様があるくらいだ。一般的に鳥の多くはオスの方が美しいと言われている。それはメスと交尾するために自分の“美と強さ”を主張するためだ。

ただ交尾するかどうかの選択権は絶対的にメスが持つ。メスは美しさを放棄したのだから種の繁栄という生物にとって一番重要な決定権くらいはもらっても良いだろう。

さて、キジは日本全土の明るい田畑周辺で見ることが出来るポピュラーな鳥だ。大きさはニワトリ位。ただ長い尾っぽが生えている。昔話にも頻繁に登場する。有名なのは『桃太郎』だ。

桃太郎と鬼退治に行ったキジは空を飛び敵陣に入り内側から錠前を開ける、という活躍をみせる。この話を聞いた時、キジは大空を優雅に飛ぶ鳥だと想像したが実際は違った。後に祖父の田んぼで見たキジは100メートル位しか飛ばずしかも低空飛行だったのだ。

名前は低く飛ぶことから“低し”(ひきし)と呼ばれていたとのこと。鳴き声は“ケーン、ケーン”と甲高い声を発する。この鳴き声から『雉も鳴かずば撃たれまい』ということわざが生まれた。

キジは鳴き声で見つかってしまい撃たれる、よって無用なことは言わない方が良い、という意味だ。さて、今からキジたちが恋する季節を迎える。見所は何と言ってもオスだ。美と強さが交錯する華麗な競演を是非、堪能してもらいたい。

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