第54回東海伝統工芸展選考会

瀬戸市赤津町に事務局を置く「日本工芸会東海支部」が主催する「第54回東海伝統工芸展」は令和5年4月25日から30日まで愛知県美術館で開
催される。
それに先立って選考会を行い、愛知・岐阜・三重・静岡4県から寄せられた応募作品の中から選ばれた優秀作品と受賞作品・招待作品を展示する。

選考会場は、「とうしん美濃陶芸美術館(多治見市)」に隣接する講議棟の大ホール。
陶芸、染織、人形、漆芸・木竹工、金工・諸工芸の各部会の応募作品がホールいっぱいに並べられた様子は、壮観。
色彩と様々な造形の一つひとつが放っている何かに圧倒される。
日本工芸会などから招かれた審査員によって、出品作品と各賞(日本工芸会賞など)が慎重に選考されていく。

そんな中、東海工芸会事務局長の谷口幸二さん、幹事の加藤圭史さんに、お話を伺うと、陶芸部会の応募者でもあるお二人は、応募の意義について「技術や創作の感覚について評価を受ける事で、さらに技術を極め、時代にあった感覚を磨くことに繋がるから」と声を揃える。
部会ごとに講師を招き、研究会を開くなど、常に研鑽を重ねているので、「東海伝統工芸会」では、技術の高さを多くの方に見てほしいとのこと。ただ、近年応募作品数は少しずつ減少し、会員の年齢層も上がっている。
作品の発表の場がSNSなどによって、多様化していることが大きく影響
していると考えられる。


さらに、消費者の変化も大きいと言う。
日本文化には古くから、四季折々の行事などに合わせて、住まいや食卓の
しつらえ(設え)を整えるといった、伝統的な日常の豊かさがあったが、
いつのまにか、貧しくなってしまったと嘆く。
「人々の生活に季節感が無くなってきた」と、お二人の言葉が耳に痛い。

4月に開かれる本展には、春らしい装いを新調して出かけようと思う。

つじ みつき@step


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