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5月ある日

二日間の立ち仕事の疲労がてきめんに体を痛める。足が全体筋肉痛だ。

夜中、風の音で何度かうっすらと目を覚ました。
ベランダの柵に取り付けている、目隠しのシートがでんぐり返していたのを起き抜けに見る。
雨は降らず、昨日の万全の準備が徒労だったと気づきたくない気持ち。

通勤、追い風で自転車が電動のごとくぐんぐんと進んで面白い。
途中、動物だったものが敷かれて道の端に寄せられていた。咄嗟に目を逸らし、横を通る時になぜか息を止めてしまう。

目論見よりも早く会社に着き、更衣室の椅子に腰をかける。
大体の書き残さないと記憶に残らない出来事は通勤路にありだなとメモをとった。

パーマをうまく出すことに集中し過ぎて、顔を洗ってすらいない事に気づくが、会社では未だマスク着用なのでまあいいかと諦める。
ここのところ、ずっと肌の調子が良くない。

新聞の広告入稿と、イベント出店のレポートが今日の仕事のハイライト。休憩中にメルカリで服を買う。

昼休み、古賀及子さんの著作を貸していた同僚から本が返ってくる。
とても丁寧な人で、いつも感想を手紙などに書きつけて、小さなお菓子とともに戻してくれる。

感想以外に書かれていた文章から、とてつもないすれ違いがあったと気づき、しかしLINEのようなテンポで進めたくなく寝かせてみる。
もしかしたらこの時間にもその人に悶々とした気持ちを抱えさせてしまっているかもしれない。
人間が関わり合う、距離を縮める難しさをじわじわと体感した。

その人は、辿々しくも実直な言葉を話す人で、度々面食らって取り繕っている部分が剥がれ落ちる感覚になる。

自分の性質がそんなだから、一緒にいて心地がいいとは思わないが、この人はそんな醜態を茶化すようなことはしない人なんだろうなと想像する。

イベントレポートはすんでのところで書き終わらず切り上げる。同じフロアで残業している人はおらず、19時すぎに退社。

明日こそは雨が降るだろうとスーパーに出向く。
こういった、散財を伴う肩透かしをこれからも重ねることが生活なのか。厚手のパーカー一枚がちょうどいい気温。19時でもうっすら明るいのが嬉しい。

帰宅し、グラフィックトライアルのトークイベントをYouTubeでライブ視聴する。

デザイナーやクリエイターが印刷実験を行う試みで、到底思いつかないアイディアの連続だったけれど、説明されると理解ができるようになって事にさすがに3年弱の時間の経過を感じる。
ひとりビールを煽りながら大興奮のままにイベントは終了。最高の肴になった。そしてやはり実物を見に行きたい衝動に駆られる。

紙と印刷を熟知した遊び。そして何より100%ORANEGE 及川さんの絵がすこぶるいい。ポスターが欲しい。

一日中胃が引き攣れるようにじわじわと痛んだ。
そういえば昨日は痛みとともに眠りにつき、目が覚めて痛みも起き出した。
胃痛の原因であるはずの生理はじきに終わるだろう。

湯船に浸かりやっと落ち着いたかとと思ったら何故か痛みが競り上がって今は胸の辺りが痛む。重力に逆らえるタイプの痛みなのね。

足の爪をにマニキュアを塗る。
前回と同じ、黄緑と黄色の間のパールが入っていて可愛い色だ。
100円ショップで買った、サンリオのキャラクターが描かれているもの。

国道の方から、まるで都会の交差点のようなクラクションの音が聞こえる。
渋谷あたりに思いを馳せるが、あのあたりにこの辺でこの時間帯に走っているような大型トラックは通っていなんじゃないかな。

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