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母からの最後のGIFT

もうちょっと若い頃から、私は新緑の溢れる今の季節が大好きだ。
世の中が過ごし良い気候であると同時に、一年を通して自分の中の波動が
一番穏やかに、ゆったりとそしてキラキラと輝いていると実感できる時だからだ。
もっとも、新緑という「これからなにか始まる感」を存分に受け取っているからでもあるのだけど。

ところが、ここ何年かこの大好きなはずの時期になんだかモヤモヤがある。
去年などは確か体調が優れず、ずっとこもったまま梅雨を迎えてしまった。
以前はあんなにキラキラを感じていたのに、何故だろう?
よくよく考えたら、母が亡くなる直前の一番辛かった時期がこの新緑の時期だった。
母が亡くなったのは6月の末。
病院から帰って来た母を真っ白なお布団に寝かせた時、気がつけば床の間の掛け軸の横にある色紙が桜のままだったのを覚えている。

あの時は本当に悲しくて悲しくて辛くて辛くて苦しかった。
人生の中であれほど苦しくて辛い思いは他にないような気がする。
自分が病気になった時以上に苦しかった。
これから先、何があってもあれほど辛いことはないんじゃないか。
よく頑張ったなぁとあらためて思う。

結局あれは母からの最後のGIFTだったのかも知れない。
何があっても大丈夫だよというメッセージ。
そう思えば、今、これからをちゃんときちんと自分を大切に
生きていけるような気がする。

さて。
自由になった私は何をしたい?
どうなりたい?
キラキラを思い出してよ。
今年の新緑がそう言っているような気がしてならない。






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