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プチDIY vol.1
二月中は空いた時間を使ってDIY。
まず相方が壁一面に遮音シートを打ち付けて、私がその上に吸音パネルを並べ、四隅をピンで留めるという簡単な工程。毎日少しづつ、スマホでYouTubeを聴きながらのマイペース黙々作業。地味に楽しかったけれど、そろそろ終盤だ。あとは隙間を埋めれば完成。
これがもし生業だったら、と馬鹿な想像をしてみる。締め切りや仕上がり具合に相当な神経を使うだろうし、脚立から床に落としたピン(釘)の数も半端ない私には到底無理そうだ。
パネルはWhite leafのライトベージュ、ライトグレー(渋い青色に見える)、ホワイト(極薄い水色に見える)。
実際の遮音性は気休めかもしれない。
まあやらやないよりは良いんじゃないかな。
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昔、まだ学生だった弟と葛飾区のアパートの一室で一緒に暮らしていた時期があった。
隣の部屋には些か神経過敏な中年の男性が住んでいて、ささいな生活音に苛立ってはドアを叩いて文句を言ってくる。夜間のトイレの流水音がうるさい、などと不動産屋(大家)さんに訴えては困らせる人だった。
私は毎日が怖くて、弟がバイトから帰ってくるまでヘッドホンをして息をひそめていた。
自分は放送作家なのだと、ある日その男性はドヤ顔で言った。良いアイデアが降りてくるって瞬間におたくの部屋からの騒音で気が散るのだと。目を充血させて、語った。
(だったら安い軽鉄アパートじゃなく、郊外の防音マンションで書けばいいでしょ。売れてないの、八つ当たりしないでよ)
さてその頃から営業的社交性に長けていた弟は、「放送作家」氏と仲良くなる作戦をとった。並んでタバコを吸い、会話を積んで、愚痴にも耳を傾けているうちに、その男性も笑顔を見せるようになった。
弟はここに二年住んだ。
私はといえば、とても居られず二ヶ月で退散。以来どこに住んでも、隣近所への音が気になって仕方がない。今でもトラウマなのだ。
静かな住まいには憧れる。でも、ふとした物音で叱られるくらいなら、最初から雑音に満ちた環境の方がむしろ安心と思ってしまう。
だから脳内だけは自由に、好きな音を集めたり紡いだりして、それを死ぬまで味わっていたい。