傷つけるのは自分
ある日大学生の前で、話をしてくれないかと頼まれた。
私は目立ちたがりだ、人前で話すのは嫌いじゃない。
快く引き受けたが、題材は「人と人とのコミュニケーションについて」
しまった
インキャな私には、最高に難易度の高い題材だった。
コミュニケーション?
コミュニケーションができてたら、インキャなんかしとらんわ!
と、思ったが、今更できないとも言えず、話す言葉を考えることにした。話す時間は90分。長い…
あせって、ネットや本でしらべる。
難しい話は大学の先生や専門家に任せるとしよう。私はありきたりな、コミュニケーションの大切さなどを話せばいいか。
などと、思い、社会人に必要な、説明する力をつけていこうなど、体験など交えてなんとか90分のシナリオを作った。
いざ当日
40人ぐらいいる!
自信のない話題だからか、緊張する!!
とりあえずリラックスを兼ねて、自己紹介をしてみる。
みんな聞いてる
でも、つまらない展開にしたら、寝たり、アクビとかされるよね…
「先生て大変なんだな」
と、世界中の先生にリスペクトしてみる。
話もすすんでいる途中で、乗ってきた私は、シナリオにない話を始める。
2人の人間の絵を黒板に描いた。
話をして、それを聞いている人間の絵だ。
私「右の人が発しているものはなんですか?」
学生「言葉です」
私「そうですね言葉です。言葉は言い換えれば『音』ですよね。左の人の耳にとどいたら、鼓膜を、揺らし、脳で変換して意味を理解する。わからない音、聞いたことのない音だと、変換不良を起こして、理解できなくなったり、間違った変換をします。まあ、聞き間違いってこうしておこるんですよね…」
と、この展開だと、相手の心にイメージできるように、言葉を選び…と、ありきたりな話をしようとしていたら
私はあることに気づいた。
あれ?
言葉は天から降ってきた
あれ?でもそうだよな。
言ってもいいか?まずいか?
でも、学生の今後の助けになるかもしれない。
そして、言葉にして言ってしまう。
「てことは、人は、人の言葉で傷つくのではなく、自分の心の変換で傷つくのです。だって、2人の間に流れるのは、単なる音。音に攻撃力はないです。人は自分の脳の変換に、傷つくんです。傷つけるのは自分なんです」
言い過ぎたかな?極論か?
恐る恐る振り返ると、まん丸な目をした80個のお目目。ざわざわしてる。時折きこえる「え…」て、声
しまった、まずいか?
でも、手応えを感じる
て、いうか、自分の言葉に自分が1番驚いた
話を続けてみた
「なかなか難しいですよね。私にもまだできません。もし、自分の脳の変換力をコントロールできるようになったら、それはきっと悟りの境地でしょうね」
と、話した
90分話し終えて
学生さん達の感想は
びっくりした
難しい
自分には無理
など、様々だった。
話して後悔はしていない。
むしろ、人は自分に振り回されて生きていることに気づいた。
でも、自分はいまでも、コントロールできる境地には達していない。
人の嫌味を、過剰に変換し、腹をたて
失敗すれば、自分を責める変換を自分で繰り返す。
コントロールにはほど遠い。
未だ凡人の私。
自分の脳を自由に乗りこなす気分てどんなんだろう。
などと妄想しながら、今日も暴れる自分の脳を説得しながら生きている。
いつか
乗りこなせる日がくるのだろうか
でも
前より、少しだけ自分が愛おしくかんじることができただけ
よかったかな
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