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「赤線地帯」に思うこと

前にも一度観ていたけど、「赤線地帯」を鑑賞。
売春防止法が施行された頃の話で、何だか感慨深い。

女優が豪華である。
京マチ子、若尾文子、沢村貞子も出てる。

みんな様々な事情があって、身体を売っているのだが、私が一番気になったのは、三益愛子演じるゆめ子だ。
年がいってるので、お客もなかなか付かない。
ゆめ子には一人息子が居て、お母さんなのだ。
ある時、息子が訪ねてきて、母の働いてる姿を見てしまう。
息子の成長だけを楽しみに、いつか一緒に暮らすことを心の支えに生きていたのだが、息子から「縁を切りたい」と言われて、ゆめ子の精神は崩壊する。
満州娘を大声で歌うシーンは、この世の女性の悲しみを表現してるかのような迫力だった。
あの時代、ゆめ子のような女性は沢山いたのではないか、と思う。




木暮実千代演じるハナエも、素敵だった。
病気の夫と、小さな息子が居て、一人だけ通いで働く。
夫が首を吊って死のうとするのを寸前で止めた時、「私は死なないわよ。泥をすすってでも生きてやる!淫売に堕ちてもやっていけない女がどこまで堕ちるか見届けてやるのよ」と言う。

情け容赦ない内容だが、リアリティーがある。
今はもう、こういう映画は撮れないだろう。

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