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幸福
ダメな人生。だめなだめな人生。
仕方が無いよ、変われないからね。
わたしは何なのだろう。取るに足らないのに人間なのに。
わたしは人と話す時、目を見たりはしない。
そんな不躾なことはしない。第一、目なんて怖くて見れない。
その人の考えていることがわかるから。
「とるにたらないやつだ」とバレてしまうから。
鶴を見た。檻の中にいた。
檻の中で、中途半端に羽根を広げ、「ケー」と鳴いていた。
本当なら、今頃きっと地球の裏側。
鶴は決して羽根を広げない。少しだけ膨らませて「ケー」と鳴く。
ケーケーケーケーケー。
この中は、安全で、綺麗で、不自由。
いいじゃん最高じゃん。
このままで、いい。
何も望まなければ、ずっと、幸せ。
わたしは、泣かないので、涙が凝って澱になるよ。
ケーケーケーケー。
一晩中だよ。今日も夜が来るから、どうしようもない夜だ。
月がわたしを照らさないように、何処かに隠れよう。
太陽より真実を知る月を敵にまわさないように、今日も寝たふりをして、
朝をやり過ごそう。
それさえできれば完璧。嘘を付ける。
わたしは幸福を有り余らせて、ケーケーケーと鳴いて見せよう。