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短い色鉛筆
去年の12月からnoteを始めて、あまり書けなかったけど、もう一年が経つ。
勤めているグループホームは、女性が多くて、片側のユニットでは塗り絵がブーム。
みんな自分用の何色もある色鉛筆を、家族から用意してもらって、塗っている。
鉛筆は短くなっても、大切に使っている。
「欲しがりません、勝つまでは」という言葉が浮かんだ。
彼女たちは、戦争中、子供だった少国民の世代である。
「欲しがりません、勝つまでは」は、当時の大人の都合で、子供に言わせたような気もする。
子供はそもそも、いろんなものが欲しいものだ。
だけど、彼女たちの、ものを大切にするところは見習いたい。
鉛筆が短くなると、ハンドルを回すタイプでは削れなくなる。
カッターナイフか、直接鉛筆を穴に入れて回す鉛筆削りで削っている。
100円均一で、小学生の子供が使うような、かわいいイラストのついた鉛筆削りを購入したら、接着がずれていて、鉛筆が入らない不良品だった。
後日レシートを持って交換に行くと、応じてくれた女性店員が「使うのは女のお子さんですか?」と言うので「女性だけど、かなり高齢です」と答えた。
よく、認知症の老人を子供みたいだ、と言う人がいるけど、私は子供とも違うと思う。
認知症の人たちは、最近の記憶を留めておくことが難しかったり、不穏になったりするけど、大人である。
彼らはある時期、働いたり、子育てをしたり、いろんなことをやってきたのだ。
その人生が、短い色鉛筆と重なる。
短くなっても、キャップをつけたり、削ったりして、私は寄り添いたい。