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町・村民税の自主申告

『あまのじゃく』1950/8/25 発行 
文化新聞  No. 38


不公平感はどうしても…

       主幹 吉 田 金 八

 町民税・村民税の自主申告が二十五日頃までに行われる。町村税収の中核となる税目だけに、税金の額が在来の戸数割などに比して大きく申告者の良心如何で相当の不公平感が生まれることは予想される。
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 徴税者の立場として、税法の建前が申告制であるだけに納税者の反証のない限り申告をそのまま承認する結果となり、特に情実の近い町と町民である限り、とんでもない不合理・不公正が闊歩するのではあるまいか。
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 今度の町民税も決定次第、本紙はもれなく掲載の予定であるから、これによって忌憚なく全町民が批判し合えばよろしい。特に今回の町民税は純所得が基準であるだけに田畑や山や家屋敷などの財産税的意味の夾雑物がないから比較検討がやりやすい。
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 世の中は利口な奴ほど悪いことをしている。同族会社を作ったり青色申告をする人間の方が脱税的精神が濃厚であり、神様仏様の前に殊勝気な顔をそしている者の方が薄情冷酷である場合が多い。
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 会社の重役で身ぎれいな生活をしている紳士より、大工の熊さん八っぁんの方が税金で馬鹿な目に会っている実情は如何なものか?


 コラム『あまのじゃく』は、埼玉県西武地方の日刊ローカル紙「文化新聞」に掲載された評判の風刺評論です。歯に衣着せぬ論評は大戦後の困窮にあえぐ読者の留飲を下げ、喝采を浴びました。70年後の現代社会にも、少しも色褪せず通用する評論だと信じます。
 このエッセイは発行当時の社会情勢を反映したものです。内容・表現において、現在とは相容れない物もありますが、著作者の意思を尊重して原文のまま掲載いたします】

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