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ヒオカ「死にそうだけど生きてます」の感想

ヒオカさんの初書籍が発売された。Twitterで存在を知り、応援していたライターである。

予約で買うことも検討したが、書店で見つけて手に取りたかった。そして、書店で売れることで追加入荷してほしい思いもあった。そんな気持ちでいたら、仕事の忙しさに追われ、発売日より少し遅れての購入となってしまった。

立ち寄った書店をぐるっと一回りしたがすぐには見つからず。レジカウンターへ尋ねようかと思ったところ、話題の新書コーナーで見つけた。これはテンション上がる。

まず、表紙がめちゃくちゃ好きだ。パッと目を引く華やかさがある。タイトルと共に興味をそそられ、ジャケ買いしそうな表紙だ。それでいて手に取りやすい親しみやすさとオシャレ感もあり、なんだかワクワワクさせられる。


ここからはネタバレも含みます。

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イラストレーターの力はもちろん凄いけれど、本を開くとそこはもう、ヒオカさんの世界。魅力的な文章力でどんどん没入してしまう。

最後まで読み切って、はたと気付いた。本文でのイラストページはたったの3ページほどなのだ!私はてっきり初回はイラスト多めの本なのかと思っていたので、良い意味で裏切られた。

イラストはあくまで導入。あとはじっくりグイグイと作者の文章に惹き込まれていく本なのだ。これぞヒオカさんの真骨頂。凄い。

私は読書好きな方だが、実は文章の好き嫌いが激しい。面白いよ!と友人に勧められても、文章が「あ、これだめなやつだ」と思うとなかなか読み進められないし、読むことを諦めることもある。だからエッセイなんかは余計に読むことが少ない、というか基本あまり読みたくなかったりする。

そんな私にとってヒオカさんの文章は、不思議な引力と力強さを感じる存在。読みやすさはもちろんのこと、心が惹き込まれる何かを感じる。

私も田舎育ちだったため、序盤あたりの四季の美しい描写にやや気恥ずかしい気持ちになったもの、あとはいっきに読み進められた。

前半のストーリーは、過去から時系列にそって自身の生い立ちを描くのではなく、各章の冒頭がコロナに翻弄される現在で始まる。この構成には、唸ってしまうくらい関心してしまった。

今、未知のウイルスによって誰もがなにかしらの「不自由」を感じている。ヒリつくようなその共感を入り口にして、自身の過去の「不自由」を描くことで読者の共感をさそう。この作りかたは、マジで凄い!

(後で知ったが編集さんの案であったらしい。それにしてもヒオカさんの魅力を知ってるからこその素晴らしい提案。)

過去の描写は、あくまで作者視点で書かれているものの、常に「客観的な視点」を感じられる文章のように思えた。普通に暮らしている私たちからすれば壮絶ともいえる過去を、感情的ではなく淡々と語って行く。おかげで感情移入しすぎることなく読み進められる。そして、その淡白さが逆に、これは間違いなく作者にとっての「日常」だったのだということを際立たせ、私たちが見えていなかった現実を目の当たりにするような感覚になる。

個人的にさりげなく出てくる、友人宅にあったゲーム機のニンテンドーDSやWiiの文字を見て、作者が20代であり、限りなく現在に近い過去であることにハッとしてしまった。(私が年齢を重ねているのもある)

この本を読んでいておそらく1番気持ちが高まるシーンは、中学3年生での弁論大会だと思う。先生しか読まないと思って書いた作文が選ばれ、抑圧してきた作者の感情が「言葉」となって解放される瞬間。この高まる興奮の場面は、書籍でぜひとも味わってほしい。

作者は自分だけがなぜ?という思いだけではなく、周りの辛さに対しても優しい眼差しを向けている所は本当にグッとくる。小学生の頃同じ貧困育ちで問題児だったY君への目線、金銭面では何不自由なく暮らしている大学の友人たちが抱える悩みへの理解。人生何周目なのかしら…ホント。

色々書くとネタバレになりすぎてしまうし、拙い文章で感想を書くのは危険すぎる。そろそろ終わりにしようと思う。

とにかく、気になってる方はぜひ読んでほしい。そしてこの本を読むことで知ったこと、感じたことから、色んな物事へ想いをはせてほしい。



最後までお読みいただきありがとうございます。

作者の今後益々の活躍を祈るばかりです。


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