12/10:一緒に
大学に行くと、珍しく友達が落ち込んでいた。普段の眩しい笑顔に比べると今日の笑顔は引きつっていて、かなりへこんでいることだけはよくわかった。以前「煙草を吸うと気分が下がるから、病んだ時とかダメになりたいときに吸ってる」と言っていたので、今煙草を吸ったら気分がとんでもないことになりそうだね〜なんて軽口を叩いた。同じ調子で、数ヶ月前に捨てちゃった〜多分もう吸わないかな〜と返ってきた。
そうなんだ〜と返したが、かなりのショックを受けた。その後ひとりでトイレに行き、盛大にため息をついて落ち込んだ。
私が喫煙者になったきっかけはその子だったから、その子と一緒に吸う機会が訪れることは多分もう無いのだと思うと途方もなく悲しくなった。
これまで数えきれないくらいに「あなたは真面目だね〜」と言われ続けてきて、そう言われるのならそうなんだろう、そう在ろう、と思っていたら周りからの評価に縛られるようになっていた。
似合わないことをして嫌われたくなくて、いい子でいようと必死だった。否定されたくなかった。
だから、真面目な人は煙草なんて吸わない、私にはきっと似合わない、と諦めていた。
でも彼女が喫煙者だと知った時、この子が吸ってるなら私だってやってみてもいいのかもしれないと思ってしまった。賢そうでおしとやかで真面目そうに見えるのに吸っている友達が羨ましくて仕方がなかった。
その日の夜、サークルの人と喫煙所で吸いながら、実は煙草を吸うきっかけになった人が煙草を辞めちゃって〜と話すと、「この機に煙草辞めちゃう?笑」と冗談混じりで言われた。辞めないよ!と返したが、もう習慣になっているので辞められなさそう。というより辞めたくない。もはや意地。
でも最近、煙草もお酒も、摂取する行為への好感度がぼんやりと下がってきている。辞める気はないけど、あんまり好きじゃなくなってきた。多分ひとりでするのが嫌なんだと思う。誰かと一緒に飲んだり吸ったりした記憶があまりにも楽しくて暖かくて眩しすぎて、ひとりだと寒くて仕方がなくなる。あのきらきらした時間に比べると虚しくて飽きてしまう。煙草もお酒もわたしを彩る趣味ではなく、わたしと誰かの間に添える演出装置。
いい加減面倒になってきたのでそろそろ他人に軸を置いて生きるのを辞めたい!
写真は黄色すぎて驚いたイチョウ、この時期にしては葉が多い。最近のサムネが暗すぎるので少しでも明るいものを。
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トビウオ愛記 / hockrockb - ぼやぁ〜じゅ