【散文詩】半自動筆記に依る夜想曲(4)-1:『王水』-1
其の通りでは、道を行く全ての人が、髪を後ろに垂らし、三つ編みにして居た。
何か奇妙に感じた私がショウウィンドウのクリムトの複製を眺めて居ると、突如として私は警察に連行された。
『如何して君は、髪を編んで居ないのだ?』
取調室で警部はそう言った。話を聞けば、其の髪型にして居れば、例え人を殺そうが何をしようが、何の責任も義務も果たさずとも済むが、其れ以外の髪型はそれだけで罪に問われるのだと言う。
私は激昂し、『そんな馬鹿な事が有るか!!』と叫んだ。
すると突然、ドアの向こうでヴェルディの『アイーダ』の一節を大声で歌うのが聞こえた。
そして警部は言う。『このTVショウ、如何でしたでしょうか?』
<続>